「弱音や愚痴を吐くと心配されるから…」他人に弱音を吐けない人が心の健康を保つコツ
「弱音や愚痴を吐くと心配されてしまう」「心配をかけたくなくて誰にも弱音を吐けない」と悩んでいませんか?
弱音を吐けないと悩んでいるということは、本当は弱音を吐きたい気持ちがあるのかもしれませんね。弱音を吐きたいのに吐けない状況だと、だんだんと「誰も私をわかってくれない」とつらく感じたり、心がパンクして身体や気持ちに影響が出たりと悪循環に陥るかもしれません。心を軽くして健康を保つためにできることを考えていきましょう。
完璧主義がゆえの苦悩
あなたはなぜ弱音を吐けないのでしょうか。完璧な自分であるために弱音を吐けない人は多いものです。Aさんは、自分では自覚していませんが、友人から完璧主義と言われます。確かにゆったりすること、ぼーっとすることは苦手です。頑張るために自分にムチを打つところがあり、常にプレッシャーを感じているような感覚があります。仕事や趣味、育児や家事など、常にやるべきことを探して慌ただしく動き回ってしまいます。毎日のタスクを終わらせてもやるべきことは続き、達成感や楽しさを感じることができません。それに人に弱音を吐いても、自分のやるべきことが減るわけではないし、心配されることを少し面倒に感じます。しかし、最近は疲れやすく、ストレスなのか頭痛や腹痛に悩まされることが増えてきました。自分や他人に対してイライラすることが多く、これは身体が限界を訴えていることなのか気になっています。
あなたは何を心配しているのだろうか
人は誰しも弱音を吐いたり、愚痴を言ったりすることがあります。一見、ポジティブに見える人でも、つらい時や悲しい時があればいつもと違う様子になるものです。あなたが弱音を吐けないのは、何を心配しているからでしょうか。弱音を吐くことで「ポジティブな人」という理想の自分が失われることでしょうか?それとも周囲の人が心配して、あなたに色々とアドバイスをしたり、労わろうとする様子が苦手なのでしょうか。周囲に迷惑をかけてしまうと感じるのでしょうか。もしかしたら、周囲から「弱い人」など、どう思われるか心配なのでしょうか。このようにあなたが何を心配しているのかを明確化しましょう。
目標と同じぐらい、ありのままの自分を受け入れることも重要
理想の自分やなりたい自分がいることは悪いことではありません。目標があるからこそ、私たちはそのために努力をしたり、チャレンジしたりすることができます。しかし、そのためには現状の自分をしっかりと見つめ、受け入れることが大切です。今いる地点を確認しないと、ゴールまでの道筋を描くことはできません。「今の自分もOKだよ」という暖かい気持ちを自分に向けてみましょう。はじめは難しくても、違和感があっても続けるうちに慣れてくるでしょう。
相談相手や方法を選ぶことも必要
誰も分かってくれないと感じるのなら、本当は弱音を吐きたいし、つらさや頑張りを誰かに分かって欲しいのかもしれませんね。その場合は、相談相手や方法を選び、今の自分にとって可能な範囲で吐き出してみましょう。例えば、相談する相手を選ぶことです。ただゆっくり話を聴いてくれる人、的確なアドバイスをくれる人、あなたが求めているのはどのような人でしょうか?あらかじめ「アドバイスよりも、話を聴いてくれるだけでいいよ」と伝えた上で相談してもよいでしょう。家族や友人だけではなく、臨床心理士など専門家に聴いてもらう方法や、ペットや植物に聴いてもらってもよいでしょう。もし相談相手が見つからない場合は、ノートに書き出してもよいでしょう。愚痴や弱音を書き出し、それを慰めたり励ましたりするコメントを第三者になりきって書いてみてみます。その際は、あなたにとって味方となるような暖かいコメントを書きましょう。好きなキャラクターや好きな人がいれば、その人になりきってコメントしてみてもよいでしょう。
弱音を吐けずに溜め込んで限界が来ると、身体や気持ちなど様々なところに影響が出ます。そのような状態までいくと、回復するまでに時間がかかってしまいます。溜め込んでしまう前に少しずつ吐き出すことができるとよいですね。
AUTHOR
石上友梨
大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。
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