玄米で体調不良になるって本当?玄米の意外な落とし穴とおすすめの食べ方|管理栄養士が解説
玄米は食物繊維やビタミン、ミネラルを豊富に含む食べ物です。栄養価が高いため、健康に有益なイメージを持っている方が多いでしょう。しかし玄米が原因で、体調を崩すおそれがあることをご存知でしょうか?この記事では、健康によいと思われがちな玄米の、意外な落とし穴について管理栄養士が解説します。デメリットをフォローする方法もお伝えするので、玄米を健康管理に活かしたい方は参考にしてください。
豊富な食物繊維はデメリットにもなる
玄米とは、もみ殻のみを取り除いた、精米していないお米のことを指します。精白米では取り除かれる胚芽やぬか層が残っており、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれることが特徴です。
食物繊維は整腸作用や、血糖値・コレステロール値の上昇を抑制する作用があり、生活習慣病の予防効果も期待できます。玄米は精白米の6倍もの食物繊維が含まれており、健康管理に役立つ食べ物であると注目されています。
しかし玄米の豊富な食物繊維は、体に悪影響をもたらすこともあるのです。
たんぱく質や糖質などの栄養素は、胃や腸で消化酵素により分解されて体に吸収されます。しかし食物繊維は、人の消化酵素では分解されません。消化吸収されずに大腸まで達することで、整腸作用などのさまざまな効果を発揮します。
このように食物繊維は、そもそも消化しにくい物質です。胃腸の調子がよくない方、胃腸の機能が整っていない子どもや高齢者が玄米を食べると、消化不良を起こして内臓に負担をかけるおそれがあります。
食物繊維が原因で下痢や便秘になることも
食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のふたつのタイプがあります。水溶性食物繊維は、腸の中で水分を含むとゼリー状になり、便をやわらかくすることが特徴です。不溶性食物繊維は、腸の中で水分を吸収すると膨張して、便のかさを増やします。
どちらも便通の改善に役立つ成分ですが、摂りすぎると腸の状態が悪くなるかもしれません。水溶性食物繊維を摂りすぎると、水分が過剰になり、下痢を起こしてしまいます。不溶性食物繊維の摂りすぎは便の量を増やし、お腹の張りや便秘の原因になります。玄米にはどちらのタイプの食物繊維も含まれているため、摂りすぎによる下痢や便秘には注意が必要です。
胃腸に負担をかけない炊飯と食べ方のコツ
玄米は栄養価が高い食べ物ですが、精白米では取り除かれるぬか層や胚芽が残されているため、消化があまりよくありません。胃腸への負担を軽減するには、玄米をよく噛んで食べるようにしましょう。
また玄米は、炊飯前に水に浸ける時間を長く取るのが一般的です。精米されていない玄米は水を吸いにくいため、長く浸水して水を含ませます。水をしっかり吸収した玄米はやわらかく炊き上がり、胃腸への負担もかかりにくくなります。少なくとも6時間以上は浸水させましょう。
また、玄米の表面に傷をつけると水が吸収されやすくなります。洗米時に玄米同士をこすり合わせたり、ザルの金網にこすりつけたりして洗うとよいでしょう。
精白米を食べていた方が玄米食に切り替えると、お腹が緩くなりがちです。自身の体調を見ながら、精白米とブレンドするなどして玄米の量を調整してください。また胃腸の調子がよくないときは、玄米食を控えましょう。
健康効果を期待して玄米食を取り入れるのならば、玄米で体の調子が悪くなることは避けたいですね。胃腸に負担をかけないコツを実践して、玄米を健康作りに活かしてください。
【参考文献】
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
AUTHOR
いしもとめぐみ
管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。
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