「病院でもらった薬、いつまで使える?」意外と知らない【薬の使用期限】について薬剤師が解説
「病院でもらった薬、いつまで使えるのかな」とお悩みになった経験のある方はいませんか?処方薬には使用期限の書いていないことが多く、戸惑ってしまいますよね。 ここでは、処方薬のおおよその使用期限と、正しい保管方法についてご紹介します。
「病院でもらった薬、いつまで使えるのかな」とお悩みになった経験のある方はいませんか?処方薬には使用期限の書いていないことが多く、戸惑ってしまいますよね。 ここでは、処方薬のおおよその使用期限と、正しい保管方法についてご紹介します。
だいたい半年~1年が目安
よく処方される一般的な薬であれば、それほど使用期限が短いということは滅多にないと思われます。半年~1年ほどは余裕を持って使用できることが多いでしょう。抗がん剤や新薬などの珍しい薬、小児用の薬などは、それほど頻繁に使用されるわけではないため、使用期限が短いことがあります。 また、シロップ剤、薬局で分包された粉薬などは、すでに「開封」された状態のため、使用期限が短くなります。シロップなら1週間程度、分包された粉薬は3か月が目安です。 点眼液は、開封していれば1か月以内で使い切るようにしましょう。いつ開封したかわからない点眼液は、処分してください。
保管の環境にも気を付けて
薬も食べ物と同じで、保管している環境によっては成分が早く劣化してしまいます。効果が十分に得られなくなる可能性がありますので、正しく保管しましょう。光・温度・湿度が薬の品質に影響を与えます。
薬の保管に適した場所
・直射日光の当たらない場所
・気温が高くなりすぎない場所
・湿度の上がらない場所
缶やフリーザーバッグなど、ある程度密閉できる容器に入れ、温度調節のされた部屋の日陰に保管するのがベストです。一包化されたものは、湿度に弱いことがあります。乾燥剤を一緒に入れておくと品質が保たれやすいです。 シートに穴が空いてしまった場合は、湿度によって品質の劣化が起こるかもしれませんので、早めに使いましょう。いつから穴が空いていたかわからない場合は、使用せず処分してください。
使用に注意が必要な場合
「発熱時」「痛い時」のような毎日使うわけではない薬(頓服薬)は、手元に余ってしまいがち。ですが、以下の点には注意してください。
(子どもの場合)体重が変わっているとき
子どもの薬は、体重によって量を決めていることが多いです。少ない量では十分な効果が得られず、多すぎれば副作用が出てしまう場合があります。 目安として、体重が5kg変わっていれば薬の量が変わる可能性があると思っていてください。
処方薬を自分以外の人に渡さない
処方薬は、その人の年齢や体格、臓器の機能などに合わせて量が調整されています。 自分以外の人に渡したときに、思いもよらない強い副作用が出てしまう可能性もあります。副作用によって入院などの必要が出たとき、通常は「副作用被害救済制度」によって医療費が給付されますが、他の人に処方された薬を使った場合にはこの制度が利用できません。 安全のためにも、処方薬は処方された人だけが使用してください。
抗菌薬(抗生物質)は勝手に使わない
抗菌薬は、処方された日数全て飲む必要があります。ですので、基本的には「余っている」という状況にはなりません。 もし余っていたとしても、「似たような症状だから」と自己判断で飲まないでください。抗菌薬は正しい量・正しい日数で使用しなくては、その抗菌薬が効かない細菌が体内で増えてしまい、治療が難しくなります。
まとめ
今回は、処方薬の使用期限と保管方法、注意点について解説しました。 基本的に半年〜1年ほどは使用できると思われますが、保管状況が悪かった場合には使用を控えてください。これを機に、薬の保管方法を見直し、古くなっている薬は処分してしまいましょう。
AUTHOR
中山アユム
病院に勤務する薬剤師。感染症・緩和ケアを得意とする。大学病院や市立病院などの総合病院で勤務してきた経験を活かし、薬剤師として働くかたわら、医療ライターとしても活動している。
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