脳や神経の病気は腸からきている!?腸が整う「食べ方」とは?【アーユルヴェーダ流!腸活の法則】
脳や神経の病気は腸からくる…これは、私がアーユルヴェーダを学び始めた時に、非常に興味深いと思った理論です。驚くことに最近では、「腸脳相関」という言葉も出てきて現代医学的にも腸内細菌の状態が悪いことが脳へ影響を与えることがわかってきました。今回は、アーユルヴェーダの腸活についてご紹介します。
アーユルヴェーダとは、インドとスリランカで5000年以上にわたって実践されてきた伝統的な医学です。アーユルヴェーダでは「腸活」をどのように考え、また、どのように実践されるかをご紹介します。
腸はワータのエネルギーが影響する場所
アーユルヴェーダでは体内の生理作用を、ドーシャという言葉で表現します。ドーシャとは、ワータ、ピッタ、カパの3つがあり、それぞれ以下のような生理作用を司るとされています。
ワータは、運動・感覚・コミュニケーション機能
ピッタは、体内の熱と視覚に関する機能
カパは体に構造と粘着性を与え、体液をつくる機能
この他にもドーシャは心にも作用します。ドーシャは、私たちの体の全身にありますが、特にワータ、ピッタ、カパのそれぞれの影響が出やすい場所というのがあります。ワータの影響が出やすい部位は「大腸」です。
脳や神経の病気は腸からきている!?
ワータの影響が出やすい場所である大腸をサンスクリット語で「パックワシャーヤ」と言い、アーユルヴェーダの臨床研究では、この部分は非常に重要視されます。なぜならアーユルヴェーダの理論によると、多くの病気が大腸の問題に起因するからです。例えば、アーユルヴェーダの理論によると、脳の損傷が原因で起こる麻痺などの病気も、典型的なワータの病気と考えます。
損傷自体は脳にあるのですが、脳はワータのエネルギーが集まる場所なので、ワータが乱れていることに関係する、そして、
ワータは大腸に特に集まっているので、大腸でワータが乱れていることが病気の原因となっている、と考えるためです。
腸に蓄積された毒素は、血流に入り、脳内のもろい血管に入り、閉塞を引き起こします。そのため、アーユルヴェーダでは麻痺患者のリハビリには、腸腸を浄化し、浣腸とオイル浣腸で栄養を与えます。だからこそ、腸を健康に保ち毒素を溜めないことが、脳や神経の病気を予防し、健康と若さを維持するために重要と考えるのです。もちろん、それ以外の病気の予防にも腸の健康は欠かせません。
アーユルヴェーダ流「腸活」
本場のアーユルヴェーダの治療では、腸を健康に保つためにパンチャカルマ治療が行われます。パンチャカルマ治療とは滞在型の入院治療のようなもので、日本でいうと湯治のイメージに近いかもしれません。アーユルヴェーダの専門施設に滞在し、毎日、オイルを使った温熱療法を行い体の状態が整ったら、下剤か浣腸により毒素を排出させます。
日本からもインドやスリランカにパンチャカルマ治療を受けに来る人がいるので気になる人は是非、一度訪れてみてください。私の知り合いからも、日本の病院で何年かかっても治らなかった病気が1週間の滞在で治った、なんていう驚きのエピソードをよく聞きます。しかし、ここでは、パンチャカルマにすぐにいけない人のために簡単な食事から腸を整えるアプローチをご紹介します。
①食物繊維を多く含む食品
食物繊維を多く含む葉野菜や海藻、こんにゃくなどを適度に食事に取り入れましょう。特にこんにゃくは食物繊維が豊富で「腸のほうき」とも言われる食品で、低カロリーでビタミンとミネラルも豊富です。
②プロバイオティクスをとる
次に、腸内で共生細菌を生産するためにプロバイオティクスも必要です。インドやスリランカで飲まれる伝統的な飲み物の「タッカラ」は、ヨーグルトと水を混ぜ合わせてつくられるバターミルクです。タッカラは多くの腸疾患の薬としても使われ、アーユルヴェーダで用いる最高のプロバイオティックと言えます。日本食には、プロバイオティクスの発酵食品がたくさんあります。味噌や漬物、また発酵茶であるコンブチャは、プロバイオティクス的な和食の非常に良い例です。
もちろん、いずれの場合も摂りすぎは他のドーシャを乱す原因にもなりますから、バランスよく摂ることを忘れないでください。
AUTHOR
アカリ・リッピ―
アーユルヴェーダ著者・セラピスト。本場スリランカでアーユルヴェーダ医師のもと修行。帰国後、1万人の体質改善コンサルをしながら講座で実践的なアーユルヴェーダを指導。著書「アーユルヴェーダが教える、せかいいち心地よいこころとからだの磨き方」 (三笠書房)5刷。都内でサロン経営。大手企業の営業マンだった時の経験を活かし、「忙しい人でも無理なくできる」現代的なアーユルヴェーダを発信。
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