【健康診断】アルブミンの数値が低いと言われたけど…アルブミンって何?医師が解説

 【健康診断】アルブミンの数値が低いと言われたけど…アルブミンって何?医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2023-03-07

健康診断や人間ドックを受けて、検査結果が届いた!けど…「γ-GTPって結局何?」「アルブミンってなんのこと?」など、わからない用語がたくさん。知っているようで実はよく知らない用語について、医師が解説します。

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アルブミンとは何か

健康診断項目の数値のひとつにアルブミンがあります。

アルブミンとは、血清中のたんぱく質の濃度を測る数値であり、その低下で肝臓や腎臓の異常を調べることができます。

アルブミンは血液中の血清部分に含まれ、人の体内において主要なタンパク質であり、1日におよそ10〜15g程度合成されて、血流を介して体内に分布しています。

血清アルブミンは常に分散されており、体内で合成と分散のバランスを保つことで正常に作用します。

血清中のたんぱく質は、アルブミンとグロブリンの2種類に分けられていて、アルブミンは主に肝臓で作られるたんぱく質であり、グロブリンは肝臓以外にも骨髄などでも合成されています。

万が一、アルブミンの数値が低い場合は肝臓に何らかの異常が起きているか、アルブミンが腎臓や腸管から漏れ出していることを示しています。

低アルブミン血症について

低アルブミン血症とは、血液中に存在しているタンパク質のアルブミンが正常値よりも低くなる症状です。

診断基準となる目安は、血液検査で分かる血清アルブミン値(正常値は3.9g/dL)であり、血清アルブミン値が3.6g/dL以下になると低アルブミン血症である可能性が高いと判断されます。

低アルブミン血症は普段聞きなれないかもしれませんが、さまざまな原因によって引き起こされることが知られていて、主な原因は、アルブミンの産生低下や体内からの喪失です。

通常では、肝機能が低下する肝硬変を引き起こすと肝臓でタンパク質の産生や有機物の分解が十分に行われなくなり、アルブミンの産生能力も低下して低アルブミン血症となります。

普段、身体の浮腫や急な体重増加など認めた場合には、低アルブミン血症を引き起こしている兆候かもしれません。

低アルブミン血症においては、血液中に存在するタンパク質であるアルブミンが正常よりも低い状態になっているため、血管内の水分が血管外へ移動し、全身が浮腫を起こして、腹水や胸水が貯留する、あるいは血圧低下の症状が起こります。

特に、高齢の方は若年者に比べて慢性的にタンパク質の摂取量が低下していることから低アルブミン血症を発症させやすいと考えられます。

アルブミンを有効的に増やすためには、良質なタンパク質の摂取が必要であり、タンパク質は成人男性で1日60g、成人女性で1日50g前後の摂取が必要とされています。

まとめ

これまで、血液検査の結果のところにある「アルブミン」の概要や低アルブミン血症などを中心に解説してきました。

普段は聞きなれないアルブミンですが、その数値の低下は深刻な病気の兆候を示している可能性がありますので、健康診断などの機会にアルブミンの数値が低いと診断されたら、専門のお医者さんの指導を受けましょう。

健康診断での血液検査でアルブミン値の異常が見つかった場合には、早期受診することで迅速に適切な対応ができますので、気になる症状がある場合は専門医療機関を受診されることを推奨します。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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