【牛肉と白滝】「一緒に煮込むと硬くなる」実は誤解だった?噂の真相は…管理栄養士が解説

 【牛肉と白滝】「一緒に煮込むと硬くなる」実は誤解だった?噂の真相は…管理栄養士が解説
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数ある食材の中には、組み合わせることで栄養価が下がったり、健康を損ねてしまったりするものがあります。あなたがよく一緒に調理しているその食材、実は相性がよくないもの同士かもしれません!この記事では相性がよくない食材の組み合わせを紹介し、その理由や対処法を解説します。

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白滝と一緒に煮込むと牛肉が硬くなる?

「牛肉と白滝を一緒に煮ると、牛肉が硬くなる」という話を聞いたことはないでしょうか。これを理由に、すき焼きでは牛肉と白滝は離して入れたほうがよい、と教えられた人は少なくないでしょう。

牛肉が硬くなる理由は、白滝に含まれるカルシウムにある、とされていました。白滝やこんにゃくは、粉末状にしたこんにゃく芋を水に溶かし、凝固剤として水酸化カルシウムを加えて固めて作ります。白滝やこんにゃくに含まれるカルシウムが調理中に溶け出して、牛肉とカルシウムのアルカリ性が反応し、牛肉が硬くなると考えられていたのです。

しかし、この通説は誤解であることが実験で明らかになりました。2017年に日本こんにゃく協会が、「白滝によって牛肉は硬くなる」という通説を払拭するために実験を行いました。国産とアメリカ産の牛肩ロース肉を「しらたきなし」「水洗いしらたきあり」「下ゆでして水洗いしたしらたき入り」のそれぞれと一緒にゆでて硬さを比較したところ、白滝の有無による肉の硬さへの影響はみられない、という結果になったのです。

さらに日本こんにゃく協会は、白滝に含まれるカルシウム量が意外に少なく、その量は白滝と同じくすき焼きの定番具材である、焼き豆腐の半分程度であることも伝えています。この発表により、「白滝は牛肉を硬くする」という通説は誤解であることが明らかになりました。

白滝は牛肉の色に影響を与える

白滝と牛肉の硬さとの関係は誤認識でしたが、実は白滝の影響は別のところに生じています。それは、牛肉の「色」です。 

生肉の鮮やかな赤色は、ヘム鉄とたんぱく質が結びついたミオグロビンという色素成分に由来します。肉を加熱すると色が褐色に変化するのは、ミオグロビンがメトミオグロビンに変化するためです。ところが赤色のミオグロビンはカルシウムと反応すると、黒色に変化してしまいます。白滝のカルシウムは肉の硬さには影響しませんが、肉を黒く変色させてしまうのです。 

この変色を防いで白滝と牛肉を一緒に調理するには、ふたつのポイントをおさえてください。ひとつは、白滝を水洗いすることです。市販の白滝は、水に浸かった状態で包装されています。この水にはカルシウムを含む凝固剤が溶けているため、水洗いして凝固剤を洗い流しましょう。

もうひとつのポイントは、白滝を下ゆですることです。牛肉と一緒に煮込む前に下ゆでしておくことで、白滝のカルシウム量を減らせます。すき焼きで牛肉の変色を防ぎ、見た目からおいしく仕上げるために、白滝は水洗いと下ゆでをしてから調理しましょう。

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AUTHOR

いしもとめぐみ 管理栄養士

いしもとめぐみ

管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。



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