【病院】一回の診療時間は約6分。その時間で医師とコミュニケーションをとるには?医師に聞いてみた。

 【病院】一回の診療時間は約6分。その時間で医師とコミュニケーションをとるには?医師に聞いてみた。
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長い待ち時間の末に訪れる短い診療時間。通院する患者さんのなかには、医師に聞きたいことをうまく伝えられずにモヤモヤした経験をもつ人もいるのではないでしょうか。一人当たりの平均診療時間は約6分、そのなかで医師と患者が満足のいくコミュニケーションをとるためのヒントについて、外科医・免疫学者・漢方医の3つの顔を持つ新見正則医師に話をうかがいました。

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医師と患者は「一般的な人間関係と同じ」

多忙そうな医師に「こんなこと聞いていいのだろうか」と悩む患者は少なくありません。患者という立場から受け身になりがちで、医師とのコミュニケーションは難しいように思えます。しかし、「医師と患者は一般的な人間関係と同じ」と新見医師は言います。

「保険診療の病院で患者さん一人に医師が費やせる時間はおおよそ3~10分。平均で6分といったところでしょう。たとえ一人6分だとしても一時間で10人、午前診療で30人が限界です。これは病院の大きさは関係なく、保険診療であれば多くの患者さんが待っているので、どこでも同じと言えます。

ではその持ち時間の6分で、医師に聞きたいことを聞くためにはどうすればよいか。これは意外にも難しい問題なんです。患者さんからすれば『じゃあメモを作って医師にみてもらえばいいか』と考えますが、一概にそうとは言えません。医師のなかにも、文字を読むのが速い医師や、話を聞くのが得意な医師がいます。

世の中ではひとくくりに『医師』とまとめられがちですが、医師と患者とのコミュニケーションは一般的な人間関係と同じなんです。いろんな質問を患者さんにしてそのなかから病気のヒントをみつける医師や、目の前の訴えに淡々と対処する先生など、医師にもさまざまな人柄や能力があります。

患者さんも同じくお話しするのが得意な人、文章を書くのが得意な人、と色々でしょう。忘れがちですが、カテゴリーとしての『医師』と『患者』ではなく、医師も患者もいろいろな人間というのがすべてだと思っています」

医師の人柄も能力もさまざまということを理解して、まずは直接聞いてみよう

「医師の能力にも差があることを知って、持ち時間を最大限に生かすために『短い時間のなかで要領よく聞きたいことを聞くためにはどうすればいいか』と担当の医師に直接尋ねるのがよいでしょう。

たとえば私ですと『好きなだけ聞きたいことをメモにしてきてくれると助かるよ』と患者さんには言っているのですが、メモなんか嫌いだという医師もいるかもしれませんよね。そうすれば『メモが助かる』『生活習慣を教えてくれると助かる』といったことからスムーズなコミュニケーションのきっかけができるかもしれません。

さまざまな制約があるなかで、医師と患者がどうやってコミュニケーションをとればいいかという問いに決まった答えはありません。患者さんも『医師が言うことだから』と受け身にならず、知り合いとの距離を掴む感覚でお話ししてくれればよいと思います」

教えてくれたのは…新見正則医師

新見正則
新見正則先生

オックスフォード大学医学博士。「外科医x免疫学者x漢方医」というレアな医師として活躍中。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。院長を務める新見正則医院では、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアを基本処方にして漢方薬を加えて、各種のがん疾患や難病・難症に対応。著書『フローチャートコロナ後遺症漢方薬』(新興医学出版社)はAmazonでベストセラーに。

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取材・文/松村翠

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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