【自己批判から抜け出す方法】「あるがままの自分」を愛することはなぜ難しいのか?
怠惰の罠
セルフ・コンパッションに立ちはだかる別の障害は、自分に優しくすることで周りからナルシストだとかエゴイストだとかレッテルを貼られることへの懸念である。極端に聞こえるかもしれないが、自分を愛することは、しばしば自己中心的もしくは自慢であると見られている。逆に、自分を嫌うことは、私たちの文化にすでに織り込み済みである。(映画「ミーン・ガール」のシーンがそれを物語っている。)自分を批判することは、自分自身を向上させるための究極の(そして唯一の)動機づけと見なされているのだ。しかし、ネフ博士は、この(誤った)信念こそが、セルフ・コンパッションの受け入れを妨げる理由の一つであり、セルフ・コンパッションは本来モチベーションを向上させるという事実から遠ざけてしまうと述べている。
セルフ・コンパッションを実践することは、エゴを膨らませることとは明らかに異なるとグッデン博士は言う。エゴイストな人は、自分をよく見せるために他人を貶める能力に頼る傾向があると言う。自分の評価を高めるために常に周りの人を傷つけているのである。一方、「セルフ・コンパッション」は、他人とは無関係である。「自分は無条件に価値があると言っても、自分は誰かよりも優れているという意味ではないのです。私の意見としては、自分が無条件に価値があると心から信じているし、他のみんなもそうだと信じています」と博士は述べる。
セルフ・コンパッションの実践の始め方
嬉しいことに、このサイクルを断ち切り、自分自身に優しくすることはできる。自分を批判するのをやめ、自己肯定感にとらわれない考え方をしたいのなら、今すぐセルフ・コンパッションを人生に取り入れる方法を知っておこう。(私も深く心に刻みたい)。
・質問を始める。グッデン博士は、このような思考の転換は一晩でできるものではないと言う。また、「私には価値がある」と言うだけではダメで、特にあなた自身がそれを本当に信じていない場合は効果がない。代わりに、博士はいくつかの指針となる質問を自分に投げかけることを提案している。自分に価値を認めて行動するというのはどんな感じか?自分を大切に扱うとはどんな風だろうか?自分に優しくするというのは(はた目には)どんな感じに映るか?
・新しい視点を持つ。多くのクライアントとの会話の中で、グッデン博士は二人の教師を例に取り、説明する。「一人の先生は、間違った答えを出したあなたを非難し、あなたに価値がないと言います。もう一人の先生は、あなたに大きな期待を寄せていて、あなたがその目標に到達するのを応援したいと願っています。そこで私はクライアントの皆に、『あなたなら、どちらの先生になりたいですか?』と尋ねます。すると、『皆、2番目の先生が良い』と言うのです。しかし、多くの場合、私たちは自分自身に対して1人目の先生のように振る舞います。たとえそれが最終的に自分の成長に有効でなかったとしてもです」と博士は言う。
・自分が友人に向かって語りかける姿をイメージする。ネフ博士は、友人を見つめるのと同じように、自分自身を見つめることを勧めている。ネガティブで害のある独り言ではなく、アドバイスを求める友人になったつもりで自分に話しかけてみてほしい。責任を感じ、真実を伝えるかもしれないが、協力的になり、最終的には愛情を注ぐことになるのである。
教えてくれたのは…エレン・オブライアンさん
エレン・オブライアンはヨガジャーナル のスタッフライター。ライフスタイル、カルチャー、健康分野を得意とする。Twitter: @ellenobrien0
ヨガジャーナルアメリカ版/「Why Is It So Hard to Practice Self-Compassion?」
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ヨガジャーナルアメリカ版
全米で発行部数35万部を超える世界No.1のヨガ&ライフスタイル誌。「ヨガの歴史と伝統に敬意を払い、最新の科学的知識に基づいた上質な記事を提供する」という理念のもと、1975年にサンフランシスコで創刊。以来一貫してヨガによる心身の健康と幸せな生き方を提案し続けている。
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