「お正月明けの腸活」正月太りや不調にならないためにできることは?【管理栄養士監修】
クリスマスやお正月、何かとイベント続きで普段とはちがう食生活に毎年体が不調になってはいませんか? 特に便秘や下痢、何となく不調…そして極め付けは、「正月太り」です。そこで今回は、年始めにできる腸活をご紹介します。
腸を整えることが大切な理由
腸は食事に含まれる栄養素の消化・吸収、免疫力の調節、精神状態の安定など、さまざまな役割を持つ器官。
特に、昨今では感染症予防の観点からも、私たちの腸を整えることによる免疫力のアップが重要と言われます。腸には全身の70%の免疫細胞が存在し、私たちを外部の異物から守ってくれています。
また、腸に存在する腸内細菌も重要であり、善玉菌:悪玉菌:日和見菌= 7:2:1で存在することがバランスの良い腸内細菌叢と言われます。
このバランスが崩れる原因が、食事や生活習慣なのです。
年末年始で腸に不調が現れる?
12月〜翌年1月にかけて、日本ではクリスマスと正月という2大イベントがあります。それぞれの食事内容の特徴を解説します。
クリスマス
クリスマスでは、ローストチキンやクリスマスケーキなどが食卓に並ぶところが多いのではないでしょうか。
基本的に、クリスマスで食べられるものは脂質が高くなる傾向があります。脂質の多すぎる食事は腸内細菌叢のバランスを乱してしまい、お腹を下す、胃もたれなどが起こる可能性も。
正月
お正月の定番はおせち。三ヶ日何もしなくていいように、お重にたくさん日持ちする料理を並べてゆっくり過ごします。
そんなお正月の料理は、塩分に注意。保存期間が長くなる代わりに、塩をたくさん使って料理をするものが多くなり、塩分過多になる可能性があります。
我慢なしで腸活するためには?
クリスマスもお正月も、料理の栄養価が心配なら食べないほうがいいのかな…なんてことはありません。せっかくのお祝いの席なので、全く手をつけたらいけないわけではなく、量や付け合わせの副菜などで工夫しましょう。
脂質の多いものを食べ過ぎない
例えば、チキンなどを食べてもいいですが、フライパンではなくオーブンで焼いて余分な脂を落としましょう。ケーキも、一日にたくさん食べるのではなく二日に分けて食べる、ショートケーキではなく、フルーツがたくさん乗ったタルトにするなどの工夫ができます。
生野菜や運動で血の巡りを意識
食べ過ぎになりがちな年始は、可能であれば生野菜を一日一回どこかのタイミングで食べる、副菜でカリウムの多い野菜を使う(きゅうりとワカメの酢の物など)など、お正月料理に少しプラスしてみましょう。また、家にずっといるのではなく外を30分程度散歩するなどの運動を取り入れることで、血行がよくなり腸内の巡りも良くなります。
また、全体を通じて、ジュースやお酒を飲むことも増えるので、お水を飲む量が減る傾向にもあります。ですが、その結果腸が冷える、もしくは浮腫んでしまう可能性もあるため、水もしっかり飲むようにしましょう。
お酒は飲んでもいいの?
お祝いの席やイベントで欠かせないのがお酒。ビールやワインを嗜む機会が増えるのではないでしょうか。実は、お酒(アルコール)は腸内の悪玉菌が好む成分でもあり、とりすぎはやはり良くありません。
厚生労働省によると、一日のアルコール摂取量は約20g程度にしましょうと言われています。
これは大体ビール500ml一本分、ワイングラス1杯分程度です。
参考:アルコール|厚生労働省
できればこの量を大きくうわまらない程度のお酒を嗜みましょう。また、アルコールの代謝で疲れ切った肝臓を休ませるための休肝日を設けることも重要です。
さらに、お酒には食欲を増加させる作用がありますが、食べ過ぎ(過食)も腸内細菌叢を乱す原因になるため、その観点からもほどほどにするのが良さそうです。
食物繊維不足も解消しよう
クリスマス・正月料理に共通することとして、食物繊維不足による便秘が挙げられます。これは、野菜や穀類の摂取量が不足するため。できれば、全粒粉パンや玄米ご飯など穀類もしっかり食べましょう。根菜類の煮物も、さつまいもやカボチャなど食物繊維が多めな食材を選ぶのがおすすめです。
夜更かしもほどほどに
お休みやお祝いの席が続くと、ついつい気づいたら夜中の1時2時まで起きている…なんてこともあるのではないでしょうか。
睡眠不足も腸の不調を招く原因。睡眠時のメラトニン分泌を腸が助けていますが、睡眠サイクルが乱れると体内時計も乱れ、メラトニンやセロトニン(精神安定作用)の分泌がうまくいかなくなります。連日睡眠不足…なんてことがないように、しっかり寝ることも意識してみてください。
年始めこそ健康的な体を維持しましょう!
年始めは特に、大事な人と、家族と、または1人の時間を大切にしながら、料理を楽しみたいですよね。とはいえ、腸に負担をかけて不調を感じて後悔をしなくてもいいように、以下のことを少しでも意識してみてください。
・料理の量と質を調整する(食べ過ぎない)
・カリウムを含む生野菜を一日一回は食べる
・お散歩など体を動かす時間を作る
・お酒を飲み過ぎないor休肝日を設ける
・夜更かしをしない
・食物繊維を意識する
全部を我慢する必要はなく、食事の中身(質や量)を工夫して、ヘルシーな時間を楽しみましょうね!
AUTHOR
河原あい
フリーランスライター。福岡出身。管理栄養士免許取得後、環境系大学院博士課程にて乳酸菌の研究中。プラントベース・ヴィーガンな栄養学、インナーケアに関する記事の執筆と、腸内環境を整えることの大切さをSNSにて発信している。
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