【医師が解説】意外な落とし穴も…今すぐ気を付けたい、老けない体を作る「良質なたんぱく質」の摂り方

 【医師が解説】意外な落とし穴も…今すぐ気を付けたい、老けない体を作る「良質なたんぱく質」の摂り方
AdobeStock

「良質なタンパク質をとりましょう」とよくいわれますが、食材を選ぶときにどんなことに気を付けたらよいのでしょうか? 『若返りの医学 ―何歳からでもできる長寿法』(さくら舎)より、筋力や認知機能の老化を防ぐ、たんぱく質の摂り方についてご紹介します。

広告

タンパク質をとるときはアミノ酸スコアに注目

さて、タンパク質というと肉を想像する方が多いと思いますが、肉を60g食べてもタンパク質を60g得られるわけではありません。

たとえば、高タンパク低カロリーの食材としてダイエッターに人気のある鶏ささみ(生)100gには19・7gのタンパク質が、牛もも肉(脂身つき・生)100gには16・0gのタンパク質が含まれています。したがって、タンパク質60gを摂取するには、どちらも300g以上食べなくてはならない計算になります。若い人でも一度に食べるのは大変な量ですが、3度の食事で上手にとれば問題ありません。

また、「良質なタンパク質をとりましょう」とよくいわれます。良質なタンパク質とは、わかりやすくいえば「必須アミノ酸」をバランスよく含む食材のことです。

画像

人間の身体を構成するタンパク質は20種類のアミノ酸が複雑に組みあわさってできています。そのうち11種類は、体内で合成することができますが、残り9種類は体内では合成できないため、食事からとる必要があります。これを必須アミノ酸といいます。

9種類の必須アミノ酸は、どれか1種類でも摂取量が少ないと、そのもっとも少ない必須アミノ酸でまかなえる量のタンパク質しか合成することができません。つまり、9種類の必須アミノ酸すべてがバランスよくそろうことで、体内で効率よくタンパク質がつくられます。
 

画像

その必須アミノ酸がバランスよく含まれている食品を良質なタンパク質食品といいます。食品に含まれるアミノ酸のバランスのよさは「アミノ酸スコア」であらわされますが、この数値が100に近いほど良質なタンパク質食品ということになります。肉や魚、卵、乳製品などの動物性食品はアミノ酸スコア100で、しかも1日の所要量分を含んでおり、良質なタンパク質食品としてもっとも優秀といえます。「良質なタンパク質」というと豆腐や納豆などの大豆食品を真っ先に考える人もいらっしゃると思います。じつは、大豆は必須アミノ酸のひとつメチオニンの量が少なく、動物性食品に比べると少しバランスを欠いています。ですから、「動物性タンパク質より植物性タンパク質のほうが脂肪分が少なくて身体にいい」という人もいますが、タンパク質の「質」ということを考えると、決してそうではないことがわかると思います。

画像

とはいえ、植物性タンパク質も悪いわけではありません。たとえば、お豆腐や納豆を食べるときは、必ずといっていいほどご飯(米)をいっしょに食べます。ご飯には必須アミノ酸のリジンが少ないものの、メチオニンが多く含まれています。一方、大豆にはリジンが多く含まれているので、大豆食品とご飯とをいっしょに食べることで、相互に補い合って効率よくタンパク質を合成することができます。ご飯に味噌汁、あるいは納豆ご飯というのは、とても理にかなった組み合わせといえます。

高齢になると、とにかくタンパク質が不足しがちです。それが筋力や認知機能の衰えを招き、将来の不健康な期間へとつながります。そこを踏まえて、3度の食事の中で動物性タンパク質と植物性タンパク質とをうまくとることを心がけてください。

たんぱく質
AdobeStock
画像
若返りの医学 ―何歳からでもできる長寿法』(さくら舎)より

著者/太田博明
1944年、東京都に生まれる。1970年、慶應義塾大学医学部を卒業し、1977年に慶應義塾大学医学博士を取得。1980年、米国ラ・ホーヤ癌研究所に留学。1991年、慶應義塾大学病院産婦人科に女性医療の嚆矢となる中高年健康維持外来を創設。当時から更年期ばかりでなく、高齢者の健康維持・増進に着目。同年同大学病院漢方クリニックが開設され、産婦人科から兼担講師として唯一参加。1991年に慶應義塾大学医学部専任講師、1995年、助教授となる。2000年、東京女子医科大学産婦人科主任教授(母子総合医療センター主任教授も兼務)。2010年より国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授、山王メディカルセンター女性医療センター長。2019年より藤田医科大学病院国際医療センター客員病院教授。2021年より川崎医科大学産婦人科学2特任教授、同大学総合医療センター産婦人科特任部長。
日本骨粗鬆症学会理事長、日本抗加齢医学会理事を務め、現在は同学会監事。1996年に日本更年期医学会(現日本女性医学学会)の第1回学会賞受賞。2015年に日本骨粗鬆症学会学会賞、2020年に日本骨代謝学会学会賞をいずれも婦人科医として初受賞。著書には『骨は若返る!』『筋肉は若返る!』(以上、さくら舎)、『抜群の若返り!「骨トレ」100秒』(三笠書房)などがある。監修には『AGEsと老化』(メディカルレビュー社)、『相談しにくいちつとカラダの話』(朝日新聞出版)、テレビ出演にNHKの「あさイチ」「あしたが変わるトリセツショー」、NHK BSプレミアム「美と若さの新常識」などがある。

広告

AUTHOR

ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

画像
画像
画像
たんぱく質
画像