痛風を防ぐために!尿酸値を上げる食べ物・尿酸値を下げる食事のポイントとは|管理栄養士が解説

 痛風を防ぐために!尿酸値を上げる食べ物・尿酸値を下げる食事のポイントとは|管理栄養士が解説
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健康診断で「尿酸値が高い」といわれ、痛風になる不安を抱いている人はいないでしょうか?尿酸値は、食事や運動などの生活習慣を見直せば改善可能です。今回は、管理栄養士が食事からのアプローチを解説します。尿酸値を上げる食品、下げる食品を紹介するので、食生活を見直す参考にしてください。

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痛風をまねく高尿酸血症

血液中の尿酸の量を表す「尿酸値」。そもそも尿酸とは、細胞に含まれるプリン体が肝臓で分解されたものです。プリン体は食べ物から摂取する以外に、私たちの体の古くなった細胞が分解されたり、体の中で合成されたりして体内に蓄積されます。

基本的に尿酸は体の外へ排出されますが、過剰になると血液中にたまり「高尿酸血症」になります。高尿酸血症の状態が続くと、尿酸が結晶化して炎症を起こしてしまうのです。

足の親指の関節によく見られる「痛風」も、尿酸の結晶が関節に沈着することが原因です。そのほか腎臓にたまると「痛風腎」になり腎機能が低下し、尿管で結晶化すると「尿管結石」に、皮膚や軟骨にできると「痛風結節」になります。さらに尿酸の結晶は血管を傷つけて動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めるおそれもあるのです。

尿酸値を上げる食べ物

白子やあん肝はプリン体を多く含む、すなわち尿酸値を上げやすい食品だと聞いたことがある人は多いでしょう。ほかにもエビやイワシ、カツオなどの魚介類や肉類、レバーにはプリン体が多く含まれています。

プリン体には、水に溶ける性質があることにも注意しましょう。プリン体を多く含む食材を煮込んだスープや煮汁まで飲み干していると、プリン体を摂りすぎるおそれがあります。 

プリン体の摂取を制限すると、尿酸値の改善にはある程度の効果が見込めます。しかし多かれ少なかれ、ほぼすべての食品にプリン体が含まれているため、完全除去はできません。プリン体のほとんどは体内で作られており、食事に由来するのは2割程度ともいわれています。プリン体の摂取を制限するだけではなく、尿酸値を上げる作用がある食品を控えることも大切です。

清涼飲料水に入っている糖類は尿酸値を上昇させる作用があるため、飲みすぎは禁物です。ビールにはプリン体が多く含まれていますが、近年は「プリン体オフ」「プリン体ゼロ」をうたった商品が販売されており、体を気遣う人々に選ばれています。しかし、そもそもアルコール自体に尿酸値を上げる作用があります。尿酸値が高い人は、種類を問わずお酒を控えましょう。

尿酸値を下げる食事のポイント

痛風を防ぐ!尿酸値を改善する食事を管理栄養士が解説
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肥満の人は尿酸の排出機能が低下しやすく、過食によりプリン体の摂取量が多くなりがちです。尿酸値が高く肥満も気になる人は、まずは減量して適正体重へ近づけることを心掛けてください。

そのうえで、尿酸値の改善効果が期待できる以下の食品を積極的に摂りましょう。 

  • 水分
  • アルカリ性食品
  • 食物繊維、ビタミンCを含む食品
  • 乳製品
過剰な尿酸を排出するために、1日2リットルを目安に水分をしっかり摂ることが大切です。特に夏場は汗で水分が失われやすいため、意識して水分を摂るようにしてください。

尿酸値が高いと尿が酸性になって尿酸が溶けにくくなり、結晶化のリスクが高まります。野菜や海藻、きのこ、いも類といったアルカリ性食品を摂ると、尿がアルカリ性に近づき、尿管結石を防ぐ効果が期待できるでしょう。

さらに食物繊維やビタミンCを含む食品、乳製品は痛風のリスクを下げるとされています。ごぼうなどの野菜や海藻、きのこは食物繊維が豊富です。ビタミンCを多く含む食品には、ブロッコリーやパプリカなどの野菜、じゃがいもやさつまいもがあります。キウイフルーツなどの果物もビタミンCが豊富ですが、糖質も多いため食べすぎないようにしましょう。

尿酸値を下げるには食事を改善するほか、適度な運動やストレス解消も大切です。激しい痛みをともなう痛風、動脈硬化に起因する心筋梗塞や脳卒中を予防するために、尿酸値を下げる生活習慣を心掛けてください。

【参考文献】
厚生労働省 e-ヘルスネット「プリン体」
厚生労働省 e-ヘルスネット「高尿酸血症」
厚生労働省 e-ヘルスネット「高尿酸血症の食事」
日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」
公益財団法人痛風・尿酸財団「食品・飲料中のプリン体含有量」

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AUTHOR

いしもとめぐみ 管理栄養士

いしもとめぐみ

管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。



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