女性は鉄の摂取量が不足しがち!【鉄分】を多く含む意外な食べ物と食べ方のコツ|管理栄養士が解説

 女性は鉄の摂取量が不足しがち!【鉄分】を多く含む意外な食べ物と食べ方のコツ|管理栄養士が解説
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あなたは鉄分をしっかり摂れていますか?20代、30代の女性の多くは、鉄の摂取量が十分ではありません。鉄が不足すると貧血になり、息切れや倦怠感などで、毎日を気持ちよく過ごせなくなってしまいます。そこで管理栄養士が、鉄分を多く含む食品を紹介します。鉄の吸収率をアップさせるポイントも解説するので、鉄の摂取量を高めて、貧血を予防するヒントにしてくださいね。

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女性の摂取不足に注意

鉄分は、血液のもとになる栄養素です。血液に含まれる赤血球の中に、ヘモグロビンという成分があります。ヘモグロビンは肺で取り込んだ酸素を、血液の流れにのって全身の細胞へくまなく送り届ける役割があります。そのヘモグロビンを構成しているのが、鉄なのです。

赤血球を作る鉄が足りなければ、貧血になってしまいます。貧血とは、鉄が不足して赤血球のヘモグロビンが少なくなり、体中に十分な酸素を届けられなくなった状態です。貧血になるとめまいや立ちくらみ、息切れ、頭痛、倦怠感などの症状が現れます。 

日本の若い女性は、鉄の摂取量が不足しています。1日に摂取すべき鉄の推奨量は18〜64歳の女性で6.5mgとされています。しかし実際の摂取量は、20代女性で平均6.2mg、30代女性で6.4mgと、推奨量に届いていません。特に女性は月経中、推奨量よりも4.0〜4.5mg多く鉄を摂る必要があります。鉄が豊富な食品を取り入れて、鉄の摂取量を増やしましょう。

鉄はレバーや貝類に豊富

女性はしっかり摂取して!鉄を多く含む食べ物を管理栄養士が解説
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鉄の摂取推奨量は、成人男性で1日7.5mg、成人女性で1日6.5mgです。これを踏まえて、鉄を多く含む食品を見ていきましょう。(数値は可食部100g当たりの鉄含有量) 

・豚レバー(13.0mg)
・鶏レバー(9.0mg)
・鶏ハツ(心臓)(5.1mg)
・しじみ(8.3mg)
・あさり(3.8mg)
・あさり水煮缶詰(30.0mg)
・がんもどき(3.6mg)
・納豆(3.3mg)
・調整豆乳(1.2mg)
・小松菜(2.8mg)
・ほうれん草(2.0mg)

栄養豊富な豚・鶏レバーには、鉄が多く含まれています。焼鳥でよく目にする鶏の心臓、ハツも鉄が豊富な食品です。

味噌汁でおなじみのしじみは、多くの鉄を含んでいます。味噌汁1杯70gのしじみで、5.8mgもの鉄を摂取できます。鉄をしっかり摂取するなら、しじみの味噌汁は汁だけ飲むのではなく、しじみの身も食べるようにしましょう。

生のあさりと缶詰のあさりでは、含有量に大きく差が見られます。この理由は、缶詰に加工される過程で水分が抜けて成分が凝縮されること、旬の時期に大量に収穫したあさりを缶詰に使用しているため、栄養価が高いことなどが考えられます。缶詰のあさりは買い置きできて、殻が外されてるため調理が楽なので、上手に取り入れてください。

鉄は大豆製品にも多く含まれています。納豆1パック40gでは1.3mg、豆乳1杯200gでは2.4mgの鉄を摂取できるので、鉄不足が不安な方は毎日摂ることを習慣にするとよいでしょう。

鉄の吸収率を高めるコツ

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鉄には、肉や魚介類などの動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、大豆製品や野菜などの植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。鉄は体に吸収されにくい栄養素ですが、ヘム鉄のほうが若干吸収率が高いことがわかっています。

鉄の吸収率をアップさせるには、以下の方法もおすすめです。 

・ビタミンCを一緒に摂取する
・タンニンの摂取を控える
・胃酸の分泌を促す

鉄とビタミンCを一緒に摂ると、鉄の吸収率を高められます。料理にレモン汁をかける、ビタミンCが豊富なパプリカやブロッコリーを一緒に食べるのがおすすめです。 

コーヒーや緑茶に含まれるタンニンは、鉄の吸収を阻害します。食事中や食後に、これらの飲み物を飲むのは控えましょう。 

食べ物を消化する胃酸は、鉄の吸収をサポートします。よく噛んで食べる、酢や梅干し、柑橘類など酸っぱいものを食べると胃酸の分泌が促進されます。ただし胃の調子が悪いときは、酸味が強いものを食べるのは避けてください。

鉄が足りていないのは、そもそも食事の量が少ないことも原因に挙げられます。ダイエットのつもりで食事制限をしていると、栄養不足から健康を損なうおそれがあります。鉄が豊富な食品を取り入れつつ、食生活全体を見直して、鉄の摂取量を高めていきましょう。

【参考文献】
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」

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AUTHOR

いしもとめぐみ 管理栄養士

いしもとめぐみ

管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。



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