「うどんは消化がよい」のは本当?管理栄養士が"ほんとのところ"を解説

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体調が悪いときの食事や、赤ちゃんの離乳食に使われるうどんは、一般的に「消化がよい」とされています。麺類にはほかにもそばや中華麺などがありますが、うどんが消化によいといわれるのはなぜなのでしょうか?この記事では、うどんは本当に「消化がよい」のか、その理由はなぜか、管理栄養士が解説します。

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糖質が多いうどんは消化が早い

体調が悪くて病院を受診すると「消化がいいものを食べてください」といわれることがありますね。「消化がいいもの」とは、消化にかかる時間が短く、体への負担が少ない食べ物を指しています。

たんぱく質、脂質、糖質は体を動かすエネルギー源となる3大栄養素です。このなかで消化にもっとも時間を要するのは、脂質とされています。そのため脂質がたっぷり含まれるから揚げや天ぷら、脂身の多い肉は消化に時間がかかり、体に負担をかけてしまいます。製造時に油で揚げられるインスタントラーメンの麺も、消化に時間が必要です。

消化に一番時間がかからない栄養素は、糖質です。うどんはたんぱく質や脂質の割合が小さく、糖質が多くを占めるため、消化が早い食べ物であるといえます。

食物繊維の量もポイント

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消化のよさは、食物繊維の量も関係します。たんぱく質や脂質、糖質は消化酵素により細かく分解され、腸で吸収されます。しかし食物繊維は、人の消化酵素では分解できません。食物繊維に便通をよくしたり、糖質やコレステロールの吸収を抑えたりする作用があるのは、消化の影響を受けず腸までそのまま到達するためです。

食べ物に食物繊維が多く含まれていると、胃や腸を通過するのに時間がかかります。つまり食物繊維が多い食べ物は、消化があまりよくないといえます。うどんに比べると、そばや中華麺は食物繊維が多くスムーズに消化されないため、胃腸に負担をかけてしまうでしょう。

うどんの消化をよりよくするには?

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糖質が多く、食物繊維が少ないうどんは、消化によい食べ物であることがわかりました。さらに、うどんの調理法や食べ方に配慮すると、消化をよりよくできます。

コシがあり、少し歯ごたえの残るうどんは消化しにくいため、よく煮込んでやわらかくしましょう。食べるときに、よく噛むことも大切です。うどんが細かくなり消化しやすくなると同時に、唾液に含まれる消化酵素により、うどんのでんぷんが分解されます。分解されたでんぷんは糖質になり、体に取り込まれるため、よく噛むことで効率よく消化吸収できるようになります。

うどんにトッピングする具材選びも重要です。脂質や食物繊維が多い具材は、胃腸に負担をかけてしまいます。卵や豆腐、鶏胸肉、白身魚など、脂質が少なくたんぱく質が豊富な食材がおすすめです。野菜を加えるなら、繊維質ではないものをやわらかく煮込んで提供してください。大根やキャベツ、白菜、にんじんなどを加えると、ビタミンやミネラルを補えます。

よく煮込んだうどんを食べると体の中から温まり、心もほっと和みます。体調が悪いときは消化によいうどんを食べて、回復を促しましょう。

【参考文献】
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」

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AUTHOR

いしもとめぐみ 管理栄養士

いしもとめぐみ

管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。



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