加熱殺菌で栄養は失われないの?缶詰で得られる栄養と得られにくい栄養【今さら聞けない缶詰のギモン】

 加熱殺菌で栄養は失われないの?缶詰で得られる栄養と得られにくい栄養【今さら聞けない缶詰のギモン】
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缶詰などの商品は長持ちする反面、加熱殺菌によって栄養が損なわれるのでは?と疑問に感じる方もいるでしょう。生の食品に比べると、熱で逃げてしまう栄養もあると見聞きすると、どうしてもそのような疑問を感じてしまいますよね。そこで今回は缶詰の栄養が生鮮食品や家庭調理に比べてどのように変化するのか、缶詰の調査研究団体である「日本缶詰びん詰レトルト食品協会」に教えていただきます。

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缶詰の加熱殺菌と栄養価

缶詰をはじめ、瓶詰めやレトルト食品の多くは、おおよそ110℃~120℃もの高温で加熱殺菌されています。果物などの酸性食品は100℃以下の温度で加熱殺菌されます。通常なら、熱で損なう栄養素がたくさんあると思われるでしょう。しかし実際は、缶詰の栄養素は家庭調理のものよりもむしろ栄養価が高いと言われています。

それは、缶詰に使われている食材は旬を迎えた新鮮なものが主であること、そして空気を遮断した真空状態で加熱殺菌が行われることが関係しています。栄養素により、調理によって壊れやすいものとそうでないものがありますが、それは家庭調理でも同様です。

調理によって損なわれやすい栄養・損なわれにくい栄養

缶詰
栄養素により、調理によって壊れやすいものもあるが、それは家庭調理でも同じことが言える。photo by Adobe Stock

食材の栄養が壊れてしまう要因として、皮を剥いだり切断したりして水に溶けてしまうケースと、加熱殺菌により損なわれるケースが主に考えられます。缶詰の多くが、この2通りの工程を経て製造されていますが、栄養素により壊れやすさは異なります。

基本的に、ビタミンA・D・Eに関しては、水に溶けず加熱殺菌でも壊れにくいため、缶詰にしてもほとんど損なわれることはありません。一方、ビタミンB1・B2・Cは水に溶けやすく、特にB1・Cは酸化しやすいため、調理の過程で損なわれることも多いです。

さらに、一部の魚や肉、野菜などに含まれるビタミンB1は加熱殺菌によって壊れやすいとされています。

よく熱に弱いと言われるビタミンCですが、実は空気に触れない状態で加熱された場合は栄養素が損なわれず、むしろ家庭で調理するよりも安定しているのも事実です。

タンパク質や脂肪、糖質といった栄養素は、加熱殺菌によって損なわれることはないため、安心してください。

ビタミンができるだけ損なわれないような工夫も

先ほどご紹介したように、缶詰の場合、特に影響を受けやすいのはビタミン類です。しかし、缶詰にしても栄養素が壊れないように、湯煮を短時間で行ったり、蒸気で蒸したりするなどの方法で、できる限りビタミン類の減少を少なくする工夫が行われています。

魚類缶詰には注目の栄養素が豊富

魚類缶詰に関しては、タンパク質やカルシウムの補給の点からも、優れた栄養価をもつと言えるでしょう。家庭での調理では、骨まで食べるほどの処理は難しいものですが、さけ、いわし、さばなどの缶詰は、加圧加熱殺菌で骨まで軟らかくなるため、カルシウム分は吸収されやすい形で含まれています。また、近年注目を集める脂肪酸、EPAやDHAに関して、いわし、さば、さんま、まぐろといった青魚などの缶詰にも多く含まれています。

サバ缶
魚類缶詰に関しては、タンパク質やカルシウムが豊富。
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加熱処理で失われる栄養素よりも「缶詰で得られる栄養素」に注目してみると、缶詰がいかに有効な供給源であるかということがわかるかと思います。

取材協力:日本缶詰びん詰レトルト食品協会

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文/小林朋子

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ヨガジャーナルオンライン編集部

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