【春の養生で肝臓と胆のうをケア】中医学の知恵で女性特有の不調を改善!壁を使った「陰ヨガポーズ」
中医学では、春は肝のはたらきが旺盛になる季節。肝に当たる臓器は肝臓と胆のうです。レバーを調理するときには何度も血抜きをします。肝には血を蓄え、血の量を調節するはたらきがあるのです。体内に血がなくては排毒するものがないので、生理を迎える事が難しくなり生理不順の原因に。血の不足は、冷えや貧血、生理不順など女性特有の不調を引き起こします。女性にとって毎月訪れる月経のリズムが安定することは健やかな心身を保つ要。肝の養生は女性とってとっても役に立ちます。壁を使ったドラゴンフライの陰ヨガのポーズで股関節を開き、内ももを流れる肝臓の経絡を刺激して気の巡る身体へと整えましょう。
陰ヨガの特徴とは?
陰ヨガは、筋肉をお休みさせた状態で3〜5分じっくりと時間をかけと行う静的なヨガ。経絡の滞りや、関節や腱、靭帯といった身体の奥にある組織のこわばりや詰まりを解消して、身体の奥から、気血(エネルギー、栄養)の巡りが良い身体の土台を養っていきます。
陰ヨガのルーツにある中医学では、人間の身体の中には、五臓(内臓)を中心(根)として全身を枝葉のように巡る”経絡”という、目には見えないエネルギーラインが存在していると考えられていて、経絡の中を流れている気血,(エネルギー、栄養を運ぶ血液)詰まりや滞りが、冷えやむくみ、頭痛など身体のさまざまな不調を引き起こす原因になると考えられてきました。
陰ヨガで、経絡を刺激することは、スムーズに全身の気血が巡るバランスの良い身体に整え、同時に各経絡のエネルギーラインの中心にある五臓(内臓)を健やかに保つことに繋がります。
中医学のベースにある陰陽五行の概念の中では、肝臓は、春の五臓にあたり、立春から立夏までの2月・3月・4月が春の季節と考えられています。暦の上では春は一年のはじまりです。冬に貯えたエネルギーが根っことなって、眠っていた動物達は目を覚まし、植物は芽吹いて青々と成長していく、命が生まれる再生の季節。
四季を通して、陰陽五行の五臓のはたらきをイメージし全体的な流れでまとめると……
冬:腎(骨髄)で作られる血は
春:肝(肝臓)に貯蔵され
夏:心(心臓)のポンプ作用で血管を通って全身に栄養が巡り
秋:肺(肺臓)呼吸で取り込まれた酸素を血管を通じて受け取ります
自然と同じように、わたし達の身体の中の臓器も、春夏秋冬があって、常に巡りバランスをとり続けながら働いてくれているのです。
中医学的にみた肝のはたらきは
◯疏泄機能
・全身の気血の流れを調節する
・胃と脾のはたらきをサポートする
・感情の変化を引き起こす
・排卵や射精など生殖機能に関わる
◯蔵血作用
・腎で作られた血液を貯蔵して、血の量を調節
レバーを血抜きする事をイメージするとたくさん血が出ますよね。肝臓には血を貯えるはたらきがあるのです。血が足りなくなるような極端に食べないダイエットや、夜更かしは肝を痛めつけ、血が足りなくなる事で、貧血をはじめさまざまな不調を引き起こす原因に。
特に女性は毎月、月経があります。なので体内に栄養たっぷりの血がある事がとっても重要なのです。肝臓をケアする、春の養生は、貧血、生理不順、pmsなど女性特有の不調を防ぎ、また改善する為にとても役に立ちます。
春の養生のヒント
春は気温が上がり代謝が高まることで細胞の生まれ変わりが活発になるので、冬に溜め込んだ老廃物を排毒するのに適した季節。
体内の肝気がスムーズに全身を巡るように、身体も心もストレスを溜めずにのびのびと過ごすのが春の養生のポイントです。木は木行にあたるので、息が詰まったときには、木のある場所にお散歩をしたり、ゆったり過ごして高ぶりすぎた神経をリフレッシュしましょう。
旬の食材や青いもの、酸味のあるもの(レモン、よもぎ、春菊など山菜、たけのこ、いちご、いっぱいあります)
血が足りてない場合は、血になるもの(レバー、クコの実、なつめ、牡蠣やはまぐりなどの貝類)を食卓に取り入れるのがおすすめです。
身体は、中医学的、解剖学的、生理学的にと、色々な見方が出来ますが、生理学的にも身体の代謝を大きく担っている内臓が別名"体内の化学工場"とも呼ばれる肝臓。生命を維持するのに欠かせないたくさんの役割を担っている、とってもはたらきものの臓器なのです!
そんなはたらきものの肝臓を労るのにオススメなのが肝の経絡の詰まりを解消する壁を使って開脚をするドラゴンフライポーズのバリエーション。
壁を使って脚を開いて、内ももを流れる肝臓の経絡のエネルギーラインの詰まり、滞りを解消することで肝臓のはたらきをサポート。
普段、腰が硬くて前屈が難しく感じている方も、壁を使って背中を床に預けることで力みなくポーズを味わえると思いますので、ぜひ試してみてください。
◯ポーズのやり方
1 壁にお尻をぴったりと着けた状態で仰向けになり、天井に向かってまっすぐに両脚を上げます
2 壁にあずけた両脚を少しずつ開脚します。内ももや股関節まわりに心地よく伸びを感じるところで身体の力を抜いて、ゆっくり呼吸をしながら3〜5分キープ。腕の位置は、手のひらをお腹に添える、横に広げる、頭の上で肘を掴むなどどこでもok。
3 両手を太ももの外側に添えてサポートしながら天井に向かってあげた状態に戻します。両脚の膝を曲げて胸に引き寄せて数呼吸、ポーズから抜けた後の身体の余韻を味わいましょう
AUTHOR
高西由貴子
内臓ケアサロンMaitriesセラピスト 陰ヨガを通じて出会った中医学の学びを続けながら、都内を中心にサロンオーナー、ヨガインストラクター、セルフケア講座のセミナー講師と多岐に渡って活動。2020年、より一人一人の心と身体をサポートしたいという想いを元にボディケアサロンMaitriesをオープン。心と身体両面から、女性の美と健康のサポートをしている。
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