ピラティスとヨガの違いは?ピラティスの6つの原則とおすすめピラティスワーク2選【理学療法士監修】

 ピラティスとヨガの違いは?ピラティスの6つの原則とおすすめピラティスワーク2選【理学療法士監修】
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堀川ゆき
堀川ゆき
2023-05-14

もうすっかりお馴染みになりつつあるピラティスですが、改めて「ピラティス」って何?のギモンに、理学療法士であり、ヨガインストラクター&ピラティスインストラクターの堀川ゆきさんに答えていただきました。

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ピラティスとは?

ピラティスとは、ドイツ人のジョセフ・ピラティス氏(1883-1967)によって考案されたエクササイズです。1926年にニューヨークにスタジオを開設したのち、ピラティスは爆発的人気となりました。もともとピラティスとは第一次世界大戦中、負傷兵にリハビリとして提供したことをきっかけに発展したものです。

ピラティスは、床に敷いたマット上で行うマットピラティスと、リフォーマーなど様々な器具を使って行うマシンピラティスとに分かれます。

ピラティスで重視するのは呼吸と姿勢です。背骨と骨盤にフォーカスしながら、インナーマッスルをコントロールし、重力に負けず上に伸びようとする軸の伸張を意識することです。そして、背骨の動きや関節の分離など、自分自身の本来の正確な身体の使い方を習得していきます。身体をアクティブに動かすので、交感神経が優位になります。

ピラティスとヨガ

ピラティスは誕生してから約100年程が経ちました。一方でヨガは、インダス文明が栄えた4000年前から存在していたとされ、ピラティスとヨガとを比較すると、歴史や誕生の背景は大きく違います。ヨガのポーズもピラティスにたくさん含まれていますが、ピラティスにはそれぞれのエクササイズの目的が具体的です。

また、ポーズを静止するヨガに対して、ピラティスのエクササイズは静止せず反復して動き続けるのが特長です。このように、

ヨガには「静」の要素

ピラティスには「動」の要素

があります。

ピラティスの6つの基本原則

さらに、このピラティスには6つの基本原則があります。それは、呼吸・集中・センター・コントロール・正確性・フローです。
この6つの基本原則に忠実にピラティスを行うことが、ピラティス氏が主張した「コントロロジー」といわれる、「Body、Mind、Spiritの完全な調和」を可能にすると考えられています。

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呼吸(Breathing)

最大限の酸素を取り入れるための呼吸の方法や、動きと呼吸の調和を身につける。

集中(Concentration)

心を集中させて、エクササイズの目的と動きへの意識を深める。

センタリング/安定性(Centering)

コアの力を使うことで、中心や軸を強くし、安定性を図る。

コントロール(Control )

身体のメカニズムを理解して調和をとっていく。

正確性(Precision)

エクササイズの「質」を重視し、細部にまで意識を払い正確に行う。

フロー(flow)

絶えず身体を動かす続けるので、エクササイズ一つひとつを連動させて滑らかに移行するようにする。

お勧めピラティス

今回は理学療法士の視点で、リハビリでも活躍している2つのエクササイズを紹介します。

軸の伸長

脊柱の分節的運動

この2つが特にピラティスで重要なエッセンスだと私は思っています。

エクササイズ①軸の伸長

頭の上にこのオーバーボールを乗せて、落とさないように1分立ち続けます。ボールの代わりに、ぬいぐるみやティッシュの箱でもできます。重力に抗いながら身体の中心軸を引き上げる意識を養います。

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エクササイズ②脊柱の分節的運動

仰向けで膝を立てて、お尻から背中全体を持ち上げます。ポイントは、ヨガの「橋のポーズ」のように一度に背中を浮かせるのではありません。まず骨盤を後傾させて尾骨を引き上げ、仙骨、腰椎5番・・・といったように背骨を一つ一つ丁寧に順番に浮かせていきます。戻る時も背骨の上から順に一つ一つ背骨を床に下ろします。5回繰り返します。背骨をかたまりではなく一つ一つ分節的に使う意識を養います。

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まとめ

このようにピラティスは、自分自身の「身体の動かし方」を正確に繊細に感じ取っていくエクササイズです。パフォーマンスの向上、ケガや障害の予防、姿勢改善やボディメイクのためなど、多くのアスリートやダンサー、モデルに人気ですが、一般の人や患者さんにもピラティスは有効とされ実践している人がたくさんいます。

参考:ラエル・イサコウィッツ他「ピラーティス アナトミィ」ガイアブックス,2013

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堀川ゆき

堀川ゆき

理学療法士。ヨガ・ピラティス講師。抗加齢指導士。滋賀県出身。 モデルやレポーターとして活動中にヨガと出会い、2006年に単身渡米し全米ヨガアライアンス200を取得。その後ヨガの枠をこえた健康や予防医療に関心を持ち、理学療法士資格を取得。スポーツ整形外科クリニックでの勤務を経て、現在慈恵会医科大学附属病院ペインクリニックで勤務する。慶應義塾大学大学院医学部博士課程在学中。公認心理師と保育士の資格もあわせ持つ、二児の母。 2023年に出版の著書『理学療法士がすすめる ウェルエク-Exercise for Wellness-ウェルネスのためのエクササイズ 究極これだけやれば!身体万全』好評発売中。 https://amzn.asia/d/h3P5HRy



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