「私が話し出すとなぜかいつも変な空気が流れる…」その意外な理由は?精神科医に学ぶ、会話のポイント
会話のテクニックでは、話す内容と同じくらい話し方も大切です。相手が理解できるものだと思い込んで、普段使っている言葉・話し方で会話をしていませんか? 今回は精神科医師・益田裕介 著『もう人間関係で悩まない 精神科医がやっている聞き方・話し方』(フォレスト出版)を参考に、ビジネスシーンで使いたい話し方のポイントを見ていきましょう。
難しい言葉を使うと相手はどんな気持ちになるか
仕事や日常で通じる専門的な言葉をつい使ってしまうことってありますよね。もし、会話する相手が、一般人やビジネスの他の業界の人だった場合は専門用語を絶対に使ってはいけません。相手を不快な気持ちにさせたり、話が通じなかったりする場合があります。
たとえば、こんなシーンを見てみましょう。お客様から新しいお仕事を依頼されたときに、「かしこまりました! 全面的にコミットさせていただきます!」と返事をしたらなぜか微妙な空気が流れた……。難しい言葉を使って、相手に伝わらない一例です。
この例ですと「コミット」は英語のコミットメントの略で「責任を持つ」「真剣に向き合う」という意味があります。「全面的に協力させていただきます!」と言えば相手に気持ちが伝わったことでしょう。
専門用語を多く使うビジネスパーソンは、自分の中では「デキる人」かもしれませんが、相手からは「この人は自信がないのかな」と思われてしまいます。専門用語を多用することで「実力を大きく見せようと武装しているのだろうな」という印象を抱かれるかもしれません。
専門用語を使うと相手に理解されず言いたいことが伝わりません。普通の平坦な言葉で伝えることで「話しやすい人」として相手の好感も得られるでしょう。
相手の脳の処理速度に合わせて話をする
会話力に磨きをかけるためには、知的能力の差について理解しておく必要があります。会話をしているときに「なぜこの話を理解してくれないの?」や、相手の話に「もっと丁寧に説明してほしい」と思ったことがあるでしょう。これらは相手との知的能力の差によって生じます。知的能力は運動神経と同じようなもので、この差によってその人の価値が決まるものではないことに注意が必要です。
知的能力にはさまざまな種類がありますが、頭の回転による「処理速度」と一度に覚えておける記憶量「ワーキングメモリの容量」が、会話では人によって差が生まれやすいものでしょう。
なぜか人は「話せば通じる」という風に考えがちですが、知的能力も人によって違いますし、話を真剣に聞いてくれない人や思い込みがある人もいます。「話しても通じない」ことばかりなのだという前提で、会話を相手によって変えていく必要があります。
たとえば、処理速度が速い人にはテンポ良く伝え、遅い人にはゆっくり話すことを心がける、ワーキングメモリが大きい人には一度に伝え、小さい人にはメモを見せながら伝える、など人によって話し方を変えることで会話に磨きがかかります。
平坦な言葉で、相手の知的能力に合わせて会話を進めること。ビジネスの会話ではこのポイントを心がけてみてください。
『もう人間関係で悩まない 精神科医がやっている聞き方・話し方』著者/益田裕介医師(早稲田メンタルクリニック院長 精神保健指定医、精神科専門医・指導医)
岡山県出身、防衛医大卒。2019年12月よりyoutubeチャンネル「精神科医が心の病気を解説するCh」を配信開始。日々、精神疾患や治療法、カウンセリング技法などの解説を行なっている。チャンネル登録者数は32万人を超え、1日の再生回数は平均20万回以上(2022年7月時点)。
また、患者さん同士がオンライン上で会話をしたり、相談ができるオンライン自助会を2022年3月24日より主催・運営するほか、精神科領域のユーチューバーを集めた勉強会なども運営している。
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ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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