太る人が食べているおにぎりと太らない人が食べているおにぎりの違いは?管理栄養士のダイエット朝食

 だしおにぎりとだし
イラスト石松佑梨
石松佑梨
石松佑梨
2023-03-29

糖質オフがダイエットの主流となり、「米=太る」というイメージが強くなっています。残念ながら糖質の過剰摂取は太る原因です。一般的なコンビニおにぎり1個の糖質量は約35.6gと、そんなに多い量ではありません。ただし1個だけではお腹が満たされないため、2個、3個… と食べてしまうと糖質の過剰摂取につながってしまうのです。さらに問題は糖質以外の栄養素が不足している点にあります。以下で詳しく解説しましょう。

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糖質オフがダイエットの主流となり、「米=太る」というイメージが強くなっています。ここでは「太るおにぎり」と「太らないおにぎり」について紐解きます。

大きな「太らないおにぎり」の作り方

大きな白米おにぎりは「太るおにぎり」のグループに入ります。一般的なコンビニのおにぎりは100g前後(小茶碗軽く1杯程度)です。白ご飯100gの栄養価はエネルギ−156kcal、タンパク質2.5g、糖質35.6g、食物繊維0.3gですので、おにぎり1個だけなら糖質量もそんなに多くありません。ところが、コンビニのおにぎり1個だけでは逆にお腹が空いて間食が増えてしまうこともあります。おにぎりのボリュームはそのまま、これを「太らないおにぎり」に変えるためのポイントが、白米以外でカサ増しすることです。

たとえば、もち麦でカサ増ししてみましょう。もち麦は白米よりも水を吸って膨らむため、少量でもお腹が満たされやすいのです。多く含まれる水溶性食物繊維は糖質の吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を防ぎます。

また、おにぎりの具材でもカサ増しができます。鶏肉、ツナ、ちくわ、卵、油揚げなどのタンパク質源を米と共に炊きこんだ具沢山の炊き込みおにぎりは、不足しがちなタンパク質を補い、代謝アップに繋げられるでしょう。

塩むすびにちょい足しで「太らないおにぎり」に変える

手に塩をつけて、炊き立てアツアツのご飯をふわっと握った塩むすび。おいしいですよね… ただし、塩むすびだけでは「太るおにぎり」のグループに入ってしまいます。

白ご飯の単品摂取は、血糖値の急上昇を招くだけでなく、タンパク質、ビタミン、ミネラルを不足させてしまうのです。エネルギー源である糖質は体内にあるのに、それを燃やすための栄養素が不足しているため、代謝はスムーズに進みません。日中はスタミナも出ないのに、糖質は体内で余ってしまい体脂肪として蓄えられてしまうのです。

塩むすびを太らないおにぎりに変えるためには、タンパク質、ビタミン、ミネラルをちょい足しをすることです。焼鮭、しらす、かつお節、ツナマヨ、明太子ならタンパク質、昆布、海苔、豆類、梅干し、ごまならビタミンとミネラルに食物繊維まで補給できます。

また、具沢山の味噌汁を組み合わせるのもおすすめです。たとえば、豆腐とわかめの味噌汁、卵とキャベツの味噌汁、豚汁などはタンパク質、ビタミン、ミネラルが補いやすい味噌汁です。

おにぎり 味噌汁
タンパク質、ビタミン、ミネラルを含む具のおにぎりと、具沢山の味噌汁を合わせて。
photo by Adobe Stock

冷えたおにぎりがすべて「太らないおにぎり」なわけではない

冷えたおにぎりがダイエットにいいと聞いたことはありますか? ご飯は冷めるとかたくなり、レジスタントスターチが増えます。レジスタントスターチとは難消化性でんぷんのことです。小腸まででは消化されず、大腸まで届くことで、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の両方の働きをします。たとえば、腸内細菌を活性化したり、便秘を改善したり、血糖値の急上昇を抑えたりする働きが期待されているものです。そのためダイエットにも効果があります。

ただし、レジスタントスターチは、もち米や低アミロース米のようなモチモチした食感のご飯では増えにくいことがわかっています。レジスタントスターチの効果を得るためには、ササニシキのような高アミロース米を選ぶ必要があるのです。

米でんぷんには、米に「かたさ」を与えるアミロースと、もちもちとした「粘り」を与えるアミロペクチンがあります。たとえばもち米に含まれるでんぷんは、すべてアミロペクチンです。一方のササニシキはアミロースを多く含み、アミロペクチンの含有量が少ないため、粘りが少なくパサパサとしています。また市販のおにぎりによく使われているコシヒカリは、ササニシキよりもアミロペクチンの含有量が多く、冷えてももっちりとした食感があるお米です。もちもち食感が好まれる近年では、アミロペクチン含有量の高いお米が好まれる傾向にあります。ただし、好みは人それぞれです。高アミロース米を一度、試してみるのもいいでしょう。

また、ビタミンやミネラル豊富なアワやヒエなどの雑穀や、ポリフェノールが豊富な古代米などをお米にプラスして不足する栄養素を補うことも代謝アップにつなげられます。

頑張らないから続く、おいしいダイエット朝食。ぜひお試しください。

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石松佑梨

石松佑梨

サッカー日本代表選手をはじめ、世界で活躍するトップアスリートたちの専属管理栄養士として従事。のべ2万人以上に提供してきた「頑張らない食トレ」を武器に、近年は企業の健康経営や地域創生も展開する。幼い頃から「おいしい」への執着心が人一倍強く、おいしく健康に食べるための「ずるい栄養学」で、誰もがおいしく食べて健康になれる社会を目指している。著書に『過去最高のコンディションが続く 最強のパーソナルカレー』(かんき出版)がある。



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