「自分より他人を優先してしまう」なぜ?対等ではないと感じる人間関係に悩む人に伝えたいこと
なぜ、人を優先してしまうのだろうと悩んでいませんか?もしかしたら自分では気づかなかったけれど、人から指摘されて気づいた人もいるかもしれませんね。今回は人を優先してしまう心理について解説していきます。
自分よりも他人を優先してしまうのはなぜ?
Aさんは、「人を優先してしまう」「人にコントロールされているように感じる」など、気づかないうちに対等ではない対人関係ばかり築いていました。「人を喜ばせないといけない」と人の欲求を満たす責任を感じ、それができないと罪悪感を抱いてしまいます。そして、自分自身の欲求を抑えることで、だんだんと自分の喜びや自由の感覚が分からなくなってきました。「相手の機嫌はどうだろうか」「どうやったら機嫌が良くなるだろうか」と相手のことばかり考えてしまい、「自分は何が欲しいか」「何が必要か」という視点を持つことがなくなってしまいました。
メリットがあるから手放せない
気を配り、他人の希望を優先することで対人関係が良好に保たれるかもしれませんね。人から「頼りになる」「優しい」など評価されると嬉しいものです。頼られることを自分の存在意義や価値のように感じるかもしれません。中には人の助けになりたいという想いを活かして対人援助職になる人もいるでしょう。このように人を優先することはメリットや強みにつながることがあり、人を優先するパターンが続きやすくなるのです。
もちろんデメリットがある
しかし、人を優先することは、自分の気持ちを無視することでもあります。自分の本当の想いが分からなくなり、代わりに人の想いを自分の想いかのように感じてしまうかもしれません。それは自分の心の中に他人がいるようなものです。自分の身体なのに、操縦席に他人が座っていては、気づかないうちに不満やイライラが溜まってしまいます。また、自分の判断にもとづいて自分で行動していないため、自己コントロール感や自信が育たないかもしれません。人のことなのに「自分が何とかしなきゃ」と責任や罪悪感を抱き、他人の要求をのまないと拒否される、見捨てられるなど、強い不安を感じる場合があるでしょう。
心の中にある怒りに気づく
自分を犠牲にして人を優先し続けていると、沸々と怒りが溜まっていきます。滅多に怒らない人でも気づかないうちに怒りをためている場合が多いようです。怒りを抱え、「人から利用されている」「命令されている」など、被害的に感じるかもしれません。怒りがあることは、自分が大切にされていないというサインです。抑え込んでいる怒りがあるのなら、自他の優先するバランスが崩れているかもしれませんね。怒りが爆発する前に、怒りに気づき認めましょう。
自分を優先するために
自分を優先するために、以下を練習してみてはいかがでしょうか。
1. 人を優先してしまう場面をリスト化します。自分を客観的に観察し、どのような時に人を優先しやすいのかパターンに気づきましょう。
2. 心の声に耳を傾けましょう。そして、自分のための小さな判断を積み重ねましょう。例えば、「今日は〇〇が食べたい」「ゆっくりしたい」「ひとりで過ごしたい」そんな心から湧いた小さな想いを優先しましょう。その際に、もっともな理由を考えて正当化し、自分を納得させることはやめましょう。例えば、「健康に悪いから」「調べなきゃいけないものがあるから」そのような理性的な反論は脇に置き、無理のない範囲で心の声に従う時間を作りましょう。
3. 少しずつ自己主張してみましょう。はじめは相手選びが重要です。うまく自己主張できなくても大丈夫そうな相手や場面を選びましょう。無理のない範囲で、少しずつ自分の悩みや困り事を話すことや、自分の想いや希望を伝えてみます。もし心配でしたら、はじめは心理士など専門家を相手に練習してみましょう。
4. 自己中心的であなたの想いを無視する人と距離を取りましょう。反対に、あなたの話をよく聴き、あなたの想いを大切にしてくれる人を探しましょう。違和感や不快感を抱いた対人関係があれば、我慢している想いがないか自分に問いかけてみましょう。
今までのパターンを変えることは大変なものです。少しずつ、自分の想いに耳を傾け、自分の想いを大切に行動することで、今の状況から抜け出し、生きづらさを手放していきましょう。
AUTHOR
石上友梨
大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。
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