【健康診断】血液検査の結果のところにある「尿酸」って何?医師が解説【意外と知らない検査数値】
健康診断や人間ドックを受けて、検査結果が届いた!けど…「γ-GTPって結局何?」「アルブミンってなんのこと?」など、わからない用語がたくさん。知っているようで実はよく知らない用語について、医師が解説します!
尿酸とは
一般的に、尿酸の体内量はほぼ一定に保たれており、一日に作り出された尿酸量とほぼ同量が毎日排泄されています。
尿酸値の正常値は成人男性が血中に4.0~6.5mg/dl、成人女性では3.0~5.0mg/dlと規定されています。
通常、尿酸値が7.0mg/dlを超えると高尿酸血症であり、何らかの原因で体内の尿酸量が増えてしまうと高尿酸血症に繋がります。
尿酸は、そもそもプリン体と呼ばれる代謝物質が分解されることでできる成分です。
このプリン体を多く含む食べ物を取り過ぎたり、代謝経路のどこかに異常ができたりすると、体内のプリン体は少しずつ貯留していきます。
プリン体が体内で分解されると、最終産物である尿酸が作成されて、産生された尿酸は腎臓や腸管から排出されることになります。
プリン体は体内で自然に代謝されて尿酸となりますが、過剰に摂取すると高尿酸血症や酸性尿を引き起こすことになります。
血液の尿酸値は、体内で産生された量と排泄された量のバランスによって決まりますから、血液中の尿酸値が上昇すると、必然的に高尿酸血症が出現することになります。
尿酸が関節や腎臓のなかで結晶となって溜まると、痛風発作を始めとして様々な疾患を発症することに繋がります。
高尿酸血症について
人間ドックや健康診断を受けて血液検査で尿酸値が7.0mg/dlを超えて高尿酸血症の状態になると、血液中に溶けきれない尿酸が結晶となって関節に沈着して、痛風発作を引き起こしやすくなると言われています。
痛風の前兆が現れた段階で治療ができなかった場合には、足の関節部などに耐え難いほどの激痛が生じて、日常生活が困難になる場合もあります。
その後、強い痛みが数日間にわたって続き、大体1~2週間で症状は治まりますが、また痛風が再発しますと、痛みを生じた箇所は赤く腫れ上がって熱感を伴うようになります。
そのまま、高尿酸血症を放置しておくと手足の関節や耳たぶの皮膚の下にも尿酸塩の結晶が沈着して痛風結節が形成されることになります。
痛風結節そのものは、痛風発作と違い強い痛みの原因になることはありませんが、進行すると関節が変形して骨破壊が起こり結果的に日常生活に影響が出ることが危惧されます。
普段の食生活や運動習慣などを特に意識して注意を払うことによって、高尿酸血症や痛風にはなりにくい体になりますし、痛風が原因となって発症すると指摘されている痛風結節や腎障害といった怖い合併症を引き起こすこともありません。
普段から肥満にならないように注意して、日常的に食べ過ぎやお酒の飲み過ぎには気をつけて適度の運動を心掛けると共に、規則正しくバランスの良い食生活と十分な水分摂取を日常的に実践しましょう。
まとめ
これまで、血液検査の結果のところにある「尿酸」の概要や高尿酸血症などを中心に解説してきました。
昨今の経済成長に伴って食生活が豊かになり、エネルギ-の過剰摂取や運動不足などにより、健康診断など血液検査によって尿酸値が高い状態が認められる、あるいは痛風の発症が比較的多く認められるようになってきました。
尿酸値が高い状態が続くと、痛風発作を代表例として多種多様な症状が現れます。
健診などで尿酸の異常を指摘された際には、出来る限り、血液検査や尿検査、または超音波検査などを含む画像検査によって適切なタイミングでメディカルチェックを受けて専門医療機関に相談されることを推奨します。
AUTHOR
甲斐沼 孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
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