【セルフプレジャーは恥ずかしいこと?】ウーマナイザー広報が語る、日本女性に知って欲しい性の健康
セルフプレジャーグッズ界を牽引するブランド「Womanizer(ウーマナイザー)」を展開する、Lovehoney Group広報の小澤さんにお話を伺いました。性へのタブー視がまだまだ根深い日本市場においてセクシャルウェルネスを広めていく難度は高いそうですが…。家電量販店でもセルフプレジャーグッズが取り扱われるようになった今、女性たちがヘルシーにセルフプレジャーを楽しむ秘訣を教えていただきました。
セルフプレジャーグッズは恥ずかしいものだと思っていた
-小澤さんがセクシャルウェルネスの今の業界に携わりたいと思ったきっかけはなんでしたか。
小澤さん:以前はそもそも「セルフプレジャー」というワードさえ知らなかったんです!なので、アダルトグッズ=グロテスクなものというイメージが強くて。そんなある日、今では広報として携わっている自社の商品に出会って衝撃を受けました。パッケージもおしゃれで、グッズも美顔器みたいな親しみのあるデザインで、こんな商品があるのかと驚きました。
その際、セルフプレジャーに関して色々と教えてもらったんです。セルフプレジャーは、ただ気持ち良くなるといったセクシャルな意味だけでなく、セクシャルウェルネス(性の健康)を向上させる意義もあると知り、感銘をうけました。同時にそれまで持っていたイメージがガラリと変わり、すごく興味が湧いたんです。それが今の仕事に携わることになった1番のきっかけです。
ーー最初のイメージとのギャップが結構大きかったっていうところですかね。
小澤さん:そうですね。そういったアイテムって、刺激が強かったり、膣内に入れるものだったり、結構勇気がいるものだと思っていたんですが、それまで持っていた印象を良い意味で裏切られた感覚。その時手にしたのは女性のクリトリスに刺激を与えるタイプのアイテム。自分の手の甲で吸引を体験すると、思ったよりも吸引力がソフトで。「この程度の強さでいいんだ」と、とにかく驚きの連続でした!
ーーそれまでの小澤さんは 女性の友達同士でも性に関するトピックをあまり話さない方でしたか?
小澤さん:そうですね。当時のわたしは、そういった方面の知識はAVなどを通して得たものがほとんどでした。そこで使われてるものってやっぱり男性が主導権を握って女性に向けて使うといった図式が出来上がっている気がしていて。しかも、振動音が大きくて怖いという印象もありました。でも実際は、ちゃんと女性のことを考えて設計されている商品も世に出てきていますし、もっといろんな人に知ってほしいと感じたんです。
ーー今の業界に関わる以前は 全く違う業界だったんでしょうか?
小澤さん:はい。以前はファッション系のお仕事に従事していました。当時のわたしはセルフプレジャーグッズに対して「恥ずかしい」「卑猥なもの」といったネガティブなイメージを持っていた人間の一人でした。でも、だからこそ心を動かされたのかもしれませんね。広報としてこの業界に関わっている今でも、マス層の感性を役立てていきたい。みなさんに新鮮な発見や驚きを提供しながら、カジュアルな切り口でセルフプレジャーグッズを伝えていきたいです。
身体&メンタルにメリット多数
ーー女性がセルフプレジャーを取り入れることでどういったメリットがありますか?
小澤さん:心身ともに多くのメリットがあります。弊社が発表している研究結果(※)に基づいてお話ししますね。身体面では、性的な刺激によって血行が良くなり、性器の健康を維持できます。性的に興奮した時に身体がポカポカした経験はありませんか?それによって代謝も上がるので、免疫力の向上に繋がる可能性があるとも言われています。また、セルフプレジャーには生理痛を緩和させる効果があるという研究結果も出ています(Womanizer、Lovehoney Group社「Menstrubation Study(2020年)」調査対象:18カ国、18~49歳の生理中の486名)。女性特有の性の悩みにも大きく関連しているので、セルフプレジャーは生活に取り入れるべき習慣と言えるのかもしれません。
その他、メンタル面でもメリットがあります。ストレス解消やリラックス効果があるので、不安を和らげることができるのも特徴です。やっぱりセルフプレジャー自体が自分とじっくり向き合う時間でもあるので、それによって自己肯定感が高まったり自信がついたりするそう。ちなみに弊社のオフィスがあるドイツでは、セルフプレジャーがセルフラブと関連すると考えられているんです。
ーーセルフプレジャーによって自己肯定感が上がるというのは、どのような働きによるものなんでしょうか?
小澤さん:セルフプレジャーって、いわゆるオーガズムに達するとか気持ちよくなるためだけのマスターベーションとは違って、マインドフルネスに自分の身体を研究することでもある。快楽とか快感って人それぞれなので。一つの身体でも場所によって反応の現れ方は違うし、自分にとって気持ちいいポイントが潜んでるんですよね。そういうのを、セルフプレジャーを通して自分の身体と対話しながら見つけていく。自分が何が好きで何が嫌いでどこをどう刺激すればリラックスできるのか。時間をかけて探っていく過程でだんだん自分を好きになってくるんです。
ーー少しずつ自分の身体を受け入れられるようになってくるんでしょうか。
小澤さん:そうです。やっぱり身体のコンプレックスって少なからずあるじゃないですか。でも自分の身体に直接触れる機会が多くなると、どんどん愛着が湧いてくる。「あ、ここはこうなってるんだ、この部分がチャームポイントかも。」というように。 そういう部分が自己肯定感の向上に関与していると思うし、そのステップを経て自分を好きになることにも繋がっていると思います。
日本とドイツの市場、そして性教育の壁
ーーセルフプレジャーグッズを普及させるにあたり、日本の市場は他の外国の地域に比べてどんな特徴がありますか?
小澤さん:やっぱり日本は他の地域と比べると性に関するトピックがタブー視されがちな傾向があると感じています。それに「セクシャルウェルネス(性の健康)」という概念もまだまだ浸透していない。以前のわたしのように、セルフプレジャーグッズ=アダルトグッズというイメージを持ち、卑猥なものとか恥ずかしいものという印象を抱いている方が多いと思いますし、アダルトショップに出向いて買うことに抵抗を感じる女性はさらに多いかもしれませんね。
日本だとセルフプレジャーグッズを取り扱っているお店は多くの人の目に触れづらい場所に位置していることが多いと思うのですが、ドイツでは路面店もちらほら見られます。ショーウィンドウに商品が並べて置いてあってかなりオープンです。
弊社に在籍しているセクソロジストのエリザベスさんによると、性教育の違いが大きいのではないかと。ドイツでは小学校から性教育を授業で取り入れているそうです。ちなみにわたしはイギリス系の学校に通っていましたが、小学校高学年から性行為について学びました。性行為の男性器が女性器に入る段階を生物学的な視点からはっきりと見せていて、断面図のように描かれていたんです。中学生の時は、性教育の授業が男女で分かれていて、女子生徒は女性の先生に教わっていました。宿題で、お母さんの初体験の話を聞ける子は聞いてきてと言われ、自然と母娘で性について話せるきっかけになりました。これだけ差があるので、やっぱり性教育の影響は大きいのかもしれません。
ーー日本だと、授業内でほんの少ししかそういったテーマに触れないですよね。
小澤さん:そうですね。性教育の違いという背景もあり、日本ではまだまだ、セルフプレジャーグッズ=アダルトグッズ=卑猥なものっていうイメージがあるので、もっとヘルシーなイメージに変えていくことが課題です。
AUTHOR
竹田歩未
ライター/中国語翻訳。大学在学中に場所や時間に縛られない働き方に興味を持つ。卒業後の2022年〜ライターとして活動しながら念願の台湾留学を実現。Instagram「フェムテクラブ|フェムテック・フェムケアグッズ」を運営。SNS:Ayumi Takeda @ayumin_tkd フェムテクラブ @femteclub
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