心の健康にも備えが重要。私たちに元気をもたらすツール【WRAP】とは?臨床心理が解説

 心の健康にも備えが重要。私たちに元気をもたらすツール【WRAP】とは?臨床心理が解説
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南 舞
南 舞
2022-09-30

誰にでも元気な時もあれば、落ち込んだりする時があるもの。特に季節の変わりめは、心身のバランスを崩しやすく『なんだか元気になれない・・・』という気持ちになりやすかったりするのではないでしょうか。そういった時に、元気になるための方法をあなたは持っていますか?今回は元気を回復するためのセルフヘルプツール【WRAP】をご紹介します。

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WRAPとは?

WRAPとは、Wellness(元気・健康)・Recovery(回復)・Action(行動)・Plan(プラン)の頭文字を取ったもので、日本では【元気行動回復プラン】と呼ばれています。1990年代のアメリカで精神疾患を持つ当事者たちによって作られた、自分による自分のためのリカバリープランです。元気・健康な状態を維持し、不調を回復しやすくするために

・自分の行動や思考のパターンに気づく

・健康状態を維持するための生活習慣の作成

などを行います。もともとは精神疾患を持つ方の回復のために作られたツールではありますが『元気な状態・健康でいるために』という視点で考えると、どんな人でも使えるツールであると筆者は考えます。

WRAPの5つの原則とは?

心身ともに元気な状態を取り戻すために、WRAPでは5つの原則を大切にしています。

希望の感覚

 どんなに大変なことがあったとしても、私たちには元気になれる希望があり、回復する可能を感じられること。

主体性

 自分が自分自身の専門家。『自分の中ではこう思うからこうしたい』と、自分の人生については自分で選択するという姿勢。

学ぶこと

 元気でいるために、自分に必要なことは何かを知ることで、自分に合う選択肢が広がるということ。

権利擁護

 自分のために必要だと思われることは、冷静に諦めずに声をあげていくこと。

サポート

 自分も相手も、お互いにサポートしながら助け合っていく関係を育むこと。

具体的にWRAPをやってみよう!元気を回復するための7つの視点とは?

日頃から自分らしく元気に豊かに生きていくために必要なプランについて考え、持っておくことを、WRAPの中では【元気に役立つ道具箱】を言ったりします。必要な時にはそこから出し入れし、時と場合に応じて使い分けるのです。WRAPを具体的に実践するために必要な6つの視点をご紹介します。

日常生活管理プラン

特別なことではなく、日常生活の中で取り組みやすいことや、これまですでに行ってきていることをリストにしてみましょう。例えば、好きな音楽を聞く・湯船につかる・1日3食を心がけるというような、そんなに難しくはないけど、やるとプラスになることを選ぶと良いです。

引き金に対するプラン

心身の調子を崩すきっかけになるかもしれない出来事や状況についての対応を考えてみましょう。例えば、睡眠不足の時に調子が悪くなるのであれば、予定を減らして休む時間を作る、早めに布団に入るとか、職場で緊張する状況が続いてきたときには、誰かに話したり、自分なりの気晴らしをするといったようなことです。

注意サインへの対処

調子を崩す時に起きがちな、自分の中に起きるサインを明確化してみましょう。例えば、胃や頭の痛みが起こる、不安や焦りの気持ちが高まる、『〇〇すべきなのに』という思考が浮かびやすくなるなどです。

調子が悪くなってきた時

不調になってくると、行動に現れやすいもの。それに対してどういう手立てを取るか考えます。例えば、普段はしないミスが増えてきたと感じるのであれば、ボーッとする時間を作って頭の中を空にする・ネガティブな感情や思考がぐるぐるし始めたら、必要以外の情報を遮断するなどです。

危機的状況の時

自分ではどうしようもできない時、どんなことでサポートしてもらいたいかを考えましょう。例えば、友人や恋人、家族に家のことなどを手伝ってもらう・専門家に話を聞いてもらって解決策を考えるなどです。逆に『したくないこと・して欲しくないこと』という視点で考えてみるのも良いでしょう。

危機的状況を脱した時

骨折をした時に、治ったからといって急に運動したりしたら悪化してしまう可能性がありますよね。それと同じように、危機を脱したとはいえ、また不調になる可能性があります。なので、急に日常の自分に戻るのではなく、段階を経てゆっくり回復していくためのプランを考えましょう。例えば、寄り道を控えて自宅に帰る、急を要しない予定を延期する、休む自分も良しとする、などです。

自分で自分のための回復方法を作っておこう!

落ち込んだり、調子を崩したりした時、自分の一番の味方になれるのは誰でもない自分自身です。また、調子を崩している最中は自分へのケアについて意外と考えられないもの。だからこそ、普段から『どんなことをしたら自分が元気でいられるか』という視点を持ち、元気に健康でいられる方法やツールを備えておきましょう。

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南 舞

南 舞

公認心理師 / 臨床心理士 / ヨガ講師 中学生の時に心理カウンセラーを志す。大学、大学院でカウンセリングを学び、2018年には国家資格「公認心理師」を取得。現在は学校や企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとの出会いは学生時代。カラダが自由になっていく感覚への心地よさ、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じヨガの道へ。専門である臨床心理学(心理カウンセリング )・ヨガ・ウェルネスの3つの軸から、ウェルビーイング(幸福感)高めたり、もともと心の中に備わっているリソース(強み・できていること)を引き出していくお手伝いをしていきたいと日々活動中。



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