春の食薬「麦」で腸をスッキリきれいに|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん

 春の食薬「麦」で腸をスッキリきれいに|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
Megumi Sekine
関根愛 
関根愛
2022-03-12

SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛さんです。

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みなさん、おはようございます。早春、三寒四温の日々ですね。七十二候では「桃始笑(ももはじめてわらう)という時期です。名前を聴いただけで顔がほころぶようなうつくしい響き。昔のひとびとはよく花が咲くことを「笑う」と表現したのだそうです。冬には笑顔ひとつみせず表情の乏しかった植物が、春の到来とともに暖かさに誘われ、いよいよほほ笑みかけてくれた。冬をジッと耐え忍び春を待ちわびていた当時のひとびとの心には、そんなふうに届いたのでしょう。春をあらわす表現としては「山笑う」というものもありますが、これは花々がいっせいに笑い始めた、華やかな春の山のようすを形容したもの。なんとも素敵な表現だなあとつくづく思います。みなさんもぜひ、桃や梅だけでなく道端の花々のさりげないほほ笑みを気にかけてみてくださいね。

さて今日は、そんな今の時期の食薬となる「麦」のお話。麦といえば小麦、大麦、はと麦、押し麦、ライ麦などなど、わたしたちの食生活を幅広く支えてくれる力づよい植物。麦の生命力を表す言葉として、麦は踏まれてつよくなる、なんていいますね。皆大好きな麺類、パン、調味料、お酒まで、麦を使った食品は日常に数えきれないほどあります。手軽に栄養補給ができる雑穀ご飯としてもその人気はどんどん高まっています。

中でも春に食べると養生になるのが大麦。腸内環境をととのえる成分が豊富な大麦は、腸をスッキリきれいにするはたらきがたっぷりあります。また春は五臓のなかの「肝」に相当する季節なので、大麦をうまく摂取してあげることで「肝」のはたらきが良くなっていくことが期待できます。さらに今の時期特有の症状、たとえば花粉症や自律神経系の弱り、体調のゆらぎを感じやすい人は、いつものごはんやスープ、サラダに大麦を混ぜ込んでみることをおすすめします。季節の旬のものは、その時期の体をととのえるエネルギーにあふれているからです。

大麦にはいくつかの種類があります。お米と一緒に炊きやすくなっているのが、押し麦。ぜひ一緒に炊いてみて下さい。お米がなんとなく重たくて食べたくない時も、押し麦を多めに混ぜたご飯なら口当たりもお腹も重すぎず、それでいて栄養補給もしっかりできるのでおすすめです。粘り気やもちもち食感が好きな方は、もち麦を選んでもいいですね。薬膳でも重宝されるはと麦も美味しいですよ。たんぱく質やビタミンB群の豊富なはと麦は体に溜まった毒素を排出し、むくみをとってすっきりさせる効果があります。

パン食のときも、小麦の粒をまるごと挽いた全粒粉のものを選んでみましょう。小麦はふわふわしていて麦の味がわからないことが多いですが、麦本来の香ばしさがしっかり感じられるのが全粒粉のパンの良いところ。噛めば噛むほど味わいが出て美味しく感じ、舌もお腹も満ち足りてきます。何より小麦粉に加工する時にそぎ落とされてしまう外皮や胚芽に含まれる食物繊維やビタミンB群がたっぷりなところが嬉しい。

また栄養価の似ているライ麦パンに挑戦してみるのもおすすめです。小麦パンよりもお腹の調子が良くなり、お通じが改善される実感があるのではないでしょうか。ライ麦100パーセントのものはなかなか出会うことがありませんが、ライ麦が何割かでも配分されている小麦パンでもいいでしょう。この春は「麦」をちょこっと意識してみることで、すこやかに過ごしていける日頃の食卓を作っていきましょう!

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関根愛 

関根愛

俳優を始めた十数年前よりアトピーなどさまざまな心身の不調を感じてきたことで、薬に頼るのをやめて自分の体の声を聴きながら養生していくために自然食を始める。「じぶんらしく生きるための食養生」をテーマにInstagramやnote、Youtubeで日々発信をつづける。マクロビオティックマイスター。映画制作者、ライター、翻訳者としても活動。座右の銘は「山動く」。



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