自宅でトライ!身体をととのえ癒す、おうち精進料理のコツ|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん

 自宅でトライ!身体をととのえ癒す、おうち精進料理のコツ|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
Megumi Sekine
関根愛 
関根愛
2022-02-19

SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛さんです。

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みなさん、おはようございます。立春を過ぎ、今日から二十四節気の〈雨水-うすい-〉を迎えました。空から降るものが雪から雨へと変わり、積もっていた雪が溶けはじめることからついた呼び名。暦を作った昔のひとびとの感性はまるで、どれだけ時間が経っても色あせないすばらしい置き土産のようです。人間の心身はいつも自然と共にあるものなのだと、過去からそっと教えつづけてくれます。〈雨水〉は、固まっていたものが流れ出す、大きなエネルギーの変化が起こるとき。春一番が吹く地域もありますね。そんな水や風のようにしなやかに、わたしたちの心身もつねに変化とともにありたいものです。

さて今日は、暖かな春が待たれる今、季節の移り変わりをすこやかに乗り越えていくためのととのえ法をひとつご紹介。それは、自宅で簡単にできるおうち精進料理です。精進料理というと「修行」や「堅苦しい」といったイメージが先行するかもしれません。鎌倉時代、禅宗の僧侶によって日本へ伝えられたのが、肉や魚などを用いず植物性食材だけで作られた精進料理でした。身体への負担が少ない精進料理を食べているお坊さんは、職業別の寿命ランキングでもトップであるという記事を以前読んだことがあります。昔から脈々と確かに受け継がれたこの「食べる知恵」を、わたしたちも体調の揺らぎやすい季節の変わり目にこそぜひ活かしたいものです。

精進料理の基本としていることの中に、「五法」「五味」「五色」があります。この基本をおさえておけば、おうちでも肩肘張らずに精進料理にトライすることができます。まず「五法」とは、調理法。自然界を構成する五つの要素である五行のうち、「火」のエネルギーが弱い順に生、蒸す、煮る、焼く、揚げる、の五つです。「五味」は酸味、辛味、苦味、甘味、塩味。「五色」は色合いのことを指し、白、赤、黄、青(緑)、そして黒があります。たとえ栄養面のくわしい知識がなくても、この五つの調理法、味、色味を意識することで、身体に負担の少ないバランスの取れた食事をめざします。

まずは基本となるお米と汁物を用意。汁物の具材は白のお豆腐、黒の海藻を中心に、あとで副菜で補えなかった色味を考慮して足してあげると決めやすいです。副菜は、「五法」「五味」「五色」を意識した季節の野菜のおかずを。春を迎えようという今であれば、菜の花、春菊、ニラ、小松菜、ほうれんそうなどのみずみずしい青菜がまずふさわしいでしょう。春キャベツ、手に入れば山菜や竹の子もいいですね。かるく湯がく、蒸すなどの水分を利用したおかずと、焼く、揚げるなど強めの火を利用したおかずのバランスが取れるように食材を決めていきます。ねぎや大根など自然な辛みをもつ白い野菜や、さつまいもや人参などの黄色い緑黄色野菜の代表格も、忘れずに加えるようにしましょう。さらに春は良質な酸味が大切なので、真っ赤ないちごや梅干し、トマトはまさにぴったりの赤い食材です。それぞれを少しづつ、そしてバラエティ豊かに。多様性と調和に富んだ世界が、精進料理なのですね。

精進料理では余計な調味料を使わず、基本は醤油、味噌、酒、米酢、味噌くらい。甘味として砂糖を使う場合は、白砂糖ではなく、きび砂糖やてんさい糖など血糖値のあがりにくいものが、料理の全体的な調和も乱さないのでおすすめです。それから調味料としては、香り高い胡麻を活かすのも精進料理ならでは。栄養面でもすばらしい胡麻は、タンパク質、ビタミン、カルシウム、ミネラルを豊富にふくんでいます。体内の細胞の老化を防ぐ抗酸化作用セサミンもその魅力のひとつ。ぷるぷるの食感が美味しいごま豆腐をはじめ、ごま和えやごま味噌など、今日の日本料理の定番もここからきているそうですよ。

春は、長い冬のあいだ身体に溜め込んださまざまなものが新芽のごとく吹き出してくる季節。よいものも、そうでないものも、目覚めていきます。日本人が昔から食べ繋いできた簡素でバラエティ豊かな食事に立ち返ることで、身体の中から余分なものを排出し、必要なものを必要なだけ取り入れてあげる。そのときの自分自身ができる範囲で意識しながら、何よりその過程を楽しみながら、ほんとうの癒しに繋がる料理をしていきたいですね。ぜひおうちで精進料理、試してみてくださいね。
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関根愛 

関根愛

俳優を始めた十数年前よりアトピーなどさまざまな心身の不調を感じてきたことで、薬に頼るのをやめて自分の体の声を聴きながら養生していくために自然食を始める。「じぶんらしく生きるための食養生」をテーマにInstagramやnote、Youtubeで日々発信をつづける。マクロビオティックマイスター。映画制作者、ライター、翻訳者としても活動。座右の銘は「山動く」。



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