こまめな水分補給だけでは足りない?誰もがかかるリスクのある【熱中症】正しい対策を管理栄養士が解説
夏本番。外に出るだけでうだるような暑さですね。熱中症は、外に出ていなくてもなってしまう可能性のあるもので、誰しも注意が必要です。今回は熱中症の対策を管理栄養士の目線でお伝えします。
今、気怠さや疲労感を感じている方。もしかしたら熱中症になりやすい体質になっているかもしれないです。一度、生活を振り返ってみましょう。
そもそも熱中症とは?
厚生労働省のサイトによると
熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節 機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。
屋外だけでなく室内で何もしていないときでも発症し、 救急搬送されたり、場合によっては死亡することもあります。
その症状は様々で、体温の上昇はもちろんですが、めまい、頭痛、気怠さ、吐き気などのさまざまな症状を引き起こします。熱中症といえば、暑い中外に長時間にいたり、真夏の過酷な環境下で運動をしていたことが原因であると想像するかもしれません。しかし、実際はこうした場面ばかりではないことをご存知でしょうか?
実は、身体が暑さになれていない時期にかかりやすかったり、寒暖差の激しい環境(クーラーの聞いた部屋と外を行き来するなど)でも起こってしまうものなのです。そのためアスリートや運動部の学生だけでなく、室内に多くいる方でもなる可能性があるものなのです。
知っておきたいポイント
熱中症にならないためにはどんなことを気をつけたらいいのでしょうか。
ポイント①こまめな水分補給をする
一般的に、人が生命を維持していくために必要とする水分は、1日あたり2.5リットルと言われています。これを聞いて、どうでしょうか。皆さんは、その水分をどう確保していますか?全てを飲料で確保する必要はないのですが、こまめに水分を補給することは大切です。食事する中で、汁物や野菜、果物をしっかり食べていけば食事でも水分は補えるので、飲料の目安としては1.5リットルもとれていれば十分かなと思います。ただ加工品が多かったり、汁物を飲まないなど食事が偏ると摂取できている水分も自然と減ってきますので、注意をしましょう。
また人それぞれ汗のかきやすさや、運動量など全く異なります。2.5リットルは一つの目安として考えて、トイレで尿の色をチェックして、いつもより色が濃い尿が出ていたら水分を意識するなどして、自分自身の適切な水分摂取量を見つけていきましょう。また体の水分が減少すると尿の回数が減るので、そういった点にも注意が必要です。
ポイント②朝食をとる
特に朝食は、熱中症予防という点でとても重要な食事です。夜中なにも食べないで朝食も食べないというのは、長い時間水分を補給していないことになります。また一日の最初に食べる朝食で水分と塩分をしっかり補給しておくことで、その後の水分不足や塩分不足を予防することができます。
ポイント③生活のリズムを整えておく
同じ環境でも熱中症にかかる方とそうでない方がいます。これには様々な要因が考えられますが、大きい要因としては生活リズムが乱れていることが挙げられます。睡眠不足時に深部体温が上昇しやすいというデータもあります。そのためしっかり睡眠をとることが重要です。不規則な生活スタイルにならないように生活リズムを整えていくことが重要です。
これらのことは一般的に言われてる内容でもあり、ベースの大事な考え方です。ぜひ日常的に、意識してもらえたらと思います。
また違った視点で、熱中症に陥りやすいポイントをお伝えします。よくやりがちな方も多いのでぜひ覚えておいてください。
その習慣、要注意!見落としやすい、熱中症に陥りやすいポイント
ポイント①うどんや蕎麦などの麺類中心の食事だとタンパク質が不足する
「熱中症対策には、こまめな水分補給を」と言われ、私はしっかり飲んでいるから大丈夫!と思っている方!それだけではいけません。
暑くてついつい食べやすいうどんや蕎麦などの糖質メインのお食事になっていませんか?それだと身体に必要なたんぱく質が上手に摂ることができません。たんぱく質は、疲労回復や夏バテ、熱中症を予防することが期待でき、血液をしっかり作ることで熱中症の予防にもなります。
たんぱく質は肉や魚や卵や大豆製品に多く入っていますので、うどんや蕎麦に、卵や豚しゃぶや冷奴など簡単に摂ることのできるたんぱく質のおかずをつけてあげましょう。
ポイント②「とりあえずスポーツドリンク」で糖の過剰摂取につながる場合も
そもそもスポーツドリンクとは、運動や日常生活などでの発汗によって体から失われた水分やミネラルを、効率良く補給できる清涼飲料水です。 砂糖や果糖などの糖類とナトリウムなどのミネラルが含まれています。 汗を大量にかくと、体内の水分とともにミネラルも奪われてしまいます。 その時に、水分とミネラルを補給できるのが良いポイントです。
ただ、喉が乾く前の水分補給にスポーツドリンクをダラダラと飲み続けていると、糖の過剰摂取になることもあります。また血糖値の急上昇、急降下が起きるため、ホルモンの分泌や自律神経に混乱を起こしてしまいますので、ますます熱中症になりやすい身体を作ることにつながる可能性があります。そのため普段の水分補給は糖分を含まない水を選択し、発汗が多い長時間の運動時のみスポーツドリンクを摂取するよう使い分けをしてみましょう。
ポイント③在宅ワーク等で慢性的な運動不足に陥ると熱中症のリスクが上がる
在宅ワークで活動量が低下している方は要注意です。運動不足によって、水分を保持する役目もある筋肉が減るとおのずと脱水しやすい身体になります。慢性的な運動不足など生活の乱れで自律神経のバランスが崩れると、より熱中症になるリスクは上がります。
また外に出る機会が減ったことにより、たまに外に出ると、上昇する気温に身体がついていかず、うまく発汗できないとったケースもあり熱中症のリスクが上がる方も多いです。「在宅ワークだから大丈夫!」と油断はせず、適度に体も動かしながら、身体がなまらないようにすることも大事です。
まとめ
熱中症=こまめな水分補給!
という安易な考えではなかなか予防が難しいです。
自分のライフスタイルを振り返りながらぜひ今年の夏、熱中症にならないように気をつけてもらえたらと思います。
AUTHOR
佐藤彩香
管理栄養士、予防医学士。 企業や保育園で栄養カウンセリング、献立作成、栄養計算、店舗運営を経験し、その後独立。実践型の栄養サポートを行い、プロアスリートからスポーツキッズ、ダイエット希望の方など累計5,000人を超える人々と関わる。現在はパーソナル栄養サポート、専門学校非常勤講師、セミナー講師、ライター活動、レシピ開発なども行いながら「あなたのかかりつけ栄養士」として活動している。
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