二の腕にあるブツブツ、その正体とは?治らないこともある「毛孔性苔癬」原因と対策|医師が解説

 二の腕にあるブツブツ、その正体とは?治らないこともある「毛孔性苔癬」原因と対策|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2023-08-10

痒くもないし痛くもない、けれど気になる二の腕のブツブツ。このブツブツの正体とは?医師が解説します。

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二の腕にできるぶつぶつの正体は、「毛孔性苔癬(呼び方:もうこうせいたいせん)」という皮膚疾患の可能性が高く、本疾患では毛穴に一致して小さな盛り上がりが生じる状態が認められます。

今回は、二の腕にあるブツブツの正体とは何なのか、「毛孔性苔癬」の原因と対策などを中心に解説していきます。

毛孔性苔癬の原因

二の腕のブツブツの原因として最も多い「毛孔性苔癬」は、「毛孔性角化症(もうこうせいかくかしょう)」とも呼ばれる遺伝性の皮膚疾患であると考えられています。

どの年齢層にもみられる病気ですが、主には子どもから20歳前後までの若年者に発生しやすく、30代以降になると自然に症状が消退していく場合が多いですが、中には、40代、50代になっても治癒しない場合もあります。

毛孔性苔癬は、かゆみや痛みなど強い症状を引き起こすことはありませんが、角質が毛穴の出口にあたる表面を中心にたまり、毛穴が塞がれることによって、表面からは盛り上がって鳥肌のような変化を外表所見として認めることがあります。

角質が毛穴を中心にどういうメカニズムでたまるかという根本的な原因については完全には判明していませんが、遺伝学的な体質、アトピー性皮膚炎や乾燥肌などの皮膚状況、肥満体形などが発症因子として関与していると推定されています。

毛孔性苔癬は、良性の皮膚疾患であり、病変を放置していても日常生活で問題ありませんが、男性よりも女性が発症することが多く、外表的に目に見える症状を伴いますので、若い女性の場合は精神的なストレスが大きくなると考えられます。

毛孔性苔癬の対策

毛孔性苔癬は、美容的に問題を生じて皮膚を柔らかくする外用薬などを用いて治療対象になることもありますが、自然に病変が消退することを期待してしばらく経過を観察する場合もあります。

毛孔性苔癬に対しては、二の腕の角質を柔らかくして除去する効果のある尿素含有の角質軟化剤やサリチル酸ワセリンなどが広く使用されています。

また、二の腕のブツブツとして現れる毛孔性苔癬は乾燥によって悪化することが多く、ヒルドイドローションなど保湿効果を有する薬が有効的に働く場合があり、皮膚科などの専門外来で処方してもらう以外に市販購入することも可能です。

毛孔性苔癬
毛孔性苔癬には、角質を柔らかくして除去する効果のある尿素含有の角質軟化剤や、乾燥による悪化を防ぐため保湿効果を有する薬を使うことも多い。
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これらの外用薬による治療の効果がはっきりと見られない場合には、レーザー治療やケミカルピーリングなど他の治療方法が検討されることもあります。

まとめ

今回は、二の腕にあるブツブツの正体とは何なのか、「毛孔性苔癬」の原因と対策などを中心に解説しました。

毛孔性苔癬の場合、二の腕だけでなく背中やヒップなどにブツブツとした盛り上がりを認めますが、外見的な所見以外の自覚症状はほとんどありません。

毛孔性苔癬は、見た目の変化以外に症状がないため放置されることもありますが、特に美容的な観点から病変部が気になる際には、皮膚科や美容外科など専門の医療機関を受診して治療内容などについて相談することが重要です。

今回の情報が参考になれば幸いです。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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