野菜の皮、捨てないで!皮を活用するメリットと栄養を丸ごと摂取するためのアイデア|管理栄養士が解説

 野菜の皮、捨てないで!皮を活用するメリットと栄養を丸ごと摂取するためのアイデア|管理栄養士が解説
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ホールフードという言葉をご存知ですか?ホールフードとは、野菜や果物などの食品をできるだけ加工せずそのまま食べることをいいます。 普段捨てがちな野菜の皮を摂ることは、不足しがちな栄養素を補給したり、食品ロスの削減につながったりなどのメリットがあります。 そこで今回は捨てがちな野菜の皮に着目して、上手に使うコツを紹介します。

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皮を捨てがちな野菜について

皮
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大根、かぶ、にんじん、れんこん、じゃがいも、かぼちゃなど、これらの皮は捨てることが多いですが、実は食べることができる部位とされます。野菜の皮は土や汚れが付着しているため、どうしても取り除いてしまうこともあるでしょう。しかし、皮をむき過ぎしまい食べられる部分まで捨ててしまうと「食品ロス」につながり、環境に悪影響を及ぼしかねません。

食品ロスを削減するために、できるだけ野菜の皮も摂りたいところです。

また皮は食品ロスの削減だけではなく、不足しがちな栄養素を摂取できるメリットがあります。次に皮に含まれる栄養素について解説します。

皮にはどんな栄養素が含まれている?

野菜の皮には主に食物繊維やビタミン、ファイトケミカルなどが含まれています。それぞれの栄養素について解説します。

食物繊維

食物繊維
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食物繊維は食品に含まれるもののなかで、体内で消化・吸収されないものをいいます。腸内環境を整える、肥満や生活習慣病を予防・改善するはたらきがあることが分かっています。

現在は多くの日本人が不足しがちであるといわれているため、皮も食べることで食物繊維の摂取量を増やすことができるでしょう。

ビタミン

野菜の皮に含まれるビタミンには、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB群などが含まれています。

ビタミンAは皮膚や目の健康に役立つ栄養素です。ビタミンCはコラーゲンをつくるのに必要な栄養素で、皮膚のハリやツヤを保つのに役立ちます。ビタミンAやビタミンCはどちらも抗酸化作用があるため、老化や免疫機能の低下を予防する効果が期待できます。

また、ビタミンB群は糖質やたんぱく質などの栄養素を代謝するのに必要な栄養素です。

ファイトケミカル

ファイトケミカルとは、植物性食品の色や香りなどの成分のことです。有害物質や害虫などから守るために作り出されるもので、植物に含まれる化学物質の総称です。私たちが生きていくために必要な栄養素ではありませんが、免疫機能の向上や美肌効果などさまざまな作用を持つことが分かっています。

このように野菜の皮をとることで、不足しがちな栄養素を補給でき日々の健康に役立つのですね。

野菜の皮を美味しく食べるには?

野菜の皮はどうすれば美味しく食べることができるのでしょうか。ここからは野菜の皮の取り入れ方をご紹介します。

ベジブロス
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野菜の皮を使った料理として、煮出して作る出汁「ベジブロス」がおすすめです。水が入った鍋に洗った野菜の皮を入れて煮込んで、ザルなどでこして作ります。野菜の皮に含まれる栄養素が出汁に溶け出すため、効率良く栄養素が取れる方法の一つです。

また、大根やにんじんの皮などを炒めてきんぴらにするのもおすすめです。にんじんに含まれるビタミンAは油で吸収されやすくなるため、ビタミンAを意識して摂りたい場合に適している調理法といえます。

その他に、皮がついた状態でれんこんやかぼちゃを煮物や天ぷらにすると、実と一緒に食べやすくなります。

汚れが気になる場合は十分に洗った上で、野菜の皮を取り入れてみてくださいね。

【参考文献】(2023年4月28日閲覧)

文部科学省, 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2020年版)
厚生労働省, e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」

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AUTHOR

一ノ木菜摘

一ノ木菜摘

管理栄養士/ライター。短大卒業後、病院で栄養士として働きながら管理栄養士免許を取得。その後は病院の管理栄養士やコールセンターなどの経験を経てライターとして活動を始める。ダイエットや食品、メンタルなどのヘルスケアについて論文などの科学的根拠をもとにコラムを執筆している。



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