旬の山菜「独活(うど)」で作る簡単&春らしい一品はいかが?|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛さんです。
みなさん、おはようございます。もうすぐ春分ですね!この日を境にして、夜より昼の時間が少しづつ長くなっていきます。陰と陽が逆転し始め、陽のちからが増していくのです。そろそろ桜も開花しはじめ、いよいよ春爛漫まであと一歩でしょうか。暖かい日もだんだん増えてきて、冬のあいだマフラーやタートルネックで覆い隠していた首もとを春の風がかすめていく気持ち良さといったら。みなさんは、どんなところに春らしさを実感しますか?
いよいよ山菜の季節がやってきましたね。みずみずしいふきのとうやわらび、せりやこごみなどがいっせいにお店に並び始めるのをみると、あぁまた無事ひと回りして春を迎えることができたんだなあ、とちいさな喜びが体をかけ巡るのを感じます。
今しか食べられない貴重な山菜。まさに旬がつまった食べ物です。なかなか現代人の食卓にあがりにくい食材ではありますが、春の食材の苦味ほど美味しく感じられる苦味は一年を通して他にないのではないでしょうか。春の苦味はデトックスにも通じています。アクのつよい山菜などを食べると吹き出物がぽつぽつと出てくることがありますが、それは山菜のちからを借りて、冬のあいだにため込んだ不要なものを排出させてもらっているということ。とてもありがたいことなので、残念がらずにラッキー!と思っていきましょう。冬をどう過ごしたかのバロメーターでもありますね。自然がそっと教えてくれることを見過ごさずにいれば、そこから暮らしの習慣をととのえていくヒントをもらえるはず。
さて、なかでも今日注目してみたい山菜は「うど」。漢字では「独活」と書きます。風もそよいでいないのに独りで動いている(ゆれている)ように見えるその命のしなやかさ、逞しさから、このような漢字があてられたのだそうです。植物らしい生命力の感じられる、素敵なエピソードですよね。
うどの辛みや苦味をあわせもつ独特の風味には、何気ないひと皿を美味しくする魔法があります。コリコリ、シャキシャキした食感もアクセントになって食べ応えもたっぷり。面倒に思われがちな下処理も、太めの茎部分の皮をむき、全体を酢水に数分さらし茹でれば大丈夫。むいた皮は甘い人参といっしょにきんぴらにしても美味しいです。もちろん鮮度のよいものを選び、なるべく早めに食べるようにすることが大切です。
簡単にできて、おまけに今しか味わえないおすすめのレシピをひとつご紹介します。それは「うどと黄金柑の旬のサラダ」。薄めにスライスしてアク抜きの過程を終えたうどに塩をふり、オーブンやトースターで軽くグリルします。黄金柑をむいて果汁ごとグリルしたうどと和えれば、できあがり。とっても簡単です。旬の黄金柑は一度はトライしてみてほしいとっても美味しい柑橘なのですが、もし手に入らなければほかの柑橘類でもOK。苦味、酸味、甘味の絶妙なバランス、そして温と冷の食感がうまいこと同居していて、口にいれた瞬間思わずはっとなる絶品サラダです。旬をいただくってこういうことなんだなあと、理屈じゃなく体まるごとで味わうことができますよ。ぜひ試してみてくださいね。
山菜ならではのさわやかなほろ苦さこそ、春の味。今だけの季節の恵みですから、思いっきり楽しみましょう。
AUTHOR
関根愛
俳優を始めた十数年前よりアトピーなどさまざまな心身の不調を感じてきたことで、薬に頼るのをやめて自分の体の声を聴きながら養生していくために自然食を始める。「じぶんらしく生きるための食養生」をテーマにInstagramやnote、Youtubeで日々発信をつづける。マクロビオティックマイスター。映画制作者、ライター、翻訳者としても活動。座右の銘は「山動く」。
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