家族の「絆」や「相互理解」を手放す、というタフな生き方『タフラブ 絆を手放す生き方』【レビュー】

 家族の「絆」や「相互理解」を手放す、というタフな生き方『タフラブ 絆を手放す生き方』【レビュー】
信田さよ子著『タフラブ 絆を手放す生き方』(dZERO)
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「タフラブ」を実践するヒント。「わかってもらおう」を手放す

著者は、家族問題を解決するために必要なことは「理解の断念」であり、「コミュニケーションの断念」だという。

これは、コミュニケーションをとらなくてよい、という意味ではない。「理解しあいたい」「家族なのだから何でも話し合いたい」というときには身勝手な欲望や思い込みを捨て、手放すコミュニケーションを推奨しているのだ。

著者は「タフラブ」実践のコミュニケーション方法のひとつとして、引きこもりの息子を持つ母親に対して「女子アナモード」を推奨している。「女子アナモード」とは、相手にわかってもらおうとは思わないコミュニケーション方法だ。女子アナは、カメラに向かって情報を伝え、カメラの向こう側の相手がわかってくれるかどうかをいちいち気にしていない。ただ淡々と伝えるのみだ。「女子アナモード」とは、女子アナのように、相手の反応を気にせず、「私はこう思う。こうします」と伝えるコミュニケーション方法だ。

そこには、相手に対する過度な期待や、相手を操ろうとする意図が介在しない。自分と相手(息子)の間に適切な距離感があるからこそできるコミュニケーション方法だともいえる。「タフラブ」の実践には、相手と適切な距離を持ち、あなたの問題はあなたの問題、と切り分けることが大切なのだ。

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原宿なつき

原宿なつき

関西出身の文化系ライター。「wezzy」にてブックレビュー連載中。



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