「暗いところでテレビを見たり本読んだりすると目が悪くなる」って本当?それとも嘘?眼科医の見解は

 「暗いところでテレビを見たり本読んだりすると目が悪くなる」って本当?それとも嘘?眼科医の見解は

子供の頃、暗いところでテレビを見てたり本を読んでいたら、親に「電気をつけなさい」と言われた記憶がある方も多いのではないでしょうか。その影響でなんとなく、そういうものか、と受け入れている方が多いのではないかと考えます。では、医学的にそのようなことはエビデンスがあるかどうか述べていきたいと思います。

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目の病気につながることはない。だけど…

まず知りたいことは「実際に、暗いところでテレビを見たり本を読んだりすると本当に目が悪くなるかどうか」だと思います。目の病気、例えば水晶体(カメラでいうレンズ)が濁ってしまう白内障、眼圧(目の硬さ)が上がってしまうことにより神経が傷んで視野が欠けてくる緑内障、網膜(カメラでいうフィルム)に穴があいてしまい眼球の壁から網膜が剥がれてしまう網膜剥離などありますが、このような目の病気につながることは一般的にないかと思います。

一般的に「目が悪くなる」ということは近視が進んでしまい、裸眼で物が見づらくなることを想像されていることが多いかと思います。では、暗いところでテレビを見たり本を読んだりすると近視が進むのでしょうか。

そもそも、明るい状態で物を見ることと、暗い状態で物を見ることの違いは何だと思いますか?

人体の眼球の網膜には、明るい所で働く、色の識別ができ視力が良くみえる場所と、暗い所で働き、色の識別がしづらく視力が悪い場所があります。前者は網膜の中心部に多く、後者は網膜の周辺部に多く存在しています。

眼球
眼球の構造 イラスト/Adobe Stock

つまり、暗い所でテレビを見たり、本を読むということは、暗い所で働く視力が悪い網膜の場所が担当することになり、見えが悪くなってしまいます。見えが悪くなると、どうなるでしょうか。想像してみてください。自然と見る距離が近くなるのではないでしょうか。テレビに自然に近づいてしまう、本をいつもよりも近くに近づけてみている状況になってしまうと思います。

近くのものを見ていると、実は眼球のなかの筋肉(毛様体筋)が緊張している状態になっています。逆に遠くのものをみているとその筋肉は緩むこととなり、リラックスしている状態となります。近くを見ると筋肉が緊張するので、眼精疲労になりやすくなります。また、その状態で続けていくとそこからさらに疲労が蓄積されていきます。眼球としては、そのままだといけないと判断して、徐々に近くを見るのに楽な形にしようとする(近視が進む=近くが見やすく、遠くが見えづらい)という考えになります。

ただし、ハッキリとした研究結果や学会発表などは無いのが事実です。しかしながら、あえて眼球に負担がかかる環境下での作業をする必要はないかと考えます。眼精疲労が蓄積していくと、目の痛みのみならず、肩こりや頭痛など他の部位の痛みの発生にもつながりますし、つまり良いことは一切ありません。例えば学校にも、教室や黒板の照度の衛生基準として最低300ルクス以上で、なるべく500ルクス以上の明るさが必要とあります。このように、しっかりと目に負担のかからない明るさでテレビを見たり本を読んだりすることが重要と考えます。なるべく眼精疲労を減らすように心がけましょう。

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AUTHOR

Dr.ハッピー

Dr.ハッピー

眼科専門医。医学博士。 関東の医学部卒業後、大学院へ進学し、基礎研究を行う。 研究結果をまとめ論文執筆し医学博士号を取得。 その後は臨床経験を積み重ね、国内のみでなく、海外での学会発表歴もあり。 現在は、総合病院の眼科部門のリーダーとして検査、診断、治療を日々行っている。



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