【背中のブツブツ】ちゃんと洗っているのに…なぜ?背中のブツブツの正体と対処法【医師が解説】
背中のブツブツ、なぜできる?医師が解説します。
毎日ちゃんと身体を洗っているのに治りにくい背中のブツブツに悩まされている人も多いと思います。
特に、ニキビの原因として知られているアクネ菌による背中のブツブツは、かゆみや痛みなどの症状を引き起こすこともありますし、見た目の美容的にも心配になりますよね。
そうした背中のブツブツが、こまめに身体を洗って背中を保湿するだけでは治らないのには理由があります。
背中などにブツブツができる原因や自分に該当する症状を知って、適切にセルフケアや治療を実施して背中のブツブツを治せるように努めましょう。
今回は、アクネ菌による背中のブツブツについて、なぜできるのか、なぜ治りにくいのか、また病変を治すために何をすればいいのかなどを中心に解説していきます。
アクネ菌による背中のブツブツについて、なぜできるのか?
背中などにできるブツブツは、いろいろな原因で発症しますが、そのなかでも主な原因が「アクネ菌」です。
ニキビの原因菌であるアクネ菌が直接的な原因となって、他の外部要因や体調や免疫力が関係することによってニキビのブツブツ症状が悪化します。
一般的に、アクネ菌はニキビの原因として知られていますが、健康なヒトの皮膚にも常時存在する常在菌です。
アクネ菌による背中のニキビが発生しやすくなる条件として、「毛穴の詰まり」「過剰な皮脂」が挙げられます。
一般的に、皮脂や角質が毛穴に詰まると、毛穴の中に皮脂がたまり、その中でアクネ菌が繁殖し炎症を起こして、ニキビの状態になります。
アクネ菌の特徴としては、角質が毛穴に詰まる(コメド)、それが悪化することで繁殖し、ニキビを引き起こし、アクネ菌が増える原因としては、毛穴詰まり、ストレス、免疫低下、日焼け、ビタミンB不足などが挙げられます。
アクネ菌による背中のブツブツについて、なぜ治りにくいのか?
普段から自分なりにセルフケアをしているのに、なかなか背中のニキビが治らないという場合には、適切なケアができていないことが考えられます。
一般的なニキビは、角質が厚くなり、毛穴の出口が塞がれることで皮脂が詰まり、患部にアクネ菌が繁殖して炎症を起こすものですが、背中にブツブツが出来るニキビの多くは毛穴から黄色ブドウ球菌や真菌も侵入している可能性があります。
つまり、一般的なアクネ菌単独によるニキビと混在した原因菌による背中ニキビでは、対処法が異なる場合があり、治療薬も異なりますので、原因に応じた治療をおこなうことが必要です。
一般的なニキビの治療をしても背中ニキビがなかなか治らない場合、もしくは症状が悪化する場合は、真菌や他の細菌などが原因で起こる毛嚢炎を発症している可能性があることを認識しておきましょう。
アクネ菌のみならず、背中ニキビの原因となる黄色ブドウ球菌やマラセチア菌は、もともと人間の皮膚に存在する常在菌であり、それらの菌が汗などによる蒸れや皮脂の汚れに伴って毛穴に入り込んで繁殖することで背中ニキビができます。
また、衣服の摩擦などの刺激や紫外線、日々のストレスなどにより男性ホルモンの分泌が活発になる、ステロイド薬の使用などを含めてさまざまなものが背中ニキビの要因になります。
背中ニキビが長期的に治らない場合は、糖尿病などの疾患が隠れている可能性もあるため、皮膚科を受診して精密検査を実施して専門治療を受けることを検討しましょう。
アクネ菌による背中のブツブツを治すために何をすればいいのか?
「ただのニキビだから」と軽視していると、症状が悪化して痛みをともなうおできになる可能性があるため、早めに因に応じた成分が配合されている市販薬などを活用してセルフケアすることが大切になります。
まずは、アクネ菌が悪さをする原因となる毛穴詰まりを防ぐために、普段から正しいスキンケアを心がけることが大切であり、実際に、外用薬を使用する際は、入浴後など、皮膚を清潔にした後に塗りましょう。
市販薬を使用して1週間以上経過しても、病変部の改善がみられない場合や症状が慢性化して治りにくくなっている際には、別の皮膚疾患が合併している、あるいは糖尿病など内科疾患が隠れている懸念もあるため、皮膚科を受診しましょう。
アクネ菌による背中のブツブツには、多くの発症要因が考えられますので、日々のスキンケアと生活習慣の見直しをすることによって、背中ニキビの予防を心がけることも重要な視点となります。
まとめ
今回は、アクネ菌による背中のブツブツについて、なぜできるのか、なぜ治りにくいのか、また病変を治すために何をすればいいのかなどを中心に紹介しました。
アクネ菌は、健康な人の皮膚にも存在している常在菌であり、皮脂を栄養源として炎症を引き起こします。
症状を放置すると、患部が腫れて赤くなる、あるいは膿が溜まるなど症状が悪化して、治療が長引くこともありますし、皮膚痕に残りやすくなりますので、早めに皮膚科など専門医療機関を受診して適切に治療することが大切です。
AUTHOR
甲斐沼 孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
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