全ての基本は呼吸にあり! 呼吸が上達する10のトレーニング【連載・ゴルフが上達するヨガ】
渋野日向子さん専属トレーナーである斎藤大介さんに、ヨガやゴルフを上達する上で欠かせない「呼吸法」や「体の動き」について解説していただく連載「ゴルフが上達するヨガ」。今回は、「呼吸法」の後編です。正しい呼吸をするには、どのような練習をすればいいのか解説します。呼吸法は全ての動きの基本なので、できることから始めてマスターしましょう!
腹圧を使う「ドローイン」とお腹を360度方向にふくらませる「ブレーシング」
前編の正しい呼吸法のチェックで、思っていたよりも自分が呼吸がきちんとできていないと気づいた人も多いかもしれません。呼吸が正しくできると、スポーツといったエクササイズだけでなく、日常的な疲れが取れやすかったり、脳に酸素が行きやすくなり集中力がつく、全身の血流がよくなるなど多くのメリットがあります。
まず基本となるのが、「ドローイン」と「ブレーシング」。
「ドローイン」は「体の動き」であらゆる方向に動かす時の要となります。腹横筋に刺激を与え、スイッチを入れる効果があり、トレーニングの予備運動としても有効です。
「ブレーシング」は、お腹の360度方向に空気を入れる、呼吸法の基礎トレーニング。体の向きや動きにより、呼吸が体のどこに入っているのか体感するうちに、呼吸を深く、しっかりと行う事ができるようになります。
ドローイン
マットの上に仰向けになり膝を立てる。
両手を骨盤とASIS(上前腸骨棘)の少し内側に当てる。
吐きながらお腹をゆっくり凹ませて5秒キープ。5秒息を止める。ゆっくり息を吐いて戻す。5セット行う。
息を吸ってお腹がふくらんだとき、腹横筋の膨らみに触れる感覚があると正解。
ブレーシング
マットの上に仰向けになり膝を立てる。
両手で腰(横腹)をしっかりと抑え、お腹が360度の方向(お腹前側、背中、左右の腹)に空気を入れるように膨らませる。呼吸でお腹が膨らんだ時、手を押し返すようなイメージで行う。
5呼吸吸って、5呼吸止め、5呼吸吐く。5セット行う。5・5・5の呼吸が練習の基本となる。
呼吸を送る場所を確認し、苦手を克服しよう
次に紹介するのは、360度体に呼吸を入れる練習方法。呼吸が入りにくと思った場所が自分の弱点なので、その方向に呼吸を送ることができるようになります。例えば、お腹の前側が出る場合は、うつ伏せになることで、背中に呼吸が入り、回旋(捻り)の場合は、潰れた方とは反対側に呼吸が入ることを体感します。
座位(バランスボールの上で座る呼吸法)
バランスボールで座ると、骨盤と膝が90度近くになり、お腹が潰されにくいため呼吸がしやすい。吸う息で空気を360度の方向に膨らませるよう意識する。5秒吸って、5秒止め、5秒吐く。5セット行う。
※バランスボールがない場合は、椅子でもOK。
座位回旋
バランスボールに座ったまま、吐きながら右に捻る。右に捻ることで、潰される側(右のお腹)は呼吸が通りにくい、逆に反対側(左の脇腹、背中側)は呼吸が通りやすいことが分かる。
5秒吸って、5秒止め、5秒吐く。左右5セット行う。
仰向け膝立ち
マットの上で仰向けになる。背中が潰されるので、お腹の前側と横側に呼吸が入るのが分かる。
5秒吸って、5秒止め、5秒吐く。セット行う。
仰向け膝立ち回旋
マットの上で仰向けになる。左膝を抱えたら、右側に捻る。潰れた右側は空気が入りにくい。反対の左脇腹や背中側に空気が入るのが分かる。
5セット行う。
うつ伏せ
マットの上でうつ伏せになる。顔の向きは楽な方に。お腹が潰させるので背中に呼吸が入るのが分かる。5セット行う。
アップキャット、ダウンキャット
アップキャットは背中を反るためお腹に呼吸が入るのが分かる。反対に、ダウンキャットは背中が丸まりお腹が潰されるので、背中に呼吸が入る。ダウンキャットで5秒吸って、5秒止め、5秒吐く。アップキャットでも5秒吸って、5秒止め、5秒吐く。
両方とも5セット行う。
呼吸への集中力を養い、お腹の深層筋も鍛える
「火の呼吸(カパラバティ)」とストロー呼吸法で、呼吸筋を鍛え、集中力をさらにアップさせます。
火の呼吸(カパラバティ)
火の呼吸(カバラバティ)は、鼻から連続して「ふっふっ」と30回吐きます。吸う息は自然に入ってくるのにまかせて、吐く切ることに集中します。お腹の筋肉を活性化し、集中力を養います。
ストロー呼吸
お腹に手を当て、一度息を吸ってから、ストローの筒の中に息を5秒吐き、5秒止め、5秒吸う。吸うより吐く事を意識して行う。ストローは細いほど負荷がかかるので、必要に応じて使い分けるとトレーニング効果も上がる。5セット行う。
呼吸法ができるようになると、さまざまな動きが可能になります。
例えばゴルフは、誰かがプレイスタートを伝えるのではなく、自分で始めることができるスポーツ。自分にとって最適なタイミングで動き、コンディションを保つことがとても重要になります。
ヨガでも誰かがが良い、悪いと判断するのではなく、自ら呼吸と体をコントロールするので、似ている要素がありますね。
上述した10の呼吸法を試してみると、自分がどのような呼吸をしているか、苦手な呼吸は何か分かるようになるでしょう。全てをストイックに練習する必要はありません。
少しずつトレーニングしてみましょう。
次回は、動きの基本となる前屈・後屈・側屈、回旋の動きを連載してお届けします。
さまざまな動きができるよう、まずは呼吸法を少しずつ練習してみてくださいね。
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