「最近やる気が出ない…」夏バテが原因じゃない?夏バテとは違う「夏季うつ」とは|心の専門家が解説

 「最近やる気が出ない…」夏バテが原因じゃない?夏バテとは違う「夏季うつ」とは|心の専門家が解説
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石上友梨
石上友梨
2023-07-16

最近やる気が出ない…なんだか落ち込むことが続いている…そんな悩みはありませんか?今回は季節性のうつである夏季うつについて解説します。

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夏季うつとは?

夏季うつとは季節性感情障害(SAD)のひとつで、夏の時期にうつ症状になるものの俗称です。冬の時期にうつ症状になる冬季うつの方が広く知られているかと思いますが、夏季にうつ症状に悩む人もいらっしゃいます。夏季うつの症状は個人によって異なりますが、一般的には以下のようなものがあります。

夏季うつ

睡眠の問題

寝付きの悪さや早朝に目を覚ましてしまうこと、睡眠の質が低下して夜間に何度も目を覚ますことや、長時間寝ても疲れが取れないことがあります。

食欲の低下

食欲の低下や体重の減少がみられる場合があります。

落ち込みやイライラ感などが強くなる

気分の落ち込みや不安、焦燥感や緊張、イライラ感などが増加します。

疲労感

睡眠問題の影響もあり、疲労感や体力の低下を感じることがあります。

集中力ややる気の低下

注意力や集中力の低下、やる気が出ないなどの症状がみられることがあります。

夏季うつの原因とは?

夏季うつの原因は明確には分かっていませんが、いくつかの要因が関与している可能性があります。例えば、夜間の高温や湿度による睡眠の質の低下や睡眠リズムの乱れ、外の暑さとエアコンによる冷えの繰り返しによる自律神経の乱れ、体内の水分やミネラル成分のバランスの変化、食欲低下による偏った食生活で引き起こる栄養バランスの変化などが挙げられます。

夏バテと夏季うつの関連は?

夏バテと夏季うつは共通した症状もありますが、異なるものです。夏バテは、暑い気候や湿度の増加によって引き起こされる身体的な疲労や体調不良の状態を指します。主な症状には倦怠感、食欲不振、体力の低下、頭痛、めまいなどがあります。夏季に高温多湿の環境下で過度の汗をかいたり、適切な水分補給や栄養バランスの乱れなどが原因となることがあります。夏バテは一般的に身体的な問題であり、休息や適切な栄養摂取、水分補給などによって改善することができます。

一方、夏季うつは季節性感情障害の一つです。夏季うつの症状は、先程説明したように、不眠や食欲変化、落ち込みやイライラ、疲労感、集中力の低下などです。夏バテと夏季うつは、夏季に現れ、症状が一部重なりますが、夏バテは主に身体的な要素に関連し、夏季うつは心理的な要素に関連しています。

夏季うつの対処法とは

夏季うつを乗り越えるためには、以下のようなストレス対処法が有効です。しかし、日常生活への影響が大きい場合、自分での対処が難しい場合は、早めに医療機関にかかり、専門医に相談することをおすすめします。

夏季うつ

健康的なライフスタイルを維持する

健康的な生活習慣を維持することは、心の健康にとても重要です。バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動、適切な水分摂取などを心がけましょう。例えば、食欲が低下しているからとアイスや素麺ばかり食べずに、無理のない範囲で栄養バランスを意識することや、室内の温度や湿度を調節する、吸水性の高い寝具に変えるなど、睡眠環境を快適にして少しでも質が高い睡眠が取れるように工夫しましょう。

ストレス対処法をする

社会的なつながりや趣味活動など、楽しみや喜びを見つけることが大切です。暑いからと室内にこもって今までの趣味が楽しめないのなら、室内で出来る新たな趣味を探してみることもオススメです。呼吸法やマインドフルネス瞑想は場所や時間を問わずに実践できますし、ストレスや不安を軽減し、心身のバランスを回復させる助けとなります。室内で映画やドラマを楽しむ、手芸や芸術活動を楽しむなど、夏季に合ったストレス対処法を探してみましょう。

人に相談をする

自分の気持ちを溜め込まずに外に吐き出すことが大切です。信頼できる人に相談したり、日記などに気持ちを書き出してみましょう。また、臨床心理士や公認心理師など専門家に相談をして、カウンセリングを受けることで、自分自身を見つめ直し、ストレスに対処するための具体的なスキルを身につけることができます。特に溜め込む癖がある人は、一人で抱え込まずに吐き出してみましょう。

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石上友梨

石上友梨

大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。



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