人を褒めるのも人から褒められるのも苦手なあなたに|甘やかすのともお世辞とも違う、上手な褒め方とは

 人を褒めるのも人から褒められるのも苦手なあなたに|甘やかすのともお世辞とも違う、上手な褒め方とは
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石上友梨
石上友梨
2022-03-20

相手を否定したり、叱ったりするのではなく、「良いところを見つけましょう」「褒めましょう」と言われますが、「どうやって褒めるのか分からない」「何を褒めればいいか分からない」という声を聞きます。良いところに注目するか、悪いところばかりに注目するかは、今までの習慣なため、パターンを変えるためには慣れや工夫が必要です。今回の記事を参考に、人や自分自身の良いところに注目して褒める習慣を作っていきましょう。

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「褒める」とは「相手を認めること」

褒めることは、相手を甘やかしたり、お世辞を言うことではありません。褒めることは、相手を認めることです。人間にはネガティビティバイアスというネガティブなものに注目する性質があるため、ダメなところは嫌でも目につきやすくなります。特に相手に期待をしているほど、改善して良くなってもらいたいという思いが生まれ、相手の行動を正したいと思いやすくなります。しかし、ダメなところばかりを指摘すると、相手はこれ以上傷つきたくないから守りに入ります。そうすると失敗を隠したり、ごまかしたり、嘘をつくようになります。これでは相手の行動を正すどころか、期待していた姿からさらに遠ざかってしまいます。一方で、相手を褒めるとどうなるのでしょうか?褒めることで、調子に乗ったり、怠けてしまうのではなく、認められたことで自信がつき、意欲的に物事に取り組めるようになるのです。

三重県のほめちぎる教習所をご存知でしょうか?その教習所では、2013年に「褒める」を指導に取り入れて以来、生徒数が急増して、卒業検定試験の合格率が年々アップ、卒業生の事故率はほぼ半減したそうです。褒めることで、このようなたくさんのプラス効果を生むことができるかもしれませんね。

褒めるポイント

感謝、労い、共感をする

大切なのは相手が認められたと感じる感覚です。「すごい」「上手」といった言葉だけが褒めることではありません。例えば、「ありがとう」「いつも頑張っているね」などの言葉は、相手の頑張りを認めた上で発する言葉です。また、共感する言葉も、褒めることにつながります。例えば、あなたが細々として手間がかかる作業に一人で取り組みながら、少しイライラしている時に、上司から「その仕事は大変だよね」と声をかけられると、自分の苦労や頑張りを分かってもらえた感じがして、少し気分が良くなりませんか?ただ相手をすごいと褒めるのではなく、感謝、労い、共感を含めて、その場にあった使いやすい言葉を選びましょう。

結果ではなく、過程を褒める

何かを達成するなど、結果を残したときはもちろん、取り組んでいる姿勢や取り組んだこと自体を褒めましょう。過程を褒めることで褒めるポイントが増えるだけではなく、たとえ結果を残せなかったとしても、その体験が相手にとって価値があるものとなり、自信へとつながります。そして、再度チャレンジする力となります。

存在することを認める

何か行動した時だけではなく、「存在すること」を認めましょう。例えば、私が新任のスクールカンセラーだった頃のお話です。当時は、仕事も少なく、環境にも慣れていなく、手が空いた時の過ごし方がわからずに、「みんなから何もしていないと思われるのでは?」と焦ったり、何のために存在しているのだろうと虚しさを感じることがありました。「何もしていなくて申し訳ない」と養護教諭の先生に相談したところ、「いてくれるだけでありがたいのよ」と言われたことで、気持ちがとても楽になりました。このように相手の存在自体を認めることは、大きな力となります。例えば、「いてくれるだけで助かるよ」など、存在そのものを認める声かけをしてみましょう。

成長を褒める

他人と比較して褒めるのではなく、その人の過去と比較して成長したところを褒めましょう。自分の成長は意外と気づかないものです。過去の相手よりも少しでも進歩をしていたらすかさず褒めましょう。他人と比較されることは、例え褒められていたとしてもあまり良い気分はしません。そして、どんな時でも他人と比較されているのではという疑心暗鬼にもつながります。過去と比較して誉めることで、自分の頑張りを見守ってくれているという感覚につながります。

当たり前を褒める

きちんとやるべきこと、当たり前のことは、それが出来ていても見過ごされやすくなります。例えば、ノークレームなど無いことが望ましいものや、整理整頓などは、出来ていても褒められることは少なく、出来ていないときのみ注意されることが多いでしょう。しかし、続けること、維持をすることは実は努力が必要です。ノークレームを維持できていること、机の上がいつも綺麗なこと等は努力があってこそなのです。そんな当たり前に思えることも、「ありがとう、助かるよ」「いつも綺麗にしているね」と言葉に出して褒めましょう。

今回は褒めるポイントについてご紹介しました。褒める時は、口頭だけではなく、メモやメールなど、その時に伝えやすい方法を選びましょう。メモやメールは形に残るため、相手が見返した時に再び嬉しい気持ちになるなど、直接伝えるのとは違った良さもありますよ。

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石上友梨

石上友梨

大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。



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