栄養計算アプリは誤差だらけ?身体のサインを参考に食生活を改善する方法
ここ10年ほどで、アプリを使ってカロリー計算をしたり、グラフで表示されるPFC(P:たんぱく質、F:脂質、C:炭水化物)の目標値を目安に食事改善するのが流行るようになりました。しかし、もともと「身体の変化が目的で」始めたはずだった記録が、いつしか数字を追うことが1番目的になってしまってる人は多いのではないでしょうか?
日々の微妙な身体の変化は素通りで、食品成分表示やカロリー表示とばかりにらめっこ。スコアを悪くするような食事をする時は罪悪感を感じてしまう…。身体が変わって人生が今よりもよくなるように始めた習慣だったはずなのに、いつも何かに追われているような食生活をしていては本末転倒です。
PFC・カロリー計算にはたくさんの誤差が隠れているので、アプリの計算はあくまで「参考程度に」利用するのが大切。「計算さえ合えば身体は変化するものだ」と勘違いしている人は、一旦スマホとのにらめっこを止めて、誤差の可能性を知り、自分の身体を観察することで食生活を改善してみてはどうでしょうか?
アプリ計算は「参考程度に」:誤差の可能性
①「栄養成分表示」には20%の誤差がある
PFCバランスを知るためには食品の栄養成分表示を使いますが、実は、この表示には「±20%まで誤差が認められますよ」というルールがあります。理由は、その土地の土の栄養・産地・季節・保存方法・加工方法などで食べ物の成分が変わるから。だから、成分表示や統計データを元に“キッチリ”と数学者並みの精度で計算したところで、20%多い可能性もあるし、20%少ない可能性だってあるのです。
②アプリの「推測値」に誤差がある
どのアプリも、統計データを元にあなたにぴったりの数値を“推測”して出しています。身長・年齢・体重・活動量などを入力するのも、この統計データにあなたを当てはめて“推測”するため。表示されているのは「あなたと同じ身長・年齢・体重・活動量の人は、こういう傾向がありますよ〜」という数字なのです。
たくさんの人から取ったデータを元に平均値を出しているので、とんでもなく見当違いな数字が出るわけではありませんが、あなたの身体を直接調べて出したデータではないので、ほぼ必ず誤差があると考えてください。
③食べた栄養が吸収されていない
食べてはいるけど、吸収されずにそのままトイレに流れてるパターンです。吸収されない理由はたくさん考えられるので、この場で1つあなたへの回答を差し出せるものではありません。ただ、その可能性として挙げられるものは
・生活習慣(寝不足、ストレス)
・ビタミン・ミネラルなど、「たんぱく質の吸収を助ける栄養」が足りない
・元々栄養の吸収が効率的ではない体質
・食事改善を始めてすぐで、体質の変化が食生活の変化にまだ追いついていない
食事や生活習慣を変えてから、身体がその変化についていくのには数ヶ月から数年単位の時間がかかります。たんぱく質などの摂取量を増やしたからって、すぐにその全てを吸収できるようになるわけではないのです。体質的に元々栄養が吸収されにくいタイプの人(何も気にしないと痩せてしまう、普通に生活してると痩せすぎてしまう)は、特にこの変化への対応に時間がかかったりします。
ささくれ・爪割れに注目:「身体と向き合う」とは?
「身体と向き合う」ってどういうこと?と疑問に思いますよね。今日から始められる身体のチェックのうち、例として「たんぱく質が足りてません!」のサインを紹介します。それがささくれ・爪割れです。肌も爪も、たんぱく質からできています。計算上ではたんぱく質をしっかり摂ってるのにささくれ・爪割れがある人は、先ほど紹介した誤差などが原因で、身体には反映されていない可能性があります。
Q:ささくれ・爪割れがある人はどうしたらいいか?
たんぱく質の摂取量を増やしたらそれだけで解決する場合もあります。魚や肉のおかずを増やしたり、おやつとしてゆで卵を食べたり、プロテインを飲んだり。しかし、身体の消化・吸収能力が追いついてない場合、量を増やすだけだと消化不良でおならが増えたり、腸内のアンモニアが増えておならや体臭がキツくなったりします。急にたんぱく質の量だけ増やしても効果は期待できないので、胃腸の環境を改善して吸収を良くすることが大切です。
Q:吸収を良くするためにはどうしたらいいか?
改善のおおまかな方向性としては「内臓の働きを改善すること」。内臓の働きを改善してたんぱく質の吸収率を上げるために具体的にできることは、
・ビタミンやミネラル等、他に足りていない栄養素を増やす
・睡眠の質・量を改善する
・精神的ストレスの原因を取り除く
・休暇をとってストレス発散する
・運動をやりすぎない(十分休みをとる)
など
つまり、「健康的な生活をしましょうね」ということです。目新しくなくてつまらないですよね…。でも、まずは基礎を抑えるのがどんな流行に乗っかるよりも1番効果的。吸収率を下げている不健康習慣を見直してみてください。
アプリ計算を毎日やることで「頑張ってる感」を得ることが目的になってしまっていないか、身体に反映されているかを基準にやるべきことを選べているか、今一度確認して、手段と目的がつながる努力をして心も身体もキラキラする食生活を選びましょうね。
AUTHOR
mikiko
パーソナルトレーナー|自身の失敗経験を元に個人差や体質を重視した『mikiko式フィットネス論』を提唱|身体と人生観が変わるフィットネス哲学で、一生ブレないための視野と学びを発信しています|流行を根拠と本質で斬る人| 筑波大学健康増進学修士|NZベストトレーナー入賞
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