「見た目への悩み」の裏にあるものとは|臨床心理士と考える【外見コンプレックス】の乗り越え方

 「見た目への悩み」の裏にあるものとは|臨床心理士と考える【外見コンプレックス】の乗り越え方
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石上友梨
石上友梨
2021-06-21

皆さんは自分の見た目に満足していますか?自分の見た目は好きでしょうか?他人から見たら欠点などないように見える人でもコンプレックスを抱いているものです。しかし、コンプレックスを生まれた瞬間から抱いている人はいません。あなたがコンプレックスを抱くようになったきっかけは何でしょうか?前回から引き続き、見た目のコンプレックスについて紹介していきます。

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コンプレックスを抱くようになったきっかけを振り返れたら、その次に以下のことを考えてみてください。

コンプレックスの裏にある想いに気づく

あなたが抱えるコンプレックスの裏には、どのような想いがあるのでしょうか。「自分を認めて欲しい」「自分を愛して欲しい」など、純粋な気持ちではないでしょうか。「認められたい」「愛されたい」という気持ちは、人間なら誰でも抱く当たり前のものです。そして、それらは「外見がいいから」「痩せているから」など条件付きのものではなく、ありのままの存在を認められる、愛されることで満たされるものです。

他者から認められたい、愛されたいと思うのは当然ですが、私たちは他者の行動をコントロールすることはできません。一方で、自分でコントロールできるはずの自分自身についてはどうでしょうか。あなたは自分で自分を認めていますか?自分で自分を愛していますか?それは外見が良いなど、条件つきのものではなく、ありのままの自分に対してです。自分で自分を認めることで私たちの自己肯定感は上がり、コンプレックスに打ち勝つ力になります。

ありのままの自分を受け入れるためにできること

ありのままの自分を受け入れることを難しいと感じる方も多いでしょう。まずは、ありのままの自分を観察してみましょう。鏡の前に立って、自分自身を観察します。その際に、評価は手放します。パーツが大きいこと、小さいこと、シワがあること、たるみがあること、お肉が付いていることなど、様々なことに気づくでしょう。その時に「良い」「悪い」といった判断は手放します。もちろんいつもの癖で判断してしまい「ダメだ」「痩せなきゃ」など考えてしまうかもしれません。その際は、判断したり、考えてしまっていることにも気づき、「ただ自分を観察する」ことに戻りましょう。身体の中の受け入れやすい部分、受け入れにくい部分を含めて、しっかりと観察して、あるがままの自分を知りましょう。そして、少しでも受け入れやすい部分から少しずつ認めていきましょう。今、この瞬間に自分がありのままの状態で存在していることを認めて、ゆるしましょう。

ありのままの自分を受け入れていないと、見た目の気になっていた部分が解消されても、また別の気になることが出てくるでしょう。例えば、目の大きさを気にしていた方の悩みが一つ解消されても、次は鼻の高さや頬のお肉など、別のことが気になるかもしれません。そうすると、いつまで経っても自分を受け入れられず、同じ負のループに陥ってしまいます。

身体の内側に意識を向ける

私たちが様々な情報にアンテナを貼ったり、外側からの価値基準に囚われたりする時は、身体の内側への注意は怠っています。人からどう思われるか、社会的にどう評価されるかばかりに注意が向いてしまい、身体の声に耳を傾ける余裕はありません。自分の基準ではない、外側からの価値基準の影響を小さくするために、身体の内側に注意を向けましょう。その方法として、ボディスキャンやヨガニードラを実践しても良いでしょう。ヨガニードラによって、身体と対話しながら「心からの願い(サンカルパ )」に気づくことは、ボディイメージへの変化につながるかもしれません。

自分にとって必要な選択をする

あるがままの自分を受け入れ、自分の心からの願いや想いに気づき、それを大切にしながら、自分がどうなりたいのか考えてみましょう。他者の価値観を参考にすることは悪いことではありません。しかし、必ず自分を軸に、自分の思いを大切に考えます。他者を喜ばせるのではなく、自分自身を喜ばせるためには、どのような選択肢があるのでしょうか?自分を喜ばせるために、自分を幸せにするために、見た目のコンプレックスを変えたいのなら、変えてみましょう。お化粧を研究したり、肌質を改善しようと試みたり、他者に相談したり、自分軸で理想だと思う人を参考にしたり、今の自分にとって必要な行動を選択しましょう。

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石上友梨

石上友梨

大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。



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