春の食養生は香辛料&油控えめ/自然な酸味を上手に取り入れて|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん

 春の食養生は香辛料&油控えめ/自然な酸味を上手に取り入れて|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
Megumi Sekine
関根愛 
関根愛
2022-04-09

SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛さんです。

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みなさん、おはようございます。この春、意気揚々と新生活へと漕ぎ出したばかりの方も多いですね。二十四節気は「清明(せいめい)」という時期。まさに春真っ盛りといった清々しい気が溢れだすときです。私たちの背中をやさしく後押ししてくれるうららかな陽射しに満たされ、世界が明るく照らし出されていきます。

新生活のスタートに伴い、体も心も気を張っています。そのうえ、四月十七日からは季節の変わり目で体調を崩しやすくなる春土用とも重なるため、いつもよりやや少食にして体を労ることも大切。体を養うことはすなわち、心や気を養うことにもつながります。

春の食養生で心がけたい簡単にできることを三つあげてみましょう。春に影響を受けやすいのは「肝」、起こりやすい感情は【怒り】が該当します。暖かくなってくると冬のあいだに体にため込んだ老廃物を外に出そうとするので、知らず知らずのうちに解毒を担う「肝」に負担がかかっています。新年度はやや気を張った状態がつづきますが、それらが体のさまざまなところに「張り」として現れ、それを肝の機能が弱まった状態と捉えます。また肝が疲れてくるとストレスを感じやすかったり、イライラしやすくもなります。

そんなこの時期の体を気遣う食養生の一つ目は、香辛料を控えること。スパイスたっぷりのカレー、激辛のキムチなど、香辛料たっぷりの料理は「肝」の働きを弱めることがあります。アトピーや吹き出物がでやすいなど肌の炎症を抱えている人も、香辛料によって悪化していく可能性が大きくあります。どっと疲れていたり、癇に障ることがあったりすると無性に辛いものを欲してしまうのですが、そんなときは一歩踏みとどまり、辛さの種類を変えてみます。つまり「肝」に負担をかけるスパイスや唐辛子、胡椒ではなく、大根、生姜、長ネギ、ニラなどの自然で優しい辛みのものを意識して食べるようにしましょう。これらの食材は「肝」の油を処理する力を支えます。

カレー
カレーを食べるならスパイス控えめにしたり、解毒をしてくれる緑の野菜をたっぷりと

油の話がでましたが、二つ目は、脂っこいものをなるべく避けること。「肝」が疲れていると油の循環がわるくなり、ラーメンや揚げ物、焼肉などこってりしたものを欲するようになります。そういったものを食べ続けていると、ますます油の処理が追いつかなくなり悪循環が生まれます。甘いものが欲しい時つい手が伸びてしまうクッキーなどの焼き菓子も、油がたっぷり使われています。この時期はできるだけ揚げ物や焼き物、スナック菓子ではなく「蒸す」や「煮る」などの和食メニューを中心にしていくと疲れた体調も改善していきます。今は緑の野菜がみずみずしく美味しい季節ですので、青菜を入れたお味噌汁やおひたし、蒸し野菜や煮物をさっと作って食卓に加えてみるのもいいですね。

切り干し大根
切干大根と青豆のうま煮

三つ目は良質な酸味を取り入れること。過剰に酸味を欲するときは、「肝」が疲れていることが原因だったりします。油ものを多く摂取することで「肝」に負担をきたし、酸っぱいものを求める傾向が多いと聞きます。最近どうも酸っぱいものばかり欲するな...と感じたら「肝」の弱りのサインだと思って、できるだけ良質な酸味を適宜取り入れるようにしましょう。梅やレモン、イチゴ、柑橘などがそれにあたります。スナック菓子の代わりに柑橘を食べたり、副菜に梅和えを作ったりして、自然な酸味で体の要求を満たしてあげます。

春はともかくも解毒の時期。そのはたらきを助けてあげられる食事がふさわしい。なにごともスタートが肝心です。この時期に心や体にできるだけ負担をかけずに過ごすことが、この先の季節を心地よく生きていくために大切になってきます。うまく体と相談しながら、できる範囲で食べる養生を心がけてみてくださいね。

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関根愛 

関根愛

俳優を始めた十数年前よりアトピーなどさまざまな心身の不調を感じてきたことで、薬に頼るのをやめて自分の体の声を聴きながら養生していくために自然食を始める。「じぶんらしく生きるための食養生」をテーマにInstagramやnote、Youtubeで日々発信をつづける。マクロビオティックマイスター。映画制作者、ライター、翻訳者としても活動。座右の銘は「山動く」。



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