【健康診断】血液検査の結果にある「HbA1c」って何?医師が解説【意外と知らない検査数値】

 【健康診断】血液検査の結果にある「HbA1c」って何?医師が解説【意外と知らない検査数値】
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2023-02-06

健康診断や人間ドックを受けて、検査結果が届いた!けど…「γ-GTPって結局何?」「アルブミンってなんのこと?」など、わからない用語がたくさん。知っているようで実はよく知らない用語について、医師が解説します!

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HbA1cとは

「HbA1c」は、「ヘモグロビンエーワンシー」と読みます。ヘモグロビンは赤血球内のタンパク質の一種であり、全身の細胞に酸素を送る働きをしていて、血液中のブドウ糖がヘモグロビンと結合すると糖化ヘモグロビンになります。

簡単に言えば、HbA1cの数値は、糖化ヘモグロビンがどのくらいの割合で存在しているかをパーセント(%)で表示したものとして認識されています。

血糖値が高ければ高いほどヘモグロビンに結合するブドウ糖の量が多くなるので、HbA1cの値は高くなる一方で、血糖値の低い状態が続くと、ヘモグロビンに結合するブドウ糖の量が少なくなって、HbA1cの数値は低くなります。

HbA1cは世界中で測定されていて、2012年よりわが国でも国際的に広く使用されている測定値を標準化して使用することになりました。

実際の日常診療場面においては、糖尿病を現実的に診断するうえで一般的な血液検査を実践して、HbA1cと呼ばれる採血項目値を測ることになります。

HbA1cの値は採血する前の過去1~2ヵ月間の血糖状態を反映する指標項目と言われていますので、当日の食事や運動など短期間の血糖値の影響を受けないと考えられています。

HbA1cが異常とはどういう状態なのか?

基本的には、糖尿病を診断するうえでは、血糖値とHbA1cの測定値を求める検査を実践することで高血糖が慢性的に継続しているか否かを確認します。

通常であれば、健康人の血糖値は、食前と食後を含めて70〜140mg/dL(1dL当たりのミリグラム数)という数値の範囲で維持されていることが知られています。

採血項目で得られたHbA1cの測定値が6.5パーセント以上と異常値として確認された場合には、「糖尿病型」と判定されます。

また、8~9時間以上絶食した後に早朝の時間帯に採血を行ったときの血糖値である早朝の空腹時血糖に絶対値も主要項目のひとつの指標として考えられています。

75g経口ブドウ糖負荷試験(略称:75gOGTT)を行って糖尿病を診断することもあり、特にこの検査において負荷してから2時間後の測定値が200mg/dL(1dL当たりのミリグラム数)以上と認められれば糖尿病型と判断されることになっています。

また、特段食後からの時間を決定せずに随時的に採血を施行して血糖値を測定して随時血糖の絶対値が200mg/dL(1dL当たりのミリグラム数)を超える場合には、いわゆる糖尿病型という風に判定が下されることも散見されます。

特に、2型糖尿病が疑われる際には、一般的に血液検査を施行してHbA1c値を調べる以外にもインスリンの分泌能などを評価するマーカーを測定することが有用的です。

また、もう一つのタイプである1型糖尿病では生活習慣の乱れなどはあまり発症に関与しておらず、1型糖尿病が疑われたケースでは、GAD抗体というたんぱく質の有無をチェックする方法も実践されることが経験されます。

まとめ

これまで、HbA1cとは何なのか、その数値が異常とはどういう状態なのかなどを中心に解説してきました。

最近になっていわゆる全般的な生活習慣病の代表疾患として、糖尿病の罹患率の増加が著しく目立っており、糖尿病という病気以外にもその診断基準やHbA1cを始めとする各種関連検査に社会全体が関心を寄せています。

糖尿病におけるインスリン不足状態や高血糖が持続する状況下では、多種多様なメカニズムで身体に悪影響を与えることが知られていますので、糖尿病の診断基準や検査方法を認識しながら病状を制御することが最善策です。

いずれにしても、健康診断や人間ドックでHbA1cの数値が高いと指摘されたらなるべく早急に糖尿病内科など専門医療機関を受診することをお勧めします。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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