ライター体験記【溜め込まない!デトックス体質になる】巡りを促す生活習慣の「見直しポイント」とは?
いくら体にいい食事やサプリメントを摂取しても、毒が溜まった体では効果も半減。管理栄養士、アーユルヴェーダ・ヨガ講師の岡清華さんに学ぶアーユルヴェーダ的「デトックス・ファースト」な暮らし方を、ライターが実践した体験記とともにご紹介します!
「消化力」を高める、アーユルヴェーダ的「デトックス・ファースト」とは?
<アーユルヴェーダとは?>
5000年以上の歴史を持つ、インド・スリランカ発祥の伝統医療。東洋医学の原点と言われています。人間が持つ性格や身体的特徴、体質などをもとに、バランスの取れた状態に整えることが目的です。自分に合った食生活やライフスタイルを知ることで、溜まった毒を排出しやすく、良いものを受け入れられる環境を整えます。まさに、自分自身の取扱説明書。心身ともに豊かな暮らしを送るための、生活の知恵袋です。
<アーユルヴェーダ的「デトックス・ファースト」>
「インドの諺に、『汚れた布を染めてもきれいに染まらないけど、真っ白の布を染めるときれいに染まる』というものがあります。体も同じ。体内がクリーンであればあるほど、消化吸収・排泄しやすくなります」(岡さん)
体の毒を出せるツールは、便・尿・汗の3つ。しっかり排泄ができることで、おいしく食べられるし、栄養も吸収できる。そしてそれができてやっとまた排泄ができるのです。その機能をうまく活用して、いつでも出せる体に整えることが、アーユルヴェーダ的「デトックス・ファースト」の考え方です。
そのためには、体の中の消化・吸収・排泄がきちんとできる体のメカニズムを作ることが必要。つい、栄養価の高いものなど取り入れることにフォーカスしがちですが、体の中でそれがきちんと消化吸収できているかが問題です。
「もともと胃腸が弱い方や、体の中が未消化物や毒素で汚れていて腸が詰まっている方が、いくら栄養価の高い食事をとっても、またそれが詰まって体内で腐敗して、逆に毒になる可能性もあります。ですから、プラスする前に体の中をきれいにして吸収できる状態に整えることが優先です」(岡さん)
上手にデトックスしながら、燃費の良い「持続可能な体づくり」を
デトックスが最優先といっても、短期間でいっきに出せばいいというわけではありません。食べすぎたら、ファスティングをして、また食べすぎて……。車のアクセルと急ブレーキを繰り返すような使い方をしていたら車体がすぐにボロボロになってしまうように、不規則な食生活を続けると、私たちの体もボロボロになり、エネルギー効率の悪い走り方になってしまいます。これでは、消化・吸収・排泄がスムーズに行われず、疲れやすくなるし、集中力がなく時間の効率も悪くなってしまいます。燃費がよく持続可能な体を作るためにも、日々の生活で“ニュートラル”に保つことが大切です。
「童話『うさぎとかめ』に例えると、刺激的な生活を送るうさぎと、毎日コツコツと安定した生活を送るかめ。うさぎには途中止まって休憩が必要になるけれど、ゆっくりでも進んでいるかめに、最終的には負けてしまいます。日々の生活を整えて、コツコツと小さなケアを続けるかめのような暮らしが理想。消化力の高い体を保つことで、健康的な体を維持できることに繋がり、結果的にお金も時間も労力もかからない燃費の良い体に。消化力が安定すると、気持ちのテンションや体力も安定するようになりますよ」(岡さん)
ライターが体験レポート!デトックスを促す生活習慣「見直し」4つのポイント
ポイント1<毒を出す・溜めない食べ方の見直し>
食べ物を口に入れた瞬間から消化は始まっています。早食いで飲むように食べている人は、消化できていないことも多く、呼吸も浅くなっているとか。また、唾液は消化酵素のひとつ。しっかり咀嚼して唾液と混ぜることで、最初の消化が始まります。その後、胃や腸で消化・分解されます。
「何を食べるかも大事ですが、ジャンクフードでもオーガニックフードでも、『食べ方』を見直すことが大切です。また生姜を取り入れて、消化を促してあげると◎」(岡さん)
実践したこと
▶︎いつもよりしっかり咀嚼して食べることを意識する
▶︎食事前に、千切りにした生姜3〜4本にレモン汁と岩塩をかけた「ジンジャーアペタイザー」を食べて消化力をアップ
▶︎朝いちばん、生姜白湯を飲む
(作り方)
よく洗った生姜を保存瓶に入れてミネラルウォーターか浄水を注ぐ。朝、白湯にして200〜300ml飲む。*生姜を皮ごと使う場合は、無農薬のものを。
試してみて…
「今までどれだけ急いで食べていたのかと、気づきました。ゆっくりよく噛んで食べると、食べる量も控えめになるし、食後の眠気が軽減したように感じました。食前のジンジャーアペタイザーは、食欲もアップしてくれる感覚。夏バテしたときにも良さそうだなと思っています。もともと白湯を飲む習慣はあったのですが、生姜白湯はお気に入りに。前夜に瓶に入れておくだけなので簡単だし、ほんのり生姜風味の白湯は朝ほっとします。朝胃もたれを感じるときも、生姜白湯を飲むとスッキリ。二日酔いにも良さそう(笑)。もともと胃腸が強くないので、これらは続けていきたいです」(ライター)
ポイント2<デトックスを高める睡眠の見直し>
消化力を高めることは、睡眠の質を高めることにも繋がります。睡眠時間がバラバラで、昼夜逆転の生活をしていては、自立神経が乱れて消化力も低下してしまいます。まずは、なるべく22時〜2時のシンデレラタイムに少しでも長く睡眠をとることを心がけて。この時間は、細胞が変換される時間と言われています。食べたものはもちろん、経験したことや感情も消化・吸収し、「これは脂肪に、これは筋肉に。これは尿や便に」と分別する時間でもあるそうです。
「寝る時間と起きる時間は、できるだけ規則正しくすると、それだけで心身が整います。また夕食は2〜3時間で消化できるものを。携帯などデバイスと遠ざけたり、照明を暗めにしたり、ストレッチや深呼吸をしたりと、副交感神経を優位にしてリラックスできる環境づくりも有効です」(岡さん)
これにチャレンジ!
▶︎夕食を軽めに、早い時間に済ませる
▶︎入浴後、リラックスモードに切り替え。照明を暗めにして過ごし、できるだけ22時に就寝。
試してみて…
「仕事柄、わかってはいるけどなかなか挑戦できなかった睡眠の改善。22時は難しく、23時にはベッドに入り、朝は6時頃起きるようにしました。時間を決めると想像以上に寝起きがスッキリ。寝る前は照明を暗くしてキャンドルや香りものでリラックスできるように。このおかげで午前中の仕事がとにかく捗るし、以前は日中よく眠くなっていたのですが、それも気づけば解消されています。夕食を早い時間に済ませるのも難しいかなと思いつつ、仕事を中断して一旦食事をするようにしたら、意外と平気でした。夕食が早いと朝の胃もたれがなく、体が軽い!逆に、うっかり遅くなってしまった時は、朝も胃が重いことに気づきました」(ライター)
ポイント3<体をきれいにする暮らし方を見直し>
人には、代謝・休息に適した時間があり、その時間や四季に合わせて暮らすことが毒を溜めないための近道です。大切なのは、自分をよく観察すること。変化を見逃さず、疲れていたら休んだり、早く寝たりして、ベストな状態を保つために調整しましょう。
「ルーティンを作ると、自律神経や体内時計も整いやすくなります。また、日々自分の様子を観察すると、変化に気づきやすくなります。舌チェックや舌磨きは自分の体調を測るバロメーターにも。舌の側面が凸凹と歯のあとがついていたら、腸が浮腫んでいる証拠。舌の汚れがひどい時は、前日食べたものが消化できていないというサインです。朝、仕上げにオイルプリング(オイルでうがいをすること)をすると、唾液中の消化酵素が活性化され、唾液力も高まります」(岡さん)
これにチャレンジ!
▶︎舌のチェック&舌磨き
(やり方)
朝起きたら、歯磨き前に舌を出して鏡の前でチェック。舌磨きは、金属製の専用のもので行う。
▶︎オイルプリングで口の中を洗浄
(やり方)
大さじ1程度のオイルを口に含み、10分程度クチュクチュと口の中をゆすぐ。オイルがサラサラになったら、ティッシュなどに吐き出す。
試してみて…
「驚いたのが、舌チェック。舌を出して見てみると側面が凸凹に。浮腫みやすい体質なのですが、舌に症状が出ていたとは驚きました。舌の汚れもよく観察すると、毎日違います。夕食を軽めに早い時間に食べた時はほとんど汚れがなく、胃もたれを感じる日は汚れが目立ちました。オイルプリングはココナッツオイルで行いました。効果はまだわかりませんが、口の中がスッキリするのに潤っていて、意外といいかも?と思っています。いつもは、朝の歯磨きや洗顔もあまり意識せず、ちゃちゃっと済ませていたのですが、朝いちばんに観察することで、なんだか丁寧に暮らしているなと気分がよかったし、変化を見るのもおもしろくて。いい状態を保ちたいから、食事や睡眠も気をつけたいという気持ちになりました」(ライター)
ポイント4<感情やストレスケアの見直し>
心と体は密接に関係しています。自分の欲望や感情をコントロールすることも、消化力を高めて健康に暮らすために重要なポイントです。食生活で消化力が強くなると、感情も消化しやすくなり、そうすると睡眠の質が高まります。感情がきちんと消化できるようになると、ストレスや悩みが軽減できます。
「特にコントロールが難しいのが欲望。短期的な欲ではなく、長期的な快楽に矛先を変えてみるといいと思います。欲望に負けると、生活に支障をきたし、食も睡眠もライフスタイルも乱れてしまいます。落ち着いて俯瞰してみると、長期的な心地よさを選択できるようになるはずです。広い視野で自分を観察する力を養いましょう。また、感情をノートに書き出してみましょう。自分の感情を可視化することで認識できて、消化しやすい状態に。感情が処理できないときに有効です」(岡さん)
これにチャレンジ!
▶︎食べたものや感情をノートに書き出す
▶︎短期的な快楽か長期的な快楽か考える
試してみて…
「短期間ではっきりとした変化を感じるのは難しかったです。感情を書き出すという作業が、思いのほかできず…。始めて数日は、いざノートを開いて、何を書こうかとしばらくフリーズしてしまいました。徐々に慣れて書けるようになり、気持ちを可視化すると客観的になれるなと感じています。直感で生きている私にとって、自分の欲望が短期的なものか長期的なものか、一度考えるというのはとても新鮮でした。そして、何か買おうとするときに実践してみると、大抵買わなくていいという結果になることにびっくり。これまで随分と勢いに任せて無駄遣いをしてきたなと、反省しました(笑)。おかげで、なかなか止められなかった甘いものが食べたくなる欲望を無理せず抑えそうです」
どれも、高価な道具が必要だったり大きく暮らしを変えたりする必要もなく、すぐに実践できることばかり。「コツコツと日々続けることが大切です」と岡さんも言うように、続けることが健康へのいちばんの近道のように感じます。全部でなくても、1つでもできることから試してみてはいかがでしょうか。
▶ 前編 【30代・40代女性、体がだるいの解決策】未病を防ぐ!アーユルヴェーダ的「デトックスファースト」
【教えてもらったのは…】
岡清華さん
管理栄養士、アーユルヴェーダ・ラージャヨガ講師、<MOTHER>創始者、Mother株式会社代表取締役。1993年生まれ。大学で食物栄養学を学び、管理栄養士の資格を取得。西洋医学を学んだことから、東洋医学に興味が沸き、アーユルヴェーダと出会う。大学卒業後、カウアイ島で本格的なアーユルヴェーダを学び、全米ヨガアライアンスを取得。その後、ヨガクラスや栄養指導、「腸」に特化したフード開発、レシピ監修、イベント企画・運営などを手がける。現在は、アーユルヴェーダの教えをより現代の日本にフィットさせる方法として“Japanease modern Ayurveda”を提唱。ウェルネス空間のプロデュースや商品開発、イベント、セミナー、講座でアーユルヴェーダを発信するなど多方面で活躍中。2022年秋頃、アーユルヴェーダの知識や活用法、伝え方まで学べるオンラインスクールを開催予定。著書に『無敵のデトックス大全―溜まっているオトナを巡らせる!』(ワニブックス)がある。Instagram:@okasaya
AUTHOR
高野瞳
編集・ライター。出版社や編集プロダクションを経て、独立。学生時代にオーガニックコスメに出合い、アロマテラピーや漢方、サスティナブルなライフスタイルなどにも関心を持つようになる。現在は、ライフスタイルや美容など幅広い分野の雑誌やwebメディアで執筆中。アロマテラピー検定1級、ルボア認定フィトアドバイザー取得。趣味は、旅行と散歩。
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