春先の目の不調には「クコの実」が効果てきめん|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん

 春先の目の不調には「クコの実」が効果てきめん|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
Megumi Sekine
関根愛 
関根愛
2022-02-12

SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛さんです。

広告

みなさん、おはようございます。先日はふたたび関東でも雪が降りました。立春を迎えたとはいえ、まだまだつづく冬らしい寒さ。油断せずに外からも内からも身体を温めて、できるだけ早く寝て、栄養のあるものを食べながらあと少しの冬を乗り切っていきたいですね。

さて、前回の記事で、春に相当する臓器は「肝」であるお話をしました。今日はその「肝」のはたらきを助ける薬膳の食材のひとつに注目してみたいと思います。それは「クコ」。もしかしたら馴染みのない方だと、杏仁豆腐の上に一、二粒ちょこっとのっているもの、あるいは薬膳鍋を食べに行った時にスープの上に浮かんでいる味のしないもの?くらいのイメージかもしれません。そもそも出くわす機会も少なく見過ごされがちな小さなクコですが、春の養生の要である「肝」のはたらきを補い、「肝」とつながっている目の症状の改善にも多いに役立つことで注目されています。

わたしもまだ実物の木をみたことはないのですが、クコはナス科の灌木で、成長/繁殖がとんでもなく早いのだそう。踏まれてもつよく育つあふれる生命力があり、分かっているところで古くは平安時代から、全国に野生していたクコが滋養強壮や長寿の薬として人びとの生活に根付いていたようです。そうそう、江戸時代くらいの手まり歌にはこんなものがあるそう。「一じゅく、二んじん、三しょに四いたけ、五ぼうに六かご、七くさ、八しゃご、九このみ、十なす・・・・」。食べものの名前を数にあわせて鞠をついていく、なんとも可愛らしい歌なのですが、日常的に食べられる野菜や果物にまじって「クコ」が出てきます。きっと今よりも身近な食べ物だったのではないでしょうか。

クコは実を焼酎に入れて「クコ酒」として、またクコ葉を煎じて「クコ茶」として、生活に馴染み非常に大切にされてきました。胃腸の病気や高血圧、便秘、精力減退など体のさまざまな不調を解決するとされ、なかでもよく効くとされるのが眼病。ある地方ではクコの木のことを「目木」と呼ぶのだとか。五行の対応表でみますと、目は「肝」と同じ春に属す器官。「肝」のはたらきを改善するクコが目に効くというのは、昔のひとたちも実体験で知っていたのですね。さらにクコは非常につよいアルカリ性をもつため、お肉や白砂糖、白米などの酸性過多な食生活によって傾いたわたしたちの体の調和をとってくれる、嬉しい食材でもあります。ビタミンC、タンパク質、アミノ酸も豊富に含まれるそうですよ。

昔のひとびとはクコを庭で育て、実のみならずその葉や根まであますところなく利用してきたそうですが、今の暮らしではなかなかそうもいきません。持続可能な方法でどのようにクコを生活へと取り入れるのがおすすめかといいますと、鍼治療院の先生に教えてもらった、とっておきの食べ方があります。それは市販のクコの実を買ってきて、レモン汁をちょびっとたらします。しばらくひたしてから食べること。とってもシンプルですね。

乾燥されたまま歯ごたえを楽しむのもよいのですが、歯につまってしまったりなど、やや食べにくさが残ります。この食べ方のよいところは、レモン汁のおかげで実がふにゃっとしてとても食べやすくなるだけでなく、春に摂りたい良質な酸味であるレモンの力もいただけること。レモンの酸味は「肝」のはたらきをサポートしてくれる心強い味方ですので、じつはとても好い組み合わせなのです。

眼病とまではいかずとも、目を酷使する現代式の生活では目の不調を訴えるひとがとても多いと聞きます。目の不調が表にでできやすいのは、春です。なんらかの違和感や症状を感じている方は、クコが手に入ればぜひ生活に取り入れてみてください。なんでもそうですが、勢い勇んで食べ過ぎでしまうと良い効果も期待できなくなりますので、一日大さじ一杯程度の量がちょうどよいそう。手軽に始められるレモン汁との組み合わせで、食後のおやつに、小腹が空いたときのおつまみに、朝一番の食事に、ぜひ気持ちのよいところでうまく活用してみてくださいね。
広告

AUTHOR

関根愛 

関根愛

俳優を始めた十数年前よりアトピーなどさまざまな心身の不調を感じてきたことで、薬に頼るのをやめて自分の体の声を聴きながら養生していくために自然食を始める。「じぶんらしく生きるための食養生」をテーマにInstagramやnote、Youtubeで日々発信をつづける。マクロビオティックマイスター。映画制作者、ライター、翻訳者としても活動。座右の銘は「山動く」。



RELATED関連記事