管理栄養士が指摘する、ノンオイルドレッシングの落とし穴|栄養的に損しているってどういうこと?

 管理栄養士が指摘する、ノンオイルドレッシングの落とし穴|栄養的に損しているってどういうこと?
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サラダにかけるドレッシング、あなたはどのようなものを選んでいますか?摂取エネルギーを気にしてノンオイルドレッシングを使っていると、栄養的に損をしているかもしれません。この記事では、管理栄養士がオイルに含まれる脂質の効果や、ノンオイルドレッシングのデメリットを解説します。

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栄養をムダなく摂るならオイル入りドレッシングを

「野菜は食べたいけど余計なエネルギーを摂りたくない」というダイエット中の人などに、ノンオイルドレッシングは人気です。脂質の量が少ないノンオイルドレッシングを使えば、摂取エネルギーをおさえられます。しかしそれと引き換えに、野菜の栄養素が十分吸収されない可能性があります。

脂質は体を動かすエネルギーの源であり、細胞膜やホルモンの材料などにも使われる、体に必要な栄養素です。摂りすぎは肥満や生活習慣病の原因となりますが、だからといって脂質の摂取を避けるのもよくありません。 

脂質はビタミンA、E、D、Kの体への吸収率をアップさせます。これらのビタミンは油に溶けやすい性質があるため、脂質と一緒に摂取することで効率よく体に吸収されるのです。 

ビタミンAそのものは目の健康維持に作用し、体内でビタミンAに変換されるβカロテンには、体を活性酸素から守る抗酸化作用があります。ビタミンEも強い抗酸化作用を持っています。ビタミンD、Kはともに骨を丈夫にする働きがあり、骨粗しょう症のリスクを下げるために積極的に摂りたい栄養素です。 

脂質を必要以上に避けていると、食材が本来持っているこれらの栄養素が十分に吸収されません。せっかく栄養豊富な食材を摂っているのに、その栄養をムダにしてしまっているのです。 

また脂質には、便のすべりをよくしたり腸を刺激したりして、排便をスムーズにする効果があります。便秘を解消したい人はオイル入りドレッシングを使い、適量の脂質を摂ることをおすすめします。

糖質や塩分を摂りすぎるおそれも

揚げ物など、脂質をたっぷり含む料理はおいしく感じます。ドレッシングも同じで、ノンオイルドレッシングは脂質が少ない分、味を物足りなく感じがちです。それを補うために、ノンオイルドレッシングは糖分や塩分を多く使用していることがあります。 

そのままサラダなどにかける市販のドレッシングは、実際の使用量がわかりづらいため、糖質や塩分を意外と摂りすぎているかもしれません。

良質な油でドレッシングを手作りしよう

栄養的に損?ノンオイルドレッシングの落とし穴を管理栄養士が解説
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市販のオイル入りドレッシングを使うことに抵抗がある人は、ドレッシングを手作りしてはいかがでしょうか?

ドレッシングは、油・酢・塩があれば簡単に手作りできます。市販のドレッシングの多くには食品添加物が使われていますが、手作りすれば余計な添加物が入りません。原材料や配合を調整できるので、自分好みの味にできることもメリットです。

ドレッシングを手作りするときは、健康効果が期待できる油を使いましょう。オリーブオイルやグレープシードオイル、えごま油、あまに油、MCTオイルなどがおすすめです。

オリーブオイルに含まれるオレイン酸には、悪玉コレステロールを減らす効果が期待できます。また酸化しにくいことも特徴です。

グレープシードオイルは、ブドウの種から抽出される油です。オリーブオイルの約4倍の量にあたるビタミンEのほか、ポリフェノールも含まれており、高い抗酸化作用が見込めます。コレステロール値を低下させるリノール酸も豊富です。

えごま油、あまに油に含まれるαリノレン酸は、体内でEPAとDHAに作り替えられます。EPAとDHAは血液をさらさらにして血栓を防ぎ、動脈硬化や心筋梗塞を予防する効果が期待できる脂肪酸です。

MCTオイルに含まれる中鎖脂肪酸は、体の中ですばやく消化・吸収される特徴があります。そのため体に蓄積されにくく、エネルギーになりやすいとして注目されています。

これらの油には健康効果が期待できますが、エネルギーの過剰摂取にならないよう摂りすぎには注意してください。ドレッシングに適量の油を取り入れて、効率よく野菜の栄養を摂取しましょう。

【参考文献】
厚生労働省 e-ヘルスネット「脂肪/脂質」
厚生労働省 e-ヘルスネット「中性脂肪/トリグリセリド」
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
日清オイリオ「植物油のヘルシー成分」

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AUTHOR

いしもとめぐみ 管理栄養士

いしもとめぐみ

管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。



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