【中医学に学ぶ冬の過ごし方】この時期に気をつけたい「寝汗」と「自律神経」の関係


寝苦しくて夜中に目が覚めたら体中驚くほどの汗でびっしょり、部屋が特別暑いわけでも厚着をして寝たわけでもないのに朝起きたらパジャマがとても濡れていた…。そんな経験はありませんか。 それはストレスやホルモンバランス、寒暖差による自律神経の乱れが関係しているのかもしれません。 自律神経と深くかかわっている私たちの身体。今回はそんな私たちの身体と自律神経について、マクロビオティック歴15年で腸セラピストでもある、【vegan菓子「素果子|sugasih」店主、半田葉子さんが解説。汗の種類や自律神経の整え方、中医学の考え方についても触れていきます。
寝苦しくて夜中に目が覚めたら体中驚くほどの汗でびっしょり、部屋が特別暑いわけでも厚着をして寝たわけでもないのに朝起きたらパジャマがとても濡れていた……。そんな経験はありませんか。自律神経の乱れやすいこの時期に寝汗をかく人も多いのではないでしょうか。
寝汗の原因には、生理や更年期障害、ストレスなど要因は様々ですが、多く関係しているのが「自律神経」。今回はそんな自律神経と寝汗のメカニズムについてを中心に、寝汗の原因やケア方法についてをお伝えします。

目次
1.寝汗(盗汗)とは
①サラサラの汗「温熱性発汗」
②ベタつく汗「精神性発汗」
2.寝汗の原因
①ホルモンバランスの乱れ(生理・更年期障害)
②自律神経の乱れ(ストレス・ブルーライト)
3.寝汗のサイン(精神障害・体調不良・不眠・寒暖差アレルギー・大きな病気など)
4.寒い時期に気を付けたいこと
5.食べ物との関係性「味覚性発汗」(香辛料・アルコールなど)
6.まとめ
1.寝汗(盗汗)とは

人は睡眠中に、季節問わずコップ一杯分の汗をかくと言われています。
寝汗というのは、寝ている時に寝苦しくて目が覚めてしまうほどの汗をかくこと。通常の汗は、手のひらや額や脇に汗をかくことが多いですが、寝汗の場合は頭部や首回りから胸にかけての上半身がタオルでぬぐう程の汗をかいたり、腰から股周囲の下半身に多く出る場合があり、その量は着替えが必要な程になります。
漢方医学(中医学)では『盗汗』ともいい、通常の汗が体温放散の発汗であるのに対し、「寝汗」は皮膚は冷たく、発汗後に疲労感を伴い不快感より神経過敏で睡眠が妨げられ、体力が減退すると考えられています。また、精神的・肉体的に弱っている虚弱な人を「陰虚」といい、陰虚は不眠・口渇・精神不安を伴い、『盗汗』を繰り返す特徴があるとも言われています。その他にも「陰虚内熱」といって体力が消耗しているけれど自律神経の興奮や精神の高ぶりがある状態があり、それが寝汗という症状として出る場合もあります。
そんな寝汗にはサラサラの汗「温熱性」の場合とベタつく汗「精神性」の二種類があります。

①サラサラの汗「温熱性発汗」
汗には体温を一定に保つための重要な働きがあり、その発汗は「温熱性発汗」と呼ばれています。汗の出る「汗腺」には『エクリン腺』と『アポクリン腺』の二種類あり、体温調節のために出す汗腺は主に「エクリン腺」で、分泌される汗は無味無臭です。寝汗をかいた翌朝、特に汗のにおいも気にならず何事もなかったかのような時がありますが、それは「温熱性発汗」である可能性が高く、「エクリン腺」から出た汗、ミネラル分の少ないサラサラの汗であることが多いです。
※汗はもともとは無臭ですが、汗が皮膚の表面でアカ・皮脂などと混じり合い、それらを細菌が分解することでニオイ物質が発生するため、「エクリン腺」から出た汗でも人によっては朝からにおいが気になる場合もあります。
②ベタつく汗「精神性発汗」
緊張やストレスで「嫌な汗」をかく場合は、「精神性発汗」の場合が多く、エクリン腺とアポクリン腺の両方の汗腺の可能性があります。「アポクリン腺」は無味無臭な「エクリン腺」とは違い、身体の限られた部分にあり臭います。エクリン腺が皮膚に開口しているのに対し、アポクリン腺は毛根の開口部にあり、特に脇の下に多く分布、汗は白く濁っており、もともとはフェロモンの役割を果たしていたともいわれています。
アポクリン腺から出る汗も細菌の分解によってニオイ物質が発生し、脂質やタンパク質など臭いのもととなる成分を多く含むためベトベトとした汗であることが多く、脇からの汗は特に臭いが強く、寝汗をかいた翌日にベタベタとして汗臭く感じることが多くあります。寝汗により、寝苦しさから精神的な不快を感じたり、悪夢をみたり、普段から精神が不安定な場合は「精神性発汗」が寝汗として表れることがあります。
※汗については||【医師監修】ニオイの気になる季節…体臭は食べ物で予防できる?【汗のニオイと食べ物の関係】||でも解説しています。
AUTHOR

- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く