スタミナ料理は夏バテ対策には逆効果?猛暑を乗り切るアーユルヴェーダ3つの知恵
ヨガ講師でアーユルヴェーダカウンセラーとしても活動するHIKARU先生に、アーユルヴェーダの知恵を借りて、日々を心地よく過ごすヒントを教えていただきます。
梅雨が明け、一気に猛暑がやって来ました。海や山へのレジャーという楽しみもありますが、体調管理により一層気をつけなければいけない時期でもありますね。食欲がない、睡眠不足、やる気が出ない、これらの不調は夏バテの兆候かもしれません。アーユルヴェーダの古典書では、“太陽が力を奪う季節”と夏のことを表現し、体力、消化力、抵抗力が一年の中で一番低下する季節であると考えられています。これらの力の中でも、最もケアしたいのが消化力です。食べ物がうまく消化されない限りは、体の様々な組織が作り出されないからです。
私たちの消化力は年齢や季節、その日の体調によって日々変化します。毎回の食事がその時の消化力に相応しく、うまく消化されれば体を作り出し、自ずと体力や抵抗力にも関わっていきます。この夏を元気に過ごすための食事のポイントを紹介します。
1.無理して食べないで
一年で一番消化力が低下する時期なので、いつもの量を頑張って食べる必要はないかもしれません。前の食事がうまく消化できていない時、睡眠不足の時、何かストレスを感じている時などもお腹が空いて来ません。空腹感は自然の衝動の一つで、準備が整った消化機能からの合図です。準備が整っていないのに、無理やり消化させる仕事を押し付けてしまっては、なかなか作業はスムーズに進みません。食欲がない時には無理して食べずに、水分は摂りながらも一食スキップしてみたり、消化力が低下する夜の食事を軽めにしたりするのもいいです。
2.優しくシンプルな味付けで
夏バテ対策としてうなぎや焼肉でスタミナをつけたい、というのは逆効果かもしれません。焚き火を思い出してください。火が小さい時には燃えやすい落ち葉や小枝を、焚べる薪を少しずつ太くしながら火を育てます。その時の火の大きさに合った燃料を使うことで焚き火は持続します。確かにスタミナ料理は栄養価が高く、元気で食欲旺盛の時には滋養強壮が期待できる食事ですが、消化力が低下する夏に、果たしてうまく消化できるのかが疑問です。まだ火が小さいのに丸太を放り込んだのと同じ状態で、鎮火しかねません。また、味付けが複雑なこってりとした料理も消化が難しくなりますので、食欲不振の時には、優しいシンプルな味付けのメニューがおすすめです。
3.季節の野菜や果物を楽しんで
アーユルヴェーダでは、その土地でその時期にとれた食材を推奨しています。夏野菜や果物は、熱取りをしてくれるこの時期最適な旬の食材です。手に入りやすいきゅうりは代表的な夏野菜で、強壮効果のある岩塩と、消化促進効果のある生姜を入れた“きゅうりの塩揉み”は、簡単に作れるレシピです。黒い皮のついたぶどうは有益な食材ですし、水分もたっぷり含み甘さが強い桃や梨なども消化がしやすくおすすめです。ただし、すいかは消化が重い果物ですので、昔から天ぷらとすいかは食べ合わせが良くないと言われているように、ご馳走を食べた後には要注意です。
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今回の記事のカバー写真は、夏の訪れを知らせてくれるクチナシの盆栽。とても良い甘い香りのする花を咲かせます。1年半ほど前からハマっている盆栽ですが、基本的に鉢の中には、赤玉土といってあまり栄養を含んでいないシンプルな土を入れています。樹木の口は根です。毎日の水やりで水分を、定期的に肥料を与えて栄養を摂り成長します。剪定や植え替えと同様に、肥料の与え方にも適期というものがあって、いつでもたくさん肥料を与えて良いわけではありません。特に、根を切った後、植え替えをした後には木の力が落ちているので樹勢が戻るまでの養生期間には、水だけを与えて肥料を与えてはいけない時なのです。そして、成長を一旦止めて暑さを耐える夏の期間も、肥料を与えてはいけません。弱っている時には、栄養価の高いご馳走を控えて、よりシンプルな水で凌ぐというわけなのです。盆栽とアーユルヴェーダが私の中で繋がった、とても印象的なポイントです。
AUTHOR
HIKARU
アンダーザライト ヨガスクール リードトレーナー、全米ヨガアライアンスE-RYT500、YACEP認定講師、シヴァナンダヨガ正式指導者。アーユルヴェーダ・ヒーリングコンサルタント(日本アーユルヴェーダスクール認定)、Ayurvedic Medicine Practitioner(米国補完医療大学発行)など各資格を取得。AyuSya(アーユシュヤ)にて、ヨガとアーユルヴェーダの叡智を統合させたセルフケアの方法を提供する。著書に「やさしいヨガ」「HIKARUの楽しいヨガ」「はじめての楽しいヨガ」「はじめてのアーユルヴェーダ」(主婦の友社) www.ayusya.jp
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