【肥満体型になりやすい?】研究結果が示唆!ノンシュガー・ゼロカロリーの人工甘味料が及ぼす影響
ダイエットの味方であるはずの人工甘味料。肥満を防ぐために手に取る人も多いと思いますが、腸内細菌叢のバランスから見ると、長期間摂取することで肥満体型になりやすいことがわかっています。
腸内細菌叢から見る人工甘味料の影響
人工甘味料は砂糖と同等のカロリーをもたらす事なく、砂糖と置き換えたダイエットに効果的なイメージがあります。2011年の段階で承認されている人工甘味料は複数ありますが、それぞれ砂糖と比べて180倍、種類によっては600倍も甘みを強く感じるため、人工甘味料の強い甘みは甘党の人も満足させる事ができます。しかし、腸内細菌叢のバランスを守るには、できるだけ避けたい食品添加物とも言われています。
米科学雑誌「プロスバイオロジー」(2016年版)によると、人間の腸内細菌叢を作っている細菌の数は39兆個あり、腸内に適切な食べ物を摂取する事で、がんや糖尿病といった病気に対する抵抗力を高め、傷を治癒させる能力の向上、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)やうつ病、肥満、心血管疾患、さらにはアルツハイマー病やパーキンソン病といった疾患に対する抵抗力が向上する事などが確認されています。
2015年、イスラエルの科学者たちが糖尿病に羅患していない40代の健康な参加者381人を対象に行った研究で、ノンカロリーの人工甘味料を長期間に渡って摂取している人の腸内細菌叢に変化が見られる事がわかりました。
研究の結果、対象者はウエスト/ヒップ比(W/H比)が高く、肥満傾向を示し、さらに空腹時血糖値が高く、長期間の血糖値の平均を表す血中ヘモグロビンA1c(HbA1c)が高い傾向にありました。ダイエットの味方であるはずの人工甘味料が、腸内細菌による糖代謝の調整や体重増加の抑制機能に悪い影響が及ぼす可能性が示唆され、長期的に摂取することで肥満体型になりやすい傾向が認められたのです。
腸内細菌叢にも良い、甘いジュースに注目!
一方で、同じ甘いものでも、ザクロやクランベリー、コンコード(ぶどう)を使ったフルーツジュースは、がんを排除する免疫力を高めるアッカーマンシアという腸内細菌を増やすと言われています。 2015年の「サイエンティフィックリポーツ」(Scientific Reports)によると、アッカーマンシア・ムシニフィラという細胞は腸の炎症を鎮め、肥満を抑制し、特定のがん免疫療法への反応を高める働きがある事が知られています。(もちろん、果糖が含まれているので飲みすぎには注意が必要です)
ストレスや疲労から、ついつい口にしたくなるジュースやお菓子。「ゼロカロリー」「ノンシュガー」という表示に惑わされ過ぎずに、腸内細菌叢のバランスを整える視点で選んでみてはいかがでしょうか。
AUTHOR
鈴木七代
オーストラリア・ブリスベン在住。イラストレーター。ヨガを始めライセンス取得後ヨガイラストやヨガ漫画をスタート。オーストラリアから健康にまつわるあれこれをイラストやエッセイ漫画で発信中。アスリートの食指導を行う管理栄養士の妹の影響で、現在、健康的な食べ方や栄養学についても学んでいる。
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