ドライフルーツで肥満リスクが高まる?原因や摂取目安量、選び方について管理栄養士が解説
ドライフルーツは、手軽に果物の栄養を摂取できる食品です。しかしその濃厚な甘みから、ドライフルーツを食べると太りそうだと感じたことはありませんか?ドライフルーツは健康に役立つ反面、肥満のリスクを高めるおそれもあります。そこで健康的にドライフルーツを摂るために、気をつけるべき点を管理栄養士が解説します。
ドライフルーツを食べるメリット
果物を乾燥させて、水分量を少なくすることで保存性を高めた食品、ドライフルーツ。果物のおいしさや栄養がぎゅっと凝縮されているため、生活に取り入れている人も少なくないでしょう。まずは、ドライフルーツを食べるメリットを確認します。
ドライフルーツは栄養成分が凝縮されており、少ない量でも効率よく果物の栄養を摂取できます。果物は皮にも有益な栄養素が含まれていますが、生の果物では皮を廃棄しがちです。しかしドライフルーツは皮ごと加工されているものも多いため、果物が持つ栄養を無駄なく摂取できます。
ドライフルーツは噛みごたえがあるので、満腹感が得られやすいこともメリットです。甘みが濃厚なので、少量食べるだけでも満足できますね。
生の果物よりも扱いやすいことも、ドライフルーツのポイントです。果物は傷みやすく、新鮮なものを常にストックしておくのは管理も大変です。しかしドライフルーツは、生の果物よりもはるかに日持ちします。さらに皮をむいたり、カットしたりする必要もありません。サイズは小さく、重さは軽くなるため持ち運びやすく、外出先でもすぐに食べられます。
ドライフルーツを食べると太る?
糖質の摂りすぎが肥満につながることは、よく知られていますね。食後に血糖値が急上昇すると、血糖値を下げるホルモン「インスリン」が過剰分泌されます。インスリンは血糖を脂肪に変えて体に蓄えることで血糖値を下げるため、血糖値が急激に上がると肥満になりやすいのです。
しかし果物に含まれる糖質「果糖」は、血糖値を上げにくいといわれています。血糖になるのは「ブドウ糖」であり、果糖自体が血糖値を上昇させることはありません。果糖の一部は体内でブドウ糖に変わりますが、果糖は体へゆっくりと吸収されるため、血糖値を急上昇させにくいと考えられています。
また果糖は、ブドウ糖に変わる前に分解されてエネルギーなどに使われることからも、比較的肥満になりにくい糖質といえるのです。
ここまで聞くと、ドライフルーツは太りにくいように思えます。しかし、砂糖が添加されているドライフルーツには注意が必要です。
甘みが少ない果物を食べやすくしたり、保存期間を延ばしたりするために、砂糖を加えているドライフルーツが多く流通しています。砂糖は体内でブドウ糖になり、血糖値を上昇させます。さらに砂糖を加えている分、摂取エネルギーも増えるため、砂糖が添加されたドライフルーツは肥満になりやすいのです。
とはいえ、砂糖無添加のドライフルーツを選べば安心、というわけではありません。
果物は本来、エネルギーや糖質が豊富な食品です。ドライフルーツはその果物の栄養が凝縮されているので、少量だけ食べたつもりでも、意外と多くのエネルギーや糖質を摂っていることがあります。砂糖無添加のドライフルーツでも、食べすぎないように注意してください。
ドライフルーツの摂取目安量
ドライフルーツの原料は果物ですが、エネルギーや糖質が高いので「間食」として考えましょう。食事バランスガイドでは菓子・嗜好飲料について、1日の摂取量の目安を200kcal程度としています。主なドライフルーツで、約200kcalにあたる量は以下の通りです。
- マンゴー 60g
- レーズン 60g
- デーツ 70g
- いちじく 70g
- プルーン 90g
ドライフルーツは、この量を目安に食べることをおすすめします。ただしこの値は乾燥具合によって変化するため、市販品は包装の表示を確認してください。
果物の栄養成分を効率よく摂取できるドライフルーツは、便利な食品です。しかし選び方や量を誤ると、肥満の原因になってしまいます。ドライフルーツを食べるときは砂糖無添加のものを選び、適量を守るようにしましょう。
【参考文献】
厚生労働省 e-ヘルスネット「果物」
厚生労働省 e-ヘルスネット「間食のエネルギー(カロリー)」
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
農林水産省「『食事バランスガイド』の適量と料理区分」
AUTHOR
いしもとめぐみ
管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。
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