人はなぜワーカホリック(仕事中毒)に陥るのか|ワーカホリックの原因と抜け出すためにできること

 人はなぜワーカホリック(仕事中毒)に陥るのか|ワーカホリックの原因と抜け出すためにできること
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石上友梨
石上友梨
2021-03-29

無意識のうちに、ワーカホリックに陥っていませんか?

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ワーカホリックとは、仕事中毒のことで、私生活の多くを犠牲にして仕事に打ち込んでいる状態を指します。会社勤めをしている方は、働き方改革等でワークライフバランスを意識し始めたり、長時間労働や休日出勤ができない仕組み作りをしていたりするでしょう。しかし、中にはワーカホリックが続いており、休日や終業後も仕事のことを考えたり、仕事をしていなくても情報収集や自己啓発活動に時間を割き、プライベートを犠牲にしているかもしれません。特に、休みも全て自分で調整できてしまうフリーランスや経営者の方が気づかないうちにワーカホリックになっているケースが多いです。

ワーカホリックになってしまう背景には、どのようなことがあるのでしょうか。

逆境体験から立ち上がるため、子供の頃からの劣等感に打ち勝つために、仕事に打ち込む人。家庭でのストレスから目を背けて、仕事に打ち込む人。空虚感や孤独感など、辛い感情を紛らわすために、仕事に打ち込む人、様々な場合があるでしょう。今回はワーカホリックについて検討していきます。

自己効力感が上がる?ワーカホリックのメリットとデメリット

ワーカホリックが続いてしまうのは、あなたにとってメリットがあるからです。例えば、仕事量が増えることで成果が出る、経済的に豊かになる。そのために、自信がつく、やればできるという「自己効力感」が上がる。また、忙しいことで気がまぎれる、辛い感情を回避できる、充実感を味わえる場合があるでしょう。

しかし、ワーカホリックにはデメリットがあります。例えば、心身疲労や感情鈍麻、病気のリスクの上昇、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の低下等です。また、自己効力感は上がっても、あるがままの自分を認める「自己肯定感」は上がらないでしょう。仕事をしていないと、成果を出していないと自分を認められないことは、自己肯定感には繋がりません。また、感情を回避していては、癒されることもなく、仕事をしていない時に、虚無感や空虚感を感じるかもしれません。いつまでも満たされず、何かしら無理をしている状態なので、買い物やマッサージ等、ストレス解消にお金がかかることもあるでしょう。

40歳は節目の年

職業人生の折り返しと言われる40歳は、働き方や休み方に関する習慣を変えるタイミングでもあります。体力の低下により、今まで体力でカバーできていたものが、できなくなってくる移行期だからです。余暇は、外出など気分をリフレッシュするものから、心身を休めるリラックスに変えていく時期になります。今まで同じやり方を続けていくと、疲労の蓄積や回復力の低下から、心身の不調感が強くなり、自分だけでは対処できず心療内科や精神科を受診する方もいらっしゃいます。ストレス解消法をアルコールに頼っていた方も、健康診断で肝臓を指摘されてしまったり、飲んだ後の不調感の方が強くなり、他の対処法を見つける必要性を感じているかもしれません。

ワーカホリックから抜け出すためにできること

(1)認めること

仕事中毒
【ワーカホリックを認める】合理的な理由で言い訳をせずに、自分がワーカホリックによって、守っているものの存在を含めて認めます。

まずは、ワーカホリックを認めることです。合理的な理由で言い訳をせずに、自分がワーカホリックによって、守っているものの存在を含めて認めます。もしかしたら、単純に仕事が好きなのかもしれません。しかし、明らかに無理をしている、何か息苦しさを感じてまで、ワーカホリックを続けているのなら、その背後に何を守っているのかに目を向けてみましょう。不安、孤独、承認欲求など、何が隠れていそうでしょうか。そして、感情をしっかりと言葉にしましょう。自分は認められたいから頑張っているのだと認識しながら仕事を続けるのと、認められたい気持ちを抑え込みながら、仕事をし続けるのでは、心身の影響に大きな違いがあります。

(2)隠れている気持ちをケアすること

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【隠れている気持ちをケアする】感情に向き合い、ケアすることで、感情はポジティブなものに変化をしていきます。

感情に向き合い、ケアすることで、感情はポジティブなものに変化をしていきます。無理をして働き続けることだけではなく、自分の想いを満たすための行動を増やします。自分に必要な行動は何でしょうか。もし孤独感がワーカホリックにつながっているのなら、他者とのつながりを増やすことかもしれません。仕事上のつながりではなく、プライベートのリアルなつながりです。承認欲求だとしたら、自分が本当に認めて欲しいのは誰でしょうか。そして、それは可能なことでしょうか。その相手に承認を求めるよりも、自分で自分を認めることの方が現実的ではないですか?認めてくれない誰かへの承認を求め続けるよりも、自分自身が認め、すでにあなたを認めてくれている人の方が、あなたにとって大切な人かもしれません。

ワーカホリックを変えることは難しいものです。頭では分かっていても、「仕事の依頼があるから断れない」と理由をつけて、同じパターンを繰り返してしまうことが多いでしょう。そんな時は、ボディスキャンやヨガニードラなど、身体感覚に注意を向ける瞑想法がおすすめです。心身の疲れに気づくことで、休む必要性や自分が無理をしていることに気づくでしょう。そこから、少しずつ、健康的なパターンを増やしましょう。頑張るのをやめるのではなく、頑張ることもあれば、心の声も聞いてゆっくりすることも取り入れるように、仕事と休息を程よいバランスで保ちましょう。

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石上友梨

石上友梨

大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。



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