【四十肩予防に有効】運動学的肩関節の動かし方|運動学を利用した理学療法士考案メソッド
ヨガポーズは腕を絡める、後ろで組むといった日常生活にはない動きが多く、肩が辛い…と感じる人も多いはず。さらに年齢を重ねると肩まわりの不調も。そこで運動学を利用した無理のない肩の動かし方を中村尚人先生が解説!
内・外旋筋のバランスが肩の健康と可動性のカギ
ヨガポーズ中、肩が動かしにくい、辛い原因に肩の筋肉のバランスの強弱があると中村尚人先生。
「年齢を重ね四十肩に悩む人がでてきますが、これはローテーターカフ※と呼ばれる肩の深層筋のアンバランスが原因。ローテーターカフは、肩関節を内旋・外旋させる筋群で、内・外がバランスよく働くことで肩の安定が保たれます。ところが、肩を内旋させるようなくせがあると、内旋筋が短縮して外旋筋が引っ張られた不均衡な状態に(外旋のくせはその逆)。やがてそれが痛みとなって出てきます。ポーズ中の肩のつらさも、こうした内・外旋筋のバランスの悪さが関係している可能性が」と中村先生。
「40、50代になると、代謝(回復力)や筋力が低下することも肩の辛さの一因。人間は四足動物と違って肩から腕がぶら下がっているので、手を動かすたびに肩を使います。その疲労が回復できないまま連日使い続けることで不調に」
肩の健康のためには、肩の内・外旋筋をバランスよく使うこと、また使った後のほぐしケアをすることが大切。無理にポーズを行わず、肩の動かし方もマスターして。
※ローテーターカフ:棘上筋・棘下筋・小円筋(外旋筋)、肩甲下筋(内旋筋)の4つの筋肉で構成。
ポーズで肩が辛い原因は肩の内旋筋・外旋筋のバランスの崩れにあり!
簡単な動きで肩の内旋筋と外旋筋のバランスをチェックしてみましょう。普段、無意識にしていたあのくせも、肩の動きを制限している原因かもしれません。
外旋筋・内旋筋のバランスをcheck!
内旋筋と外旋筋のバランスを確認しましょう。手が床までつけばOK。外旋がいかない場合は外旋筋が弱い(または内旋筋が硬い)。内旋がいかない場合は内旋筋が弱い(または外旋筋が硬い)。両肩でチェックして。
HOW TO
仰向けになり肩の高さで肘を曲げ、前腕を床と垂直に。肘を直角に保ったまま上(外旋)と下(内旋)に倒す。
【スタート】
【外旋】
【内旋】
日常生活のくせをcheck!
バッグの持ち方や頬杖など、毎日繰り返している動作やくせが、内・外旋筋のバランスを崩す原因になっています。
バックの肩掛けは内旋位
このような動作は内旋位。いつもかけている側は内旋が強くなる。
バックの肘掛けは外旋位に
持ち手を肘掛けにすると肩は外旋位に。いつもかけている側は外旋が強くなる。
腕組みは内旋位に
腕を組むくせは、両肩とも内旋が強くなる。
鍛える・ほぐすで内・外のバランスを整えよう!
上のチェックで内・外旋筋のバランスが崩れていることがわかったら、強化とほぐしを組み合わせてバランスを整えていきましょう。外旋・内旋どちらもやりにくかった場合は、すべて行い、硬くなった筋肉をほぐすケアを念入りに!
鍛える
【外旋筋】
checkで外旋がしにくかった人は、外旋筋の強化を。片手に水の入ったペットボトルなど(500㎖)を持ち、肩の高さで肘を90度に曲げ、肘の高さを保ったままボトルを上げる。
◎ゆっくり10回以上辛くなるまで
【内旋筋】
checkで内旋がしにくかった人は、内旋筋の強化を。片手に水の入ったペットボトルなど(500㎖)を持ち正座に。上体を前傾し、肘を横に張って曲げ、前腕を床と垂直にする。肘を90度に保ったまま腕を後ろに回し引く。
◎ゆっくり10回以上辛くなるまで
ほぐす
【外旋筋】
checkで内旋がしにくかった人は、外旋筋が硬いのでほぐして。棘下筋・小円筋は仰向けになり、肩にゴムボールをあててほぐす。(30秒)
棘上筋は下写真のようにマッサージを。
【内旋筋】
checkで外旋がしにくかった人は、内旋筋のほぐしを。腕の付け根の内側(肩甲下筋)に親指を入れて押す。肩甲下筋は、腕を後ろに回す(内旋)と動くところ。(30秒)
ボールを使って肩甲下筋をマッサージしたり、上から体重をかけてゆるめるのも無理なくほぐせるのでおすすめ。(30秒)
教えてくれたのは…中村尚人先生
理学療法士、ヨガインストラクター。TAKT EIGHT主宰。理学療法士の知識と経験を活かした指導で人気。医療とボディワークの融合、予防医学の確立を目指し活動中。
モデル…池田莉子さん
新体操の選手として活躍した後、ヨガと出会いヨガインストラクターの資格を取得。現在は、モデル業とともにヨガ講師としても活躍中。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く