かに缶の中に入っている薄い紙は何?【今さら聞けない缶詰のギモン】

 かに缶の中に入っている薄い紙は何?【今さら聞けない缶詰のギモン】
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ふだんのお料理を格段にランクアップさせてくれる「かに缶」。缶詰としては多少値がはりますが、すぐに使えてとても便利ですよね。かに缶を開けると、薄い白い紙に包まれているのが通例ですが、この紙はなんの役割を果たしているのか気になりませんか?今回は、かに缶の紙の正体とその役割をご紹介します。知っているようで知らない缶詰のこと、缶詰の調査研究団体である「日本缶詰びん詰レトルト食品協会」に教えていただきました。

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かに缶に入っている白色の紙は「硫酸紙」

かに缶に入っている紙は「硫酸紙」あるいは「パーチメント紙」と呼ばれており、高い耐水性や耐久性がある点が特徴です。硫酸紙といっても、実際に硫酸が染み込んだ紙というわけではありません。製紙工程で硫酸を使うことからこの名前が用いられていますが、かに缶のような食品を包んでも硫酸による影響はないため安心してください。

なぜ、かに缶に硫酸紙が使われているの?

かにの肉は、たん白質の中に硫黄分を含んだ成分が比較的多く含まれています。硫酸紙が使われていなかった時代は、かに缶の加熱処理の際にかに身に含まれる硫黄成分と缶の鉄分が反応して、かに身を部分的に黒く変色させてしまっていました。これは、「黒変(こくへん)」という現象で、せっかくの美味しいかに缶の見た目や味を損ねてしまう大きな問題でした。

この黒変を解決するために用いられたのが、硫酸紙です。硫酸紙でかに身を包むことで、かに身から出る硫黄成分が缶に触れることを防ぎ、味と見た目の両方の課題をクリアすることに成功しました。

硫酸紙によって日本のかに缶の価値が急上昇

日本でかに缶が生まれた当時は、黒変という問題もあり、イワシ缶やサケ缶よりも値段が安かったそうです。それほど、黒変という問題は商品価値を下げてしまっていました。

しかし、硫酸紙で対処できたことで、日本のかに缶は価値があがり、海外でも人気を集めることとなります。硫酸紙一枚の違いで需要は高まり、価値も大幅にあがり、輸出数も増えていきました。

今は硫酸紙が使われていないものもある

今のかに缶には、硫酸紙が使われていないものもあります。この場合は、缶の内側がコーティングされていて、黒変を防ぐようになっています。

また、内側がコーティングされている缶であっても、敢えて硫酸紙で包まれているものもあります。これは、かに缶独特の高級感を出すために用いられているケースが多いようです。

取材協力:日本缶詰びん詰レトルト食品協会

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文/小林朋子

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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