冷えた心身をホッと癒やす「具だくさん鶏けんちん汁」【管理栄養士が教える心と体の栄養スープ】
体の栄養だけでなく、心にも栄養を。心で味わいほっと自分に還ってこられるようなスープのレシピを、管理栄養士の高波紗希さんに連載形式で教わります。
みなんさんにとって、忘れられない、食べると安心する「家庭の味」ってありますか?
今回は、過去に私がダイエットによって摂食障害を患っていた頃に、カロリーや外見に振り回され疲れていた心身を癒やしてくれた、祖母のけんちん汁をご紹介いたします。祖母が作ってくれた家庭料理の中でも、当時の私にとってけんちん汁は唯一罪悪感なく食べることができて、心の底からホッと安心して自分に還ってこられるような特別な味でした。今のような寒い時期にも、冷えた身体を芯から温めてくれるレシピなので是非お試しください。
けんちん汁の歴史
そもそもけんちん汁の「けんちん」って?どこからきた料理なのでしょう?
実はけんちん汁の名前の由来には2つあり、明確にはなっていないのです。
鎌倉にある建長寺のお坊さんが作っていたことから「建長寺汁」がなまって「けんちん汁」になったという説と、中国の「普茶料理(ふちゃりょうり)」と言う精進料理に根菜とシイタケなどをごま油で炒め、醤油や塩で味付けをする巻繊(けんちん)と呼ばれる料理法があり、そこからきているという説もあります。
どちらにも共通している点は、仏教の殺生を禁じる考え方から、動物性食品を使わない精進料理であるということ。
今回のレシピは、私の祖母が鶏肉を入れていたため精進ではないですが、干し椎茸や干瓢、大豆からだし汁をとる精進のけんちん汁も絶品ですよ。
食物繊維たっぷりで満腹効果も
年末年始の食べ過ぎに悩まれている方にも、腸のお掃除をしてくれる食物繊維が多く、噛みごたえのある食材たっぷりのけんちん汁は腸活はもちろんダイエット効果も期待でき腹が空いたときにもおすすめです!
里芋やこんにゃくを使用する作り方もありますが、今回は簡単に作れる食材でアレンジしてみました。
お正月に余ったお餅を入れたり、おうどんを合わせてもとっても美味しいです!
栄養満点で芯からあったまるけんちん汁、是非ご家庭でお試しください。
材料(2人分)
A豆腐(木綿)...1/2丁 (150g)
A鶏肉小間...80g
A大根...100g
A人参...50g
A牛蒡...50g
・長葱...1/2本
・水...450ml
・昆布...5cm
・ごま油...大さじ1
・酒...大さじ1
・塩...小さじ1/2
・しょうゆ...小さじ1
・七味唐辛子又は山椒...お好み
作り方
1.昆布は水につけて、15分以上置いておく(前日からつけて冷蔵庫に入れておいても)。豆腐は水切りをし、大根と人参はいちょう切り、ごぼうと長ねぎは斜め薄切りにする。沸騰前に昆布を取り出しておく。
2.鍋に胡麻油を熱し、Aの具材を全て炒めて酒を加え全体に軽く火が通ったら、1の昆布のだし汁を入れて中火にかける。
3.牛蒡に火が通ったら塩と醤油で味を整え、長葱を加えてひと煮立ちさせる。お椀に盛り、お好みで七味唐辛子や山椒を振りかけて完成。
AUTHOR
高波紗希
管理栄養士。11年間に渡る摂食障害を「食とこころ」と向き合い、整えることでありのままの自分を認め克服した経験から【 自分を大切にする、食とこころの栄養学 】をテーマにSNSで発信をしている。食べることに対する罪悪感や、生きづらさを感じている方に向けて、素材を大切にしたグルテンフリーの料理教室やレシピ提供、講座、相談室など多方面で活動している。
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