食べものを買う側の私たちと作り手側の、ヘルシーな関係|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん

 食べものを買う側の私たちと作り手側の、ヘルシーな関係|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
Megumi Sekine
関根愛 
関根愛
2021-07-16
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旬のもの以外もいつでも自由に食べたい、できるだけたくさんのバリエーションが揃っていてほしい、見た目がきれいで清潔感がないと買いたくない、とにかく便利で手間が省けるものが良い…。私たち消費者がこうして求めなければ、企業も商品を作りません。こういった「煩悩」がまず消費者の無意識のニーズとして存在し、それに応えようと企業はあの手この手で全力を尽くします。その結果、手に余るほどの無数の商品たちが四六時中、所狭しと店頭に並び続けています。

ちなみに、これだけのものが作られても、その多くは人知れずに廃棄されます。日本の食品ロス(まだ食べられるのにも関わらず捨ててしまうこと)は年間646万トンにまで及び、これは1日に10トンの大型トラック1,770台分が捨てられている計算になるのだとか。スーパーやコンビニからやってきた大量の賞味期限切れのお惣菜やパンなどが大きな工場で捨てられていく映像を見たことがある人もいると思います。国民1人あたりでみても、食べ残しや腐らせて捨てるなどの理由から年間51kgもの食品を捨てています。このままでは度を越した余剰生産です。

では、私たち消費者はどうすれば良いのでしょうか。答えはシンプルです。私たちの方がちょこっと思考を変え、行動すること。例えばスーパーに行き大量に陳列されたありとあらゆる商品の山を見ていると、「こんなにたくさん売られているんだから何か買わなくちゃ!」というスイッチが無意識のうちに私たちの中でオンになってしまいます。商品はしゃべりませんが、私たちは無言のプレッシャーを感じて圧倒されているのです。「できるだけたくさん買い込んでくださいね、その方が幸せになれますよ」という、モノ言わぬものたちからの声に。

本当にそうでしょうか。考えてみましょう。知らず知らずに売り場の雰囲気に流されて「これが必要」ではなく「まぁあってもいいか」で手が伸びていませんか。「人気商品」や「売れ筋」「大特価」などの売り文句にむやみに踊らされてはいませんか。商品が作られた背景には興味を持たず、見た目のきれいさやパッケージの華やかさ、手軽さだけで選びがちではないですか。こういったことに自覚的になることができれば、すでに問題は半分解決しています。

食べものに限りませんが、これからの時代にものを選ぶときのポイントはなんでしょうか。それは「健康な未来を作るものかどうか?」だと私は思います。健康の「健」は体、「康」は心のこと。健康とは、心と体のどちらもにとって心地よく命を育んでいける状態です。そのために必要なものをひとりひとりが考えて選んでいく。そうなると「私にとっての健康って何だろう?」をそれぞれで考えなくてはいけません。そういう意味では、答えはひとりひとりの中にあります。

さらに言えば、私たちの健康と、地球環境の健康。この二つは同じものです。一体となり、繋がっている。これからはこの二つの健康のためのサステナビリティをしっかり意識したお買い物が大切です。本当に必要なものを見極めることは、ひょっとしたら生活を見直すことが含まれるような大きなことかもしれません。「私は何があれば真に健康でいられるか?」をそれぞれがしっかり考えて選び、それに当てはまらないものは買わない。私たちが買わなければ売れませんから、企業も商品を作りません。そうすれば潮が引いていくように自然と余剰が消え、私たちも企業にも気負いがなくなり、お互いに心地良くリラックスした関係を作り上げることができるような気がするのです。

本当の「余裕」とは、ものが溢れ返った世の中にあるものではありません。むしろ逆で、「ちょっと足りないんだよなあ」くらいの余白の中で、私たちが自らの手や体を使って何かを生み出そうとする時にこそ生まれるものではないでしょうか。私はそう思っています。皆さんは、どうですか?

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photo by Megumi Sekine

 

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関根愛 

関根愛

俳優を始めた十数年前よりアトピーなどさまざまな心身の不調を感じてきたことで、薬に頼るのをやめて自分の体の声を聴きながら養生していくために自然食を始める。「じぶんらしく生きるための食養生」をテーマにInstagramやnote、Youtubeで日々発信をつづける。マクロビオティックマイスター。映画制作者、ライター、翻訳者としても活動。座右の銘は「山動く」。



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